Lood..013 オーブクエスト(1)
ナツキとアイリが背を向け合って1分程…クエストホームと称した雲の中の駅に、深緑のボディをした3両編成の蒸気機関車が入る。線路は見えなく、雲に隠れているのだろう。雲を縫うように進んだ蒸気機関車は、プシュー!っと音を発てて駅に停車した。
するとその蒸気機関車に近づいていくのはトモキ。アイリからホームより蹴落とされたが、まるで水に浮かび上がるように雲に浮かび、なんとか無事生還したのだ。そのトモキが蒸気機関車を見上げて目を輝かせる。
「う~わ、スゲェ~!蒸気機関車って、おれ初めて見た」
「確かに、今の時代じゃ走ってないもんね」
後に続き、並ぶセキカワも物珍しそうに蒸気機関車の車体を見渡す。その2人の後ろから歩み寄るナツキも、蒸気機関車先頭車両の煙突より、モクモクと立ち上る白煙を見上げてひと息はく。
「これが【クエストSL】。プレイヤーの拠点となる『トーキョウ』とクエスト地を繋ぐもの。乗るだけで指定した全国各都道府県間を、約10秒で移動する事が出来るんですよ」
「え、じゃあコレに乗れば…?」
「『"はじまりの町"トーキョウ』に着きます」
「ガチっスか!?うお~!ようやくムービーで見てた『トーキョウ』に行けるのかぁ!よっしゃ~!!」
何故かテンションMAX。トモキは両手でガッツポーズをとり、セキカワに続いて並んだタケシの背中をバンバン叩く。タケシが「わかったわかった」となだめる瞬間――…
ドスッ!
鈍い音と共に、トモキの脇腹へアイリの拳がめり込んだ。
「ハぅ…ッ!!」
「ウザい、クサい、うるさい、邪魔、早よ、乗れ」
何故かカタコト…蹲るトモキをそのままに、後ろをスタスタと通り過ぎ、クエストSLに乗り込んでいくアイリ。その後を追うように、タケシとセキカワがトモキの後ろを通過。
「トモキ。ドンマイ」
「朝シャンしてないからだぞ、トモキ」
そう言葉をかけ、クエストSLへ2人は乗車。そしてヒート、ナツキとトモキの後ろを通過。
「何つーか…クサくても、いい事あるって」
「ヒートさん。例えそうだとしても、触れない事が優しさですよ」
っと乗り込んでいく2人。
蹲るまま、目元を拭うトモキは――…
「無味無臭だもん、おれ…」
◆◆◆――…
トモキも含め、全員が乗り込んだクエストSL内。3:3くらいで向かい合わせで座れる、ベンチタイプの木目の長椅子が真ん中通路を挟んで並んだ、なかなかに広い空間だった。ヒートは辺りを見渡し、長椅子に触れてみる。
「へぇ~…ゲーム世界だってのにすげぇ。細かいトコまで作り込んでんなぁ~」
椅子だけでなく、床や壁。天井も木で出来ており、それぞれ場所によって色の濃さなどを変えた昔ながらの雰囲気が、静かに心を落ち着かせてくれる。
タケシとセキカワ、そしてトモキにとっては初めてのクエストSL。まるで遠足に来た児童のようにハシャぎながら、通路を少し進んだ所で向かい合わせに座った。
3人の姿を見送り、小さく息をはくアイリは、車両入口付近の椅子に腰を降ろす。窓際で頬づえをつき、雲の海を見つめている。そんなアイリには目も向けず、ナツキが通り過ぎようとした――…瞬間、突然ヒートがナツキの背中を蹴り飛ばす。
「うわァ!!」
「へ?――…ふぎゃあ!!」
蹴り飛ばされたナツキは、座るアイリに覆い被さるように激突。
「いったぁ~…ちょっと何すんのよ変態!!」
「いや違っ…!ヒートさんが――…」
「おーい3バカトリオー。ご両人のお邪魔虫同士、親睦を深めようぜー」
ナツキが指差すもまるで無視のヒートは、タケシら3人の元へとスタスタ歩いていく。
「ちょっ…ヒートさん!!」
「コラ待てヒート!誰がご両人だバカ――…って、ちょっとナツキ!!アンタどこ触ってんのよ!!」
ナツキとアイリ、お互いが抗議で立ち上がろうとするが、お互いがお互いに絡み合い立ち上がる事が出来ない。
ナツキが起き上がろうにも、下のアイリも動くから、余計にぐちゃぐちゃにもみ合う形になってしまう2人。するとナツキの片膝が椅子から滑り落ち――…
…――ゴチンッ!!
「いっ――ッ!!」
「ふぎゃ!!」
滑り落ちるナツキの頭がアイリの頭を強襲。鈍い音を響かせると、2人は頭を押さえ悶絶。アイリは椅子の上…椅子と椅子の隙間でナツキが蹲る。
「いったぁ~っ…!乙女の頭に…なんて事を~…」
「こっ…これは事故だ…他意は無い…」
「こーゆー時の事故って普通…『唇同士がぶつかっちゃ~う』的な"お約束"があるだろうに…何で頭突きがくるんだよぉ~…」
「まぁ確かに、『痛い』よりはそっちの方がいいが…でもそんな"お約束"、対象が君ならノーサンキューだ」
「…はぃ?」
「触れたいとも思わないし、想像するだけで悪寒がする」
「…――っだとこの朴念仁!!」
瞬間的に放たれた足蹴がナツキの顔面を蹴り上げ、その身を――…いや、頭だけを天井に突き刺した。
突然の声に音……驚き振り向くタケシら3人の視界には、頭部だけを天井に埋め、首から下を力無くブラ~…っと垂らしたナツキのボディがあった。そしてタケシらと同席で、その一部始終を見ていたヒートは深いため息を1つ。
「ありゃダメだぜ…室長…」
◆◆◆――…
「………」
無言のまま、ムスっと膨れっ面に頬杖をつき、窓際で足を組んで座るアイリ。その斜向かいに座るのはナツキ。頭や衣服についた天井の破片を、ポンポンっと手で叩いて落としている。
「頭突きはしてしまったけど、別に世に言う『セクハラ』まがいに体に触ってないだろ…なのにヒドいな、君は…」
「うっさい。これなら触られた方がマシだったわよ」
「…うわ、変態だな」
「うっさい!…別に、女心を全然理解出来てない童貞野郎にどう思われようが、あたしは平気ですー。勝手に引いてれば」
フン!っとそっぽを向くアイリ。だがナツキの視線は既にアイリには向いていない。肩の破片を払い、辺りをキョロキョロ。
「…そんな事よりアイリ」
「っ、そ、『そんな事より』…(ムカっ)」
「クエストSLが発車しなくないか?」
「え?…そういえば」
乗車してから既に数分経っている。しかしクエストSLは微動だにしていない。
「それともう1つ。遡るようだけど、クエストホームに降りてから、クエストSLが来るのも遅かった」
「そだね…いつもなら、移動してきて5秒くらいでSLが来てたわよね?」
「うん。まさか…まだ宙の裏面データが上手く噛み合っていないのか?」
「うっそ!?まさかのバグ?このまま動かないとか無しよ!?」
「どうだろう…試しに〔転移アイテム〕が使用可能か試してみよう」
「あ、じゃああたしの【転移リング(※)】使ってみよ」
「うん、頼むよ」
(※)…立ち寄った事のある町に戻る事が出来る転移アイテムの1つ。町やフィールド上。ダンジョンなら仮セーブポイントがある、エネミーの出現のしない安全区域なら使用可能アイテム。
メニューウィンドウを開くアイリは、ナツキを見て「どこにする?」など聞いていると……後ろの方からケラケラと聞こえてくる笑い声。その笑い声に振り向くアイリにナツキ。するとそこには、タケシらと座る背もたれから身を乗り出したヒートの姿があった。
「よっ、お2人さん。夫婦ゲンカは終わったのか?」
「んなっ…!?だっ、誰が夫婦よバカ!!」
「そうですよヒートさん。その発言は人権侵害です」
「っんだとコラァ!!」
ヒートの言葉に頬を赤らめ立ち上がるアイリだが、続いたナツキの言葉にまた違った形で顔を赤くし、怒りの対象人物へと振り返る。ヒートはニヤついたまま、背もたれに身を隠していく。
「コラ待てヒート――…」
プルルルルルル!
…――ポオォォォォッ!!
突然ホームに鳴り響くベル。そして煙を噴き出させる汽笛の音。するとガクンッ!っとクエストSLが揺れ、車輪が回り始めた。
急に揺れた車体により、進行方向の逆に立っていたアイリがバランスを崩し、ナツキに向かい倒れ込む。
「きゃっ!」
「危ない!」
ナツキは倒れてくるアイリの体を抱き止めた。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとナツキ――…って、うわぁ!」
お礼を告げた次の瞬間、まるで急加速する絶叫マシンの如く、一気に速度を上げるクエストSL。窓から見えていた景色の青空と雲の海は、もはや青と白のラインの残像となる程の速さ。あまりの急加速により、車内のナツキ達の肉体には凄まじい圧力がのしかかる。
突然の急発進に圧力。この2つにより、体の小さなヒートが座席から吹き飛び、まるで投げられたボールのように、後方に座るナツキとアイリのすぐ脇の壁に激突。
「どわぁあぁぁ――…いってぇッ!!」
すると突如体にかかる圧力が消え、壁をずり落ちるように床に落下するヒート。
「ちょっ、大丈夫!?ヒート」
「いててて…な、何なんだよこれ…クエストSLっつーのは、いつもこうなのかよ?」
「こんな危ない訳ないでしょ、普通。あたしらもびっくりよ」
「ハっ、こんなんが当たり前ならもう絶対乗らねぇ――…ってぇ~悪い。お楽しみ中?お邪魔だったか?」
そう言うヒートが見つめる先…椅子に座るナツキの胸に顔を置いたままのアイリに、そのアイリに腕を廻したナツキ。アイリは「ほぇ?」っと抜けた表情で…ナツキは「ん?」っと、互いにゆっくりと視線を合わせると――…
「「っ~…ッ!!」」
瞬間的に顔を真っ赤に染め、これまた瞬間的にナツキから体を離すアイリ。両手を上げながら対面する椅子に座り、口をパクパクさせたままに視線を泳がせる。対するナツキも赤面したまま、同様に口をパクパク。
その2人の様子に、再びチャカすようなケラケラとした笑い声を上げるヒート。
「何だよ2人して、中学生みたいな反応しやがって。どんだけウブなんだってーの」
「はっ、はぁ!?だ、誰がウブだ!ウブはむっつりシスコン腹黒童貞男のコイツの方!!」
「なっ、何だと!ウブはそっちだ、この尻軽女!!」
「尻がっ――…ってウブの真逆じゃろがい!!てかボキャブラリー少なっ!」
「えっ、つーか室長…その歳で童貞?マジ?引くわ…」
「いけませんか?ウサギ風情のヒートさん」
「うおっ、室長の口悪くなった!?」
「あ…あの~…」
半ば"お約束"とも言える絡みをする3人の元へ、そぉ~っとタケシが歩み寄る。
「今取り込み中!黙ってなさいよこのブロッコリー!」
「ブロッ――…タケシですって俺」
「ぶはっ!アイリちゃんナイス!緑のチリチリアフロ…『ブロッコリー』だわ確かに!」
タケシの容姿に爆笑するヒート。ナツキも笑っているのだろう…顔を隠して肩を揺らしている。離れた位置に残るトモキにセキカワも――…うん。先輩をたてる意味でもやめておこう。
「俺の事は、その…ブロ…ブロッコリーでいいんで、外見てもらえませんか?何かおかしいんですよ」
「ほぇ?外?」
タケシに促され、座るままに流れる外の景色に視線を向けるアイリ。するとその目は瞬間的に見開かれ、すぐさまナツキに向く。そのナツキの目も、アイリと同様に見開かれている。
「なっ…何だ…これは…!?」
その目に見る景色――…それは先程までの青い空に白い雲の海ではなく、急加速時の残像でもない。紫色の空に、黒い雲。瓦礫散らばる荒野の先に、高層ビルが建ち並ぶ町並みが見えるが、人の生活が無くなり数十年…廃墟と呼ぶに相応しい町並みに見えるもの。
「さっきヒート君が飛ばされてから、すぐにこの景色になったんです。まさか…これが『"はじまりの町"トーキョウ』ですか?」
「ち、違うわ…ここ、どこよ…」
「アイリ。〔広域マップ〕発動だ」
「わ、わかった」
アイリは頷き立ち上がると、両耳の横に手を置き目を閉じた。
「な、なぁ室長…何だよ、その〔広域マップ〕って」
「アイリの持つ特殊スキルの1つです。通常マップは、自分の周囲200メートルを表示するただのエリアマップでしかない。でもアイリは最大1キロ圏内、高さなら建物5階分。そして通常なら見る事の出来ない、そのフィールドにいるプレイヤーの位置と数を読み取る事が出来るんです」
「そんな事までか?すげぇ」
「それで半月五重塔でヒートさん達を見つけられたんですよ」
「あ~なるほどね。便利なもんだな、それ」
関心するように腕を組み頷くヒートが、未だ目を閉じたアイリを見る。するとアイリが突如脇から拳銃を抜き、両手に構えた。
「マズいわナツキ!!近くにエネミー反応!!」
「なっ…!?い、いや、ここはクエストSL内だぞ?SLの移動中はエネミーの出現は無い。ましてや僕らはクエストを受注していない」
「違うの!もうここがバトルフィールド――…クエスト実行エリアなの!!」
「何だと!?」
「クエスト名『ボウソウ半島の悪霊 骸骼空騎士』!現在の参加人数43名…もうクエストが始まってるわ!」
「ボウソウ半島…どうして【チバ】に…」
走るクエストSLはスピードをぐんぐんと上げていき、廃墟の町へと突入。建物の間を縫うように突き進む。
「おい室長、何がどうなってんだよ!?」
「…どうやら僕達は、既に実行されていたクエストに飛び入り参加してしまったみたいですね」
「うわっ!!ナツキさん!アイリさん!前!」
突然大声を上げるトモキに、ナツキらの視線が返る。するとトモキは「外を見ろ」と大きな動きで窓の外を指差した。
追って見る外の景色。それは大きく右にカーブした線路が、建物の開けた道に伸びたもの。蒸気機関車の先頭車両が煙を上げるその先に、何やら人影にも似た白い無数の影が……それは先に伸びた線路上に散らばっている。
「何だよアレは――…っ、どわぁッ!!」
っとヒートが首を傾げた瞬間、クエストSLの車体が大きく揺れた。そして数回、バキバキ!!っと乾いた音が鳴り響くと、クエストSLは無数の白い影の中へと突っ込んだ。
バキバキッ!! バキバキバキッ!!
瞬間、枯れた枝を次々に折っていくような音が車内に響き、その車内が突然薄暗くなる。「何が起きた!?」っと窓の外を見るトモキが――…
「うわあぁぁぁぁっ!!」
っと叫んで腰を抜かす。その先、窓の外にいたのはなんとガイコツ。片手で窓枠に掴まり、残す片手には錆びた両刃の剣が握られている。しかもそれは1体ではない。数ある窓の9割を埋める量で、未だに車体を揺らすバキバキ!!っという音は、このガイコツ達をクエストSLがなぎ倒す音。
「なっ、何なんですかコレぇ!!」
焦ったようにトモキとセキカワが、ナツキらの元へと駆け寄ってきた。
「これは【ボーンナイト】!【スカルライダー】の配下エネミーです!」
「ちょっ、説明してる場合じゃないわよ!このままじゃ列車が脱線するわ!」
アイリの言葉通り、ボーンナイトをなぎ倒すクエストSL車体の揺れは激しく、線路上を走行しているのが不思議な程。
しかし、こういう発言は"予言"にも似ているもの。一瞬、岩にでも乗り上げたか!?の衝撃に襲われたクエストSLは、猛スピードのままに車体を跳ね上げ、まるで伝承の『登り竜』の如く、捻りを加えて線路から脱線。
「マジかよオイッ!!」
「きゃあぁぁぁぁッ!!」
「くっ…!!《バリアサークル》!!」
…――ドガガガガガガガッ!!
線路から脱線したクエストSLは地面に波打つように落下し、轟音を響かせ大地を滑る。巨大な土煙を撒き散らし、車体にとりまくボーンナイトらをも撒き散らしながら一棟の建物に激突し、ようやくその車体の制動を停止させるクエストSL。
風が吹いているのか?立ち込めた土煙は、スゥ~…っと晴れていく。すると3階建ての建物に、ボコボコにヘコんだ車体をめり込ませたクエストSLが姿を見せる。
そして完全に土煙が晴れると、横転した車両の割れた窓から、スカイブルーの髪――…ナツキの頭がヒョコっと覗いた。辺りを見渡し、まるで空を飛ぶかのようにフワっと外に飛び出した。横になった車両側面に立つと、続けてアイリも飛び出し、窓を挟んで並ぶ。
ナツキは杖、アイリは2丁の拳銃を構えて周囲を見渡す。
「助かったわナツキ。《バリアサークル》のお陰でノーダメージ。お礼にあとでチューしたげよっか?」
「…さっき真っ赤になってたくせに、調子いい事よく言うよ」
「うっ、うっさいな!自分だって赤くなってたくせに――…ッ!!」
アイリは言葉の途中、構えたながら周囲を警戒する銃口を1点に固定させた。その先を睨み、引き金にかける指を緊張させる。
「来たわよナツキ!!正面からのエネミー反応…約40!」
「40…ヒートさん達もいる。守りながらでも戦えそうか?それとも逃げるか?」
「逃げたいとこだけど…実は後ろからも来てるわ、エネミー」
「なっ、何だって!?」
「しかも100」
「はァ!?」
「にゃははははぁ~…Doーする?」
「てへっ♪」っと舌を出してナツキを見るアイリ。驚きから唖然となる表情のナツキは、大きくも深いため息を1つ。
「Doって……エネミーレベルは?」
「ん~…25~30くらい」
「それなら正面突破だ。アタッカーは任せた、行け!アイリ!!」
「うわぁ~んやっぱり~!ナツキの鬼畜ぅ~!!」
泣き言を叫びながらも、乗るクエストSLをヘコます程に地を蹴り飛び出すアイリ。
「ヒートさん!!皆さん!!走りますよ!!」
ナツキの声と共に、タケシやトモキ、セキカワにヒートと窓から飛び出す4人。ヒートを除く3人は頷き、片手にハンディソードを握りしめる。
「マジかよ…ダリぃ…」
「先行のアイリが道を作ります。僕が全てを援護します」
「全て?何をだ?」
「ここにいる全員を守るって意味ですよ!」
そう言って、ナツキはヒートの体を脇に抱えるように持ち上げる。
「うわっ!何すんだって!?」
「ダルいなら連れていきますよ、ヒートさん」
そう言ってヒートを抱えたまま、クエストSLから飛び下りるナツキ。
「んな援護要らねぇっつーの!!1人で走れるっつーのォ!!」
「さぁ行きますよ、皆さん!!」
「聞けやコラァ~!!」
◆◆◆――…
ここも廃墟の一角――…崩れかけのビルの屋上で揺れる5つの影。それらは、数百メートル先でクエストSLがクラッシュした土煙を見つめていた。
「何や?さっきの音は…あの煙も何やろな?」
「別のパーティがバトってるとか?」
「たぶん。プレイヤー反応ありだね」
「なら加戦しに行くか?どうする?パーティリーダーさんよぉ」
すると1つの人影がビクッ!!っと波打ち、隣に並ぶ人影に近づき、何やら耳打ち。
「…――えっと、『行く』。だそうです」
「OKOK、了解だぜリーダー。どれ、行くか」
「向こうにTGの残った治癒術師がおる事を願ってな~」
「うるさいな…皆が突っ込み過ぎっから無くなったんだろ…」
「まーいいじゃないの。それじゃ、行っきましょ~!!」




