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ある熟年夫婦の場合  作者: つよきち
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嫌いではない

幸恵に話を聞けば早い話だったかもしれない。

でもなんとなく幸恵に話を聞くのは気が引けた。

誠一は幸恵に聞く前にまず横山に連絡をしようと思った。


祥子と二人で青山通りを渋谷とは反対方向へ道なりを歩いていた。

どこに行く宛て等ない。

ただ歩きたくて歩いていた。

こんなことをしたのはどれくらいぶりだろうか。

そういえば祥子とのデートはいつも行き当たりばったりだった。

誠一はその道中にも映画の話をしていたような気がする。

それを祥子は熱心に聞いてくれたものだった。

誠一はなんとなく映画の話はしないようにしようと思った。

そうは思ったものの、誠一は祥子に聞いておきたい質問があった。


「映画は好き?」


この質問はサチに映画が嫌いだと言われてから、誠一がずっと気になっていたことだった。

祥子は少し考えてから、誠一に質問をした。


「幸恵に言われたの?」


サチが本当に幸恵だとしたらそういうことだった。

誠一は何も答えなかったが、祥子は何かを察した様に応えた。


「今は嫌いではない」


誠一は祥子のことを知らなかったことを知った。


「本当に映画好きなあなたには理解できないでしょうけど」


祥子は皮肉を込めて誠一にそう言い放った。

誠一はサチが話したことがあながち間違ってはいなかったことに落ち込んでいた。


「私はそこまで映画は好きじゃなかったみたい。あなたと一緒にいると、そう思わされる」


誠一はそれだけではないと思った。

祥子を責めるようにして見ると祥子は堪忍した様に話を続けた。


「確かに何よりも誰よりも映画を優先するあなたが信じられなかった。というより、好きじゃなかった」


祥子の加えられた一言は誠一の想像以上だった。

やはりあながちサチが言っていることは間違っていなかった。

祥子が幸恵に相談したんだろうか。

誠一はなんとなくそう思ったのだった。

祥子は出会った当初は映画が好きだと話してくれていた。

共通の趣味もあって、交際に発展したのだ。

ある意味、誠一にとってそれは重要だった。

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