↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第3章 ローエンディア王国と士官学校
66/270

第3章 第19話 士官学校入学

 入学式の新入生代表挨拶や来賓のお言葉など、聞き流しつつ欠伸を噛み殺す。ローエンディア王国の錚々たる貴族の方々が並んでいるらしいが、ビタイチ興味がなく覚えてもいないので、「ふーん?」以上の感想が出て来ない。


 入学式が終わると、各自発表されている自分の所属クラスに向かうことになる。成績順でクラス分けがされるらしいが、普通は平民はAクラスには入れないらしい。貴族は成績に爵位にあった下駄を履かせているのかもしれない。


 恒例の自己紹介が流れていく。覚えておかねばならないのが数人いる。


【中立派閥】

 中央のベルレイユ公爵家の娘、ラクスレーヴェ・ベルレイユ


【敵対派閥(貴族至上主義)】

 東方のカレイゼン辺境伯家の娘、トリスエア・カレイゼン

 南方のゴーガン辺境伯家の息子、ブラスマール・ゴーガン


 ラクスレーヴェとは喧嘩せず出来れば仲良く。

 ブラスマールとトリスエアは敵対派閥の貴族至上主義の洗脳教育が予想されるので要注意。

 他は追々で覚えるとする。


 もう一つ、注意しなければならないのが、立場の設定だ。

 エイルとマツリはアーシェスの護衛兼使用人なのだ。先生と生徒ではない。なので立場を弁えた振る舞いが求められる。


「お嬢様、御髪が乱れております。整えますので少々お待ちください」

「お嬢様、お顔が真っ赤でございます。お熱がおありなのでしょうか」


 アーシェスをひたすらお嬢様扱いをしていると顔を真っ赤にしてプルプル震えている。面白い。これは癖になるかも分らんね。


 登校初日のホームルームが終わり解散となった時に、トリスエアとブラスマールが近寄って来た。

「あら、この辺りは汗臭いのではなくて?もしかして野猿のような野性児の臭いなのかしら?」

「トリスエア、そんな迂遠な言い回しでは伝わるものも伝わらないよ?貴族言葉は相手を見て使わないと」

「あら、それもそうね。蛮族にも判る言葉の使い方を覚えないといけないのかしら?」

「僕らが下に降りる必要なんてないさ。さぁ帰ろうじゃないか」

そういうと、二人で連れ立って教室を出て行った。


「今のが東と南の辺境伯の子だね。思ってた以上にパンチが利いててクスッとなったわ」

「人間同士言葉が使えるからって、分かり合えるとは限らないのだよ。新手の魔物だと思えばいい」

 マツリとエイルがそう話をしていると、アーシェスがまた笑いを堪えている。笑っちゃいけない場面で笑いの沸点が低くなるタイプだろうか。

「さぁラムザ、マツリ、かえりますよ」

 何とか真面目な顔を取り繕ったアーシェスがそう言うと、エイルがさっとアーシェスの鞄を持つ。

「畏まりました。参りましょう、お嬢様」


◆◆◆◆


 帰る先はフェリオール辺境伯の王都の屋敷である。エイルとマツリの入学も決まった際、宿屋を引き払って屋敷に住み込む事になっていた。

 部屋は贅沢にもそれぞれに個室を宛がわれている。設定上は護衛兼使用人なのだが、実体は客人枠なので、屋敷では使用人の仕事はしなくて良い。たまにお茶の淹れ方などを侍女に教えてもらっている。


 登校初日の反省会は、やはりアーシェスが笑い上戸(ゲラ)な事だろうか。

「先生達が面白可笑しく畏まったフリをするのがいけないんです!」

 と文句を言われてしまうが、それは設定上仕方ないのである。プルプルするアーシェスが可愛いからというだけではないのだ。


◆◆◆◆


 昼食は屋敷で頂いてから、午後の訓練を行う。アーシェスはやはりガーラッドの娘なだけはあった。訓練を開始して三ヵ月で霊気を感じはじめ、更に三ヵ月後の今では、混合錬気の入口に指が掛かった感じである。相変わらずマツリがアーシェスに百合百合しい絡み方をして錬気を教えているのだが、その訓練は自分のいないところでやって欲しいものである。マツリに吹き込まれでもしたのか、最近では背中に張り付いて錬気の感触を要求してきたりする。年頃の身体に年頃の娘がくっつくものではないと何度言っても治らない。多分治す気がない。


 最近アーシェスは無手の格闘術にも興味が湧いたようで、鎧組討も教えている。自分から殴り掛かるような技よりも、振るわれる暴力から身を守るための技術が主体だ。戦いとはよーいドンで始まるとは限らない。咄嗟の条件反射で身体が動けば身を救う事もあろう。


 剣については、既に学年で上位に位置しているはずだ。決闘剣術でも戦場剣術でも良い成績をとれるだろう。とはいえ、まだ多人数を相手にした時の立ち回りは教え切れていない。そのため、今の時点だと「相手が追ってこれなくなるまで走って逃げろ」が最適解である。戦争には体力が重要なのだ。体力のない者から脱落していく。


 魔法に関しては、基礎的な日常用魔法から教えている。火種を作り、飲み水を出し、汚れを落とす。いざという時、生存に関わる重要な魔法だ。日常魔法を支障なく使えるようになってから、戦闘用の魔法を教えて行けば良い。そして、教えるとしても先に障壁魔法や治癒魔法を修めさせてから攻撃系の魔法と考えている。敵を倒すのは剣でも出来る。剣で出来ない事から始めるべきだ。

 とは言っても、それはエイルの流儀なだけで貴族社会の常識ではない。むしろ反している可能性の方が高い。だから学校で違う事を教えられても、学校ではそうなんだー。と考えるように言い含めてある。下手に逆らうと目を付けられたりで損しかしない。


 夕食後は身体はなるべく休め、瞑想からの錬気を中心に行う。朝の寝起きのルーティーンに追加で就寝前のルーティーンを習慣付けている最中だ。

 錬気がある程度出来る実践出来るようになれば、瞑想睡眠も教える事が出来るようになる。瞑想睡眠を身に着ければ文字通り世界が変わるので頑張って欲しい。


評価、ブックマーク登録、いいね などの応援をお願いします。

モチベーションや継続力に直結しますので、何卒よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。