神々達の「観測」途中経過
幕間です。
「あらあら、完全体になったのに、なんだか面白いことになってるわね」
地上を覗き込んで、長くけぶる睫毛が面白そうに瞬いた。傍らには呆れたようなため息をつく一柱。
「どうする? 生神だけでも天界に戻す?」
死神は罪を犯した訳だし、と尋ねる子どもの声。
ふむ……、と全知の神は考え込むように腕を組んだ。
「うふふ、私は二柱そのままでもいいと思うわよ?」
「運命の神。そんな勝手なことを……」
「もう少々、様子を見ては如何か」
「奴らが居らぬと生命活動は生まれぬ」
「元々一柱に任せていたのが悪かった」
「よいよい。我等は存在するだけで廻る」
「禁忌を犯さなければ良いじゃない」
「理に縛られ、理に存在する。それが奴等」
数多もの声が響く。けれど、その声はどれも忌避はなく、面白がるような空気を孕んでいた。
全知の神は閉じていた眼を開けた。
「奴等は生まれて間もない。経験を積ませる為、そのまま彷徨わせる。……何、理を曲げねば、芽生えたものが『どう』であれ、干渉せぬ」
――それは、ある種の諦観。
(うーん。これからどうなるんだろ)
モルテは地上を漂いながら思う。
欠片は全部回収したし、モルテは天界に帰れないし。理は正常に廻っていく。
(ゲルミナスと一緒にいる意味もないし……?)
――ぎゅう。
(……?)
ザワザワとした何かがモルテの中を通り抜けた。それが何だったのか、確認する前に霧散する。
ゲルミナスは天を見上げて、しばらく何か考えているように微動だにしない。やがて少し困ったような、悟ったような、照れたような――「味」を付けて、頬を掻いた。
(何ー? どうしたの?)
モルテは見上げて首を傾げる。ゲルミナスはモルテをちらりと見て、「上」を見て、一つ息をついた呟く。
「……御見通しですか。では、こちらも好きにさせてもらいますよ」
(んー?)
そして彼はしっかりとモルテを見る。
「モルテ。私たちは存在してから経験がないので、しばらく放浪せよと『上』からの通告です。場合によっては、貴女も上へ帰れるかもしれません」
(んんん? それって――)
「私達、『セット』で地上の理、見て回りますか?」
それ、面白そう。
モルテは瞳を輝かせた。
(行く行くー!)
この世界には、モルテの知らない「理」がたくさん溢れている。
ふと、モルテの中に一つの疑問が生まれた。
(ゲルミナスは私が定義したけれど、「モルテ」は「誰」が定義したんだろ?)
まあ、時間はたっぷりあるから、自分の生まれた意味でも、考えようかな。
訳わからん話だったので、少し頭を休めましょう。




