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ある熟年夫婦の場合  作者: つよきち
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二人の問題


でも祥子曰く、誠一のせいで好きだった映画が好きではなくなったということだった。

それには二つの原因があるということだった。

自分の好きよりはるかに好きな人を知って、自分の好きは大したことがないと思ってしまった。

そして否が応でも、それを比べてしまうようになり、むしろ嫌いになった。

映画が猛烈に好きな誠一の存在により、ただ映画が好きだった時の自分ではいられなくなってしまったというのだ。

もう一つは、誠一が映画を好きと言うことを優先しすぎるところだ。

誠一が大好きな映画と自分とを比べてしまうというのだった。


誠一は「ちょっと待ってくれ」と言いたいところだった。

でも実際には言わなかった。

祥子の言うことは理解できたからだったからだ。

それでも二人は一緒にやってきた。

少なくとも誠一はそう思いたかった。

祥子の言い分に答えるとするならば、誠一は今まで通りにはいかなくなる。

これが性格の不一致か。

誠一はその言葉の重みに辟易していた。

でも誠一にとっては今更のことだとも思えた。

これまで一緒にやってこられた、その実感があったからだ。

誠一はやっていけると思った。

そう思いたかった。

でもそれは誠一だけのことでは当然なかった。

祥子の場合を考えると、それは難しいと思った。


誠一はようやく、横山や、幸恵の存在は関係がないということを知った。

これは二人の問題だ。

もしなんらかの関与があったとしても、それはその関与が原因ではないのだ。

誠一は横山に相談したくなっていた。

信用できないはずだった。

でもそれでもよかった。

誠一には他に相談できる相手がいなかったのだ。


「あなたは?」


祥子が聞いているのは映画のことだと思った。

その時、ようやく映画の話をしていたんだと思い出した。

誠一の大好きだったはずの映画が、その時かなり懐かしく感じた。


「嫌いではない」


それは嘘ではなかった。

その時の誠一は、映画よりも何よりも大事にしたいものがあった。

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