Lood..020 vs スカルライダー(5)
突然出された妹――…乃愛の名前に呆然となるナツキ。
「…なぜ…乃愛の名前を…?」
「おいおい、そんなに驚く程の事ではないよ。おれは第2次のβテスターとして、何度か君に会っている。もちろん、君の彼女さんとも」
「…え…」
否定の言葉も出てこない程に動揺しているのか?ただヒデの目を疑問の眼差しで見つめるだけのナツキ。否定が無ければ肯定。何の引っかかりも無いヒデは言葉を続けた。
「初めてβテスターとしてログインした時だ。テスター100人を5班に分けた班でノアさんと一緒で、その班の案内役としての君に習ったんだよ」
◆◆◆――…
3年前―――
景色は広い草原地帯。周囲には背の高い木々が所々に生えている。その中に立つのはゲームアバター姿のナツキ。そして向かい合うように20人のテスター達が立ち、ナツキの説明を聞いていた。
テスター達の姿は全員が人類種で、初期装備の革の胸当てに、ハンディソードを差した姿。
「それでは今から戦闘の仕方を説明を始めます。まずはパーティメンバー無しのシングルバトルからです――…」
続く説明を聞く中、テスター姿のヒデの前で1人の少女が、並ぶ同じくらいの少女に寄った。
「ねぇねぇ、あの人がノアのお兄さん、ナツキさんなんだよね?」
「うん、そうだよ。あれが私のお兄ちゃん。妖精種姿もかっこいいでしょー?」
「おー出た出た、底無しブラコン発言。あいかわらずおアツいですな~」
「もぉ~、またそうやってバカにする…私はブラコンじゃありませーん」
「ほ~。スマホ待受は兄妹写真、って女の口がよく言うわ」
「わっ、それ言わないでよ!」
っと大きく上がるノアの声に、以外のプレイヤー達の驚きの視線が集中。その光景に、説明役のナツキは「コホン」っと咳払いを1つ。
「何を言わないでほしいのでしょうか?それとも説明が要らないとでも?」
そう注意を受けるノアは、真っ赤になる顔で「ごめんなさい」と小さく謝った。
そして再開するナツキの説明の中、いかにも「あなたのせいで怒られた」的な、肩での軽い体当たりを並ぶ少女にするノア。当てられた少女は笑いを堪え切れないのか、顔を伏せ肩を揺らしていた。その姿にノアはフンっ!っとそっぽを向き、頬を膨らませた。
一連の流れを目の前にしていたヒデは、少女達の名…ナツキの妹と言われた少女のステータス表示、〔Lv.1 Noah〕をしばらく見つめた。
◆◆◆――…
「ユーザーネームか本名か…ゲームと同じ名前だったから印象に残っていてね。それに、100人のテスター内の成績トップ3に入ったあの子を忘れる訳もない」
「……なら…」
「ん?」
「今…今ノアは何処にいるんで――…」
…――ピピピッ!
ナツキが言葉を言いかけた瞬間、突然ナツキにヒデ、2人前にメニューが立ち上がる。そのメニューに、ナツキも言葉を止め、各々視線を向けた。
「ん?これは〔緊急メッセージ〕…キヨマルからか」
「僕にまで…まさかっ…!」
安全区域で待機中とまで知るナツキからすれば、この緊急メッセージは"何か"が起きたとしか想像出来ない。慌てメニューにタッチし、メッセージを開くナツキ。
「『スカルライダーに遭遇。D7-14番地にてマーキング成功。南西の方角へと現在移動中。〔広域マップ〕スキル保持者の追跡求む』…っ、アイリ!!」
スキル〔広域マップ〕を持つプレイヤー、アイリに振り返るナツキ。するとキヨマルからのメッセージは、この場にいる全プレイヤーの前に立ち上がっていた。当然呼ばれたアイリも既読済み。
するとアイリの視線はナツキに向き、すぐにプレイヤー達の中に立つエリコに向いた。
「あなたも〔広域マップ〕スキルあるでしょ?」
「うん、あるよ」
っと頷き返すエリコの横には、ベースは無表情だが、ほのかに頬を赤らめ、ヒートのウサギの耳をモフモフと触り続けるチエコの姿が。ヒートは居心地の悪そうな表情を浮かべながら、アイリに「やめさせてくれ」っと言いたげな目でチエコを指差している。おそらくだが、あらゆる抵抗も空振りだったのだろう……
しかしアイリは「はいはい」と手を振り、エリコを見てメッセージを指差した。それに頷き返すエリコ。
「おれも一応スキル保持者だ」
っとヒデがナツキの肩を叩く。そしてヒデはプレイヤー達を見渡し、声を上げる。
「他にもいるか?〔広域マップ〕使いは!」
すると3人のプレイヤー…ユーザーネーム【ユージ】、戦士風の柴犬の獣人種。【コマ】と【セン】の名を持つ、忍び装束の人類種の女性プレイヤーが前に出た。
「6人もいるわね。ナツキ、あたしらどう動く?」
「それなら南西方角へ向け、各プレイヤー6方向に扇状展開。マップに探知した時点でメッセージを飛ばし、集結後に戦闘開始でいこう」
確認し合うようにアイリらを見渡すナツキ。応えるように頷くヒデは、僅かにズレた眼鏡を調えた。
「そうとくれば、扇状の90度間はレベル的におれとアイリさんで行った方が良さそうだな」
「そうね。賛成よ」
「じゃあ後の対応は、司令官に任せるとしよう。さぁ、おれ達は散るぞ」
「お願いします皆さん!《敏捷性上昇》!!」
アイリをはじめとした6人のプレイヤー達のステータスに、上昇効果のアイコンが付くと同時に駆け出すプレイヤー達。
展開は向かい右からセン、アイリ、コマ、ユージ、ヒデ、エリコ。道を行く――…っと言うよりは、瓦礫に建物などに飛び、そしてまた飛びのアクロバティックな動きで散っていくプレイヤー6人。上昇した敏捷性により、彼らが視界から消えるまではものの数秒だった。
戦場跡地に残るプレイヤーは24名。ナツキらが合流後の戦闘での死者はいない。それぞれのLGを確認するナツキの腕に、ガバっとセレアが抱きついてきた。
「うわっ…どうしました?セレアさん」
「ナツキ様~、邪魔者さんもいません事ですし、2人きりでゆっくりと待ちましょ♥」
「何を言ってるんですかセレアさん。僕達はゆっくりなんて出来ませんよ」
「どうしてです?」
「捜索の6人は単独行動中。もしもの際に対応出来るよう、小数パーティを組んで追います」
「で、でしたらわたくしはナツキ様と――…」
「一緒では駄目です。レベル的に僕とセレアさんは分かれるべきです」
「わっ…別れるですって!?まだお付き合いもしていないのに別れるだなんて――…ふぐぁ!!」
『わかれ』違いに異常反応するセレアの口を、背後から覆うゴンザレス。そのままセレアの身を横に「はいはい」っとどけた。
「…――っぷは!いぎなし何すんだっぺ!?このゴリラっこが!」
っと、当然の如くに訛って抗議するセレア。だがその光景は既に予測済みなのか…ゴンザレスはすぐさまナツキの腕をセレア越しに掴み、ナツキの手がセレアの頭に乗るように置いた。
「え?ちょっ、何なんで――…」
「ほれ、『(ナツキの)なでなで』や」
「え、あ、なでなで…」
ゴンザレスの言葉につられ、ナツキはセレアの頭をなでなで。するとセレアの表情は至福の時を感じた時のように、ほわぁ~っと天に召される表情となる。
静かになったセレアを見、ナツキに向いて口を開くゴンザレス。
「分かれる言うなら、どないして分けるんや?レベル上位者6人でパーティ分けか?」
「いえ。パーティ分けするなら、僕を除いた4班にします。出来るだけプレイヤーの数を減らさずに4方向へ散り、中央を僕とヒートさんで追います。各パーティには回復魔法を使えるプレイヤーを均等に分ける。そうする事が1番でしょう」
「お前とウサ公って、そんなん危ないやろ!お前しか戦えへんやないか…」
「これは戦いが目的ではありません。スカルライダーの捜索、及び先行の6人のカバーリングです。数で押し寄せるボーンナイトを相手にするともなれば、最低でも1パーティ4人は必要と思います」
「ナツキ様は風精霊の羽根を使えますから、単独でもボーンナイトの襲撃は無くなる。っという訳ですね?」
セレアの言葉に頷き返すナツキ。ゴンザレスは少し考え、ため息と共に頷いた。
「…そうか。お前さんがそう言うなら、それに乗っとくわ。ほんなら、ナツキを除いた高レベルプレイヤーは…セレアお嬢ちゃんにチエちゃん。あとワイと…」
っとプレイヤー達を見渡すゴンザレスだが……
「あれ?…チエちゃん?」
その見渡した視界には、チエコの姿が無い。
「あららら?チエちゃんがおらへん」
「え?…本当だ、いない…」
同じく視界を廻したナツキも、チエコの姿を発見する事が出来ない。加え、重要な人物の姿までも……
「あ、あれ…ヒートさん?」
チエコを捜した目には、ヒートの姿は見られない。何度も必死に見渡すも、どこにもヒートの姿は無かった。
すると1人のプレイヤー…ゴンザレスのような黒の西洋風の鎧兜をまとった、小人種の男性プレイヤーがナツキらに歩み寄る。
「なぁ団長。ヒートって、あのウサギのヤツの事か?」
ゴンザレスに対し『団長』と言った彼は、おそらくはゴンザレスのギルド『ゴッド・スパルタン』の団員なのだろう。
「おぉそうや。どこ行ったか知ってるんか?」
「それならさっき、チエコさんが抱いたまま行っちゃったけど」
「はい!?抱いたままって、連れてっちゃったんですか!?」
「あぁ。ヒートってヤツの(ウサギ)耳を触りながら、周りをキョロキョロと見てから急に震え出したんだ。そしたら、ヒートの体をまるでぬいぐるみみたいに抱きしめて、慌てた様子で走り出したんだ」
「走り出したって、どっちにですか!?」
そう問うと、小人種のプレイヤーは、スカルライダーが飛んでいったであろう6人のプレイヤー達が向かった方角とは、まるで真逆の方向を指差した。
これにはナツキとゴンザレスはキョトーンと見合い、同時にため息。そして頭を抱える。
「うっわ~…まさかエリちゃん追ってったんか…」
「じゃあ何でヒートさんを…人見知りのはずですよね?チエコさんって…」
「確かに人見知りや…でも、モフモフした獣人種は別なんや…だからわざわざアバター作り直して、『強い男』っちゅう意味でゴリラにしたのに…」
っと後半はブツブツと言い出すゴンザレスに苦笑いを返し、ため息をつくナツキ。
「なら何でヒートさん、何も言わずに行くんですか…」
「いや俺見てたけど、ヒートってヤツ泡吹いて気ぃ失ってたぜ。チエコさんに腹を(抱き)絞められてたみたいだったし」
「それって『迷子が怖くてぬいぐるみ強く抱きしめる』パターンやないか…あんな小っさい体でも、チエちゃんはパワーファイターやから尚更や…」
「しかも逆方向ときましたか…」
ナツキはアイリ達が向かった方向を見、チエコが向かった方向を見直すと、難しい表情を浮かべて後頭部を掻いた。
「では、僕が2人を連れ戻します。ゴンザレスさんは皆さんと先行の後追いをお願いし――…」
「アホ、何言うてんねん。お前が行ったら、誰がスカルライダー戦の指揮をとるんや。それに回復役としてお前がおるから、あれから誰も死んどらんのやぞ。だからナツキ。お前は前線に進まんとダメや」
「なら誰が2人を――…」
「ワイや。ワイが2人を連れ戻しに行く」
「ゴンザレスさんが…ですか…?」
「そうや。我らギルド『ゴッド・スパルタン』のアイドル、チエリコ姉妹を迎えに行くんは、そらもぉーワイしかおれへんやろ?な?」
っと、小人種のプレイヤーを、同意を求むような笑顔で見るゴンザレス。
「ま、団長はチエコさん派っスからね。俺はエリコさん派だな~」
「いやワイはエリちゃんも好みやからどっちも――…って好みの問題やあらへんがな!」
団員にツッコみ、咳払いをするゴンザレスはナツキに向き直る。
「とにかくやナツキ、ワイはチエちゃんと(一応)ギルドとは違う繋がりの〔戦友登録〕しとんねん。そんでもって〔(※)追跡〕スキルの使い手や。だからワイならチエちゃんを追える」
(※)…ギルドや戦友に登録している仲間が、10分以内に歩いた足跡を視界に映し出す事が出来るスキル。
「し、しかし1人では…」
「大丈夫やって、心配すなや。ワイは防御力特化型の【重戦士】や。さっき貰うたポーションもあるんや、ボーンナイトの攻撃なんぞ問題あらへん。それに、こう見えても一応はギルドの頭張ってんねん。しっかり状況を見据えた形で2人を連れ戻したる。ウサ公の事はワイに任せろやって」
まっすぐに見つめるゴンザレスの視線に、少し考えたナツキ首が、ゆっくりと縦に揺れた。
「…そう、ですか…わかりました。ではお願いします、ゴンザレスさん」
「おう、任せんかい」
「でしたらセレアさん」
「はい?」
「ゴンザレスさんと共に、ヒートさんとチエコさんの2人を追って下さい」
「はぁ!?何言うてんねん!お嬢ちゃんをワイに同行させたら、前線が薄くなるやろ!?」
「なら後追いの4班を2班に変更し、班を厚く、堅く作り進行しますから大丈夫です。それにゴンザレスさんがチエコさんと合流出来ても、回復役がいません。もし乱戦となった場合、ゴンザレスさんは広範囲の攻撃を持っていません。だから単独でも戦えるくらいの白魔導士の方が、危険度は低くなりますから」
「…そか、わかった。ならセレア嬢、すまんがおっちゃんと一緒に行ってくれんか?」
「いやです」
サラっと笑顔で断るセレアに、「何でやねん!」っとズっコケるゴンザレスにナツキ。
「いやいやおかしいやろ!聞いてた!?聞いてたんか!?今までの流れやったら、そこは『はい』やろ普通!」
「な、何でですか!?何か不都合でもあるんですか…」
「いえ。ナツキ様からお願いされたいだけです」
「安っ!理由安っ!」
「じゃあ…お願いします…」
「はい、喜んで」
「軽っ!軽い上に切なっ!ワイ切なっ!」
今度はあっさりOKしたセレアにコケるゴンザレス。すると突然、ゴンザレスの目の前にメニューが立ち上がる。
「ん?何や…『Player Yu-ji Died』…ッ!!ユージが死んだやと!?」
「なっ…!?」
この通知メッセージは、ギルドに所属しているメンバーがGAME OVERとなった場合、団員全員に通知になるもの。つまりプレイヤー『ユージ』はゴッド・スパルタンの団員であったという事。その通知はゴンザレスだけでなく、待機中のプレイヤーの中にいる、ゴッド・スパルタンのメンバー達にも表示された。
すると待機中のプレイヤー内で、また別の通知メッセージが立ち上がる。それはセレアと共に回復部隊に廻っていた、2人の白魔導士の女性プレイヤーらの目の前。
「…えっ、コマもGAME OVERですって!?」
ユージに続き、探索に向かったプレイヤーの死の通知に、周囲がザワついた。
「ナツキ様、中央に向かった2人ですわ!」
「中央で何がっ…!!」
「おそらくそこにスカルライダーがいるか、【デッドロデオ】が現れたかですわ」
「【デッドロデオ】…?何ですか?それは」
「え?知らないんですか?そのレベルですのに、ナツキ様はスカルライダー戦は初めてですの?」
「実際に戦うのは…」
「そうでしたか。【デッドロデオ】とは、スカルライダーのLGが残り1本となるとフィールド内に出現するボスエネミーですわ。容姿は鎧をまとうゾンビ化したお馬さんで、スカルライダーと同じくらいの大きさをしてるのです」
「えっ、レイドボスが追加されるんですか!?」
「いえ違いますわ。デッドロデオ自体はさほどの強さではありません。Lv.30オーバーの1パーティで倒せるくらいです。ですが、このデッドロデオがフィールド内を駆け回る間にスカルライダーと出会ってしまうと、エネミー同士が融合し、新たなボスエネミー【"蛮骨の銀騎手"シルブファングランサー】となります」
セレアの話しに、ナツキは制作段階を振り返る……
◆◆◆――…
「夏輝先輩、ちょっといいっスか?」
「ん?どうしたんだ宙」
「関東エリア解放のレイドボス、スカルライダー戦のイベント企画、こんなんでどうっスかね?」
「……徘徊する新たなボスエネミーに融合…いいじゃないか。これ面白いよ」
「ホントっスか!ならシステムテストまで許可もらえるっスか?」
「うん、是非やってほしいよ。テストの時には声をかけてくれ」
「よっしゃー!ありがとうございますっス!」
◆◆◆――…
「…――そうか…けっきょくテストはオージロウがやったから、すっかり忘れていた…」
面白いと思って作ったクエストが、現状を悪化させているやもしれない今に、グっと唇を噛み締めるナツキ。そんなナツキの姿に、慌てたようにフォローするセレア。
「だっ、大丈夫ですわよナツキ様!デッドロデオは2体いて、1体の融合だけならエネミー形状と攻撃パターンが変わるだけ。2体の融合で完全体となり、(敵の)ステータス値が上昇するので、2体の融合さえ阻止出来れば楽勝ですわ。そもそもこの広大なフィールドで、互いに呼び合わない者同士が出会う確率は低い…今まで完全体のシルブファングランサーを見たプレイヤーもいないと聞きますし…」
必死にフォローしてくれるセレアに、ナツキはゆっくりと視線を向け、微かに笑って応えた。少なくとも今、2人の人間が死んだ……この事実にその笑みすらもくすんだものである。真意は知らずとも、感づく"何か"に、セレアは何も続けずに視線を下げた。
ナツキはセレアから視線を外し、ゴンザレスに向くと…
「ゴンザレスさん…?」
ゴンザレスは脱力感のある背中を見せたまま、棒立ち状態。ナツキの呼びかけにも答える様子は無い。
ナツキから、このゲームの現状を知った上で通知となったギルド団員の死…内からくる喪失感に、思考から全てを停止しているように見える。
「ゴン…ザレスさん…」
「………」
「ごめんなさい…僕が彼らを1人で向かわせたから――…」
「…ナツキ…」
ゴンザレスの力の無い声が、ナツキの言葉を切った。
「なぁ、ナツキ…ユージは…ユージはホンマに死んだんか…?」
「…はい…」
震えるようなゴンザレスの声に、ナツキはひと言しか返せず、黙り込むだけ。少しの沈黙を残し、再び口を開くゴンザレス。
「ユージ…アイツはワイの親友なんや…現実の昔馴染みで、ガキの頃からずっと一緒だった……このゲームもな、ユージと徹夜で並んで買ったんや…そのユージが死んだんか…」
「………」
「ナツキ…ホンマはこれ…嘘なんやろ?イベントかなんかなんやろ?」
「…いえ、これは事実。ゲームで死ねば、現実でも――…」
「何でや…」
「え…」
「何でや!!何でアイツが死ななアカンねん!!」
突如張り上げられた声に、ナツキとセレアは驚き動きを止める。そして他のプレイヤー達もゴンザレスに視線を集めた。
「アイツは…ユージはな…来週子供が生まれんねん…」
「っ…!!」
「最近結婚してな、嫁さんに『ゲームやめて家庭に子育てに燃えるわ』宣言しとったんや…だからこのクエストが引退試合やって…」
ゴンザレスは肩を震わせながら、ゆっくりと振り返る。その表情は、恐ろしい程に感情無き表情。
「ゴ…ゴンザレスさん…」
「何でなんや、ナツキ…何でアイツは死ななアカンねん…これ、ゲームやろ?ゲームなんやろ!?」
「…ごめんなさい…」
「何謝るんや!!ゲームなら、また復活出来るんやろ!?蘇生出来んねやろ!?ゲームなんやからユージは――…」
「戻りませんッ!!」
迫るゴンザレスを跳ね返すように、更なる声を上げたナツキ。
「ユージさんは…死んだんです……このゲーム…僕が生み出したこのゲームによって殺されたんです!!ユージさんにコマさん!彼らは今、僕が殺したんです!!」
突然の言葉に、周囲のプレイヤー達がザワめき出す。
「ナツキ様…?何を突然おっしゃっているのですか?ナツキ様が彼らを殺すだなんて、意味が――…」
「セレアさん…」
「はい…?」
「皆さんにも、聞いて頂きたい事があります」
そう言って、ザワつくプレイヤー達の方に向くナツキは言葉を続けた。




