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【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第3章 ローエンディア王国と士官学校
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第3章 第18話 士官学校潜入任務

 ≪緋の戦乙女(ヴァルキュリア)≫との合同遠征から二週間が経過した。その間にカイエからマップの複製をさせてもらい、報酬の受領を完了している。


 ≪緋の戦乙女(ヴァルキュリア)≫は大々的に六十階層攻略完了を宣伝した。未踏破階層までの道を切り開いたのは《黒絹》だった、と酒の席で漏洩したようで、ギルドで今まで以上に視線を感じるようになっていた。


 ≪緋の戦乙女(ヴァルキュリア)≫がお漏らししてしまうのは想定していたし、異空間収納には武器使用など程度にしか目立った使い方をしなかったので、インパクトとして薄く話題にはならなかった。それよりもデュラハンや鬼蜘蛛、地竜種など大物と呼ばれるクラスを二人で倒した話に人々は喰いつき、半信半疑の好奇の視線が今も向けられている原因だった。


 その話が漏洩して以降、噂の≪黒絹≫の実力を確かめさせろ!と好戦的な輩が次から次に現れ、手加減してボコるのにも飽きてきた。

 何をどう勘違いしたのか、≪黒絹≫に「俺様の妾にしてやろう!喜ぶがいい!」というノリの貴族がやって来た時には頭痛を感じたし腹も立ったので丁寧に手足の骨を砕いた上で、フェリオール辺境伯から産地宛に返品してもらった。

 返品先が仕返しに百人規模の集団を送って来たので、全て骨を砕いて産地に送り返した。配送費用はそいつらが持っていた武装や金目の物を収奪して賄ったため、黒字で終わっている。素寒貧の下着姿のような状態で檻の馬車に詰め込まれて連れて行かれている。

 フェリオール辺境伯にとっては敵対派閥の伯爵家らしく、社交界で面白おかしく喧伝して楽しんだと、感謝のお言葉をいただいた。

 


 それから暫くはアクスとランスと森まで遊びに行ったり、アーシェスの指導に当たったりと、ダンジョンからは離れた生活をしていた。

「ラムザ君、マツリ君、ちょっと良いかね」

 と、訓練中にフェリオール辺境伯が現れた。良いか悪いかは内容を訊いてみないと何とも判断できない。アーシェスをチラチラみていたので、とりあえず場所を変えて話を伺う事にした。


「単刀直入にいう。アーシェスと一緒に士官学校に入学してくれ」


 意図が分からず反応に困っていると、説明をしてくれた。どうも敵対派閥の動きがきな臭くなってきており、士官学校にも相当数の縁者が入学していてアーシェスの身が心配だという。フェリオール辺境伯の仲間の師弟も士官学校にいることにはいるのだが、新入生には居ないらしい。フェリオール辺境伯への恨みをアーシェスで晴らそうと動かれたら……と思うと、腕の立つ同窓生を付けたいとの事だった。


「ちなみに君たちがボコボコにした伯爵の一家は敵対派閥でね。息子を使って何やら企んでいるらしいんだよ。君たちの活躍のおかげだね」

 と、目の笑っていない笑顔を向けられた。過去のやらかしを理由にされると弱い。可愛い弟子アーシェスの身も守ってやりたい。


 そして外見年齢的には同じ年頃に見えるため、入学試験をパスさえ出来れば辺境伯が身元引受人を請け負う事で話を進められるらしい。

 貴族の子弟が身に着けている程度の教養に不足はないし、剣も魔法も実技は過剰な程だ。

懸念事項といえば学校でやりすぎて辺境伯に迷惑をかけないかな?だが、そこは折り込み済みで頼んでいるのだろう。産地送りの件を知っていて言っているのだから、言い訳はユルサナイ。


 入学するとなると、この街にあと三年間程滞在する事になりそうだ。人間であれば「三年間も拘束されるなんて!」となるが、生憎エイルもマツリも長命種である。「三年か~、そのくらいならまぁいいかな……」となってしまう。

 迷宮都市群で待っている仲間達のことも気にはなるが、あそこも主要メンバーが長命種ばかりのため、「ちょっと遅いな?」くらいで済むと考えていた。


 こうして、辺境伯から三年にも及ぶ長期契約が結ばれてしまった。


 訓練場(という名の庭の一画)に戻ると、アーシェスが不安そうな顔をしている。

「アーシェス、辺境伯から三年間の契約で新しい業務を委託された」

 アーシェスはまさか先生たちがどこかに行ってしまうのか?と顔を曇らせたが、

「俺達も士官学校に入学してアーシェスを守れ、だとさ」

 想定しない角度からの内容に、サプライズを受けて喜ぶ普通の子供になっていた。


◆◆◆◆


 エイルもマツリも一応は平民という扱いになるため、アーシェスの護衛兼使用人枠にして、貴族クラスに入学できるようにするそうだ。

 裏口入学はさせてやれないとか言いつつ、入った後のクラス分けなどには干渉できるらしい。入学に関する不正をすれば、単純に弱みが出来るという事だろうか。貴族社会は良くわからない。


 「この言い回しをした時の、貴族の気持ちを述べよ」とかそういう解釈問題がだされると駄目かもわからんね。


◆◆◆◆


 結果、三人とも無事に合格して、貴族科Aクラスに所属することになった。エイルとマツリはアーシェスと同じ制服を着ることになった。

 エイル視点ではコスプレ感が半端ないのだが、マツリは喜んでいたし実際似合っていて、アーシェスと並ぶと絵になった。この潜入業務は思って居た以上にアリかも知れない。


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