7話 ここでは、みゃあの、すきにしていい、みゃ……?
かいぎ、こんなかんじ、なのみゃ?
みゃあは、いっしょうけんめい、おはなし、きく、みゃ!
「そういえばハチに僕達の自己紹介をしていなかったな」
ユヅはそう、いった、みぃ。
でも、みゃあ、もう、みんな、わかるみゃ!
みゃあは、スマホに、うちこんだ、みゃ。
【みゃあ、しってる、みゃ。ユヅのせきから、とけいまわり、ユヅ、キョウ、ベル、ハンゾー、おうじ、そーちゃん、ふりる、なな。あってるみゃ?】
「すごーい! もう覚えてくれたの?」
みゃふん! そうみゃ、ベル! はくしゅ、ありがとみゃうみゃう!
どうみゃ、みゃあはかしこい、みぃ!
「苗字も知っておいた方がいいだろ? ハチなら漢字も読み書きできるだろうし」
みゃっ⁈ キョウ、どうしてわかったみぃ?
【みゃあが、漢字分かるの、どうして、わかったみゃああ〜〜〜?】
「……それだけ教育されてると思ったら、マジだったんだな。平仮名を使って入力するのは効率を良くするためか?」
みゃあは、こくり、したみゃ。
でも、ほんとの、ほんとの、りゆうは、かんじをつかって、めっせ、おくったら、きもちわるい、いわれたから、みぃ……。
みゃあは、『子猫を演じる』義務がある、思ったみゃ。
また、気持ち悪い、言われるみゃあ……。
それは、苦しい、みゃ。
この、くろいきもちは、こころのなか、しまっておく、みゃ。
「ハチ? どうした、耳がくしゃくしゃだぞ。それに――なんだか切なそうだ。もしかして、悲しいのか?」
そーちゃん! バレちゃった、みぃ?
からだ、こころをうつす、みゃう……。きをつけるみゃっ!
「言えることなら何でも言ってくれ。『悲しい』だけでもいい。もう自分たちは仲間なんだ。そうですよね? ユヅ兄さん」
みゃあのちかくにすわったままのユヅ、おみみをちょんちょん、触って答えたみゃ。みゃあは、くすぐったくて、おみみ、ぴーん! したら、ユヅは、おめめ、ほそくして、にこっ! したみゃ。
「ああ。そうだ。仲間だよ。だから、僕達のことを知ってほしいんだ。ハチのことも、簡単に紹介してくれるかい? まずは僕だ。百目鬼弓月。今年29歳になる。ナナの旦那だが、所謂『内縁の夫』っていうものだ。わかるか?」
そーちゃんが、スマホ、おさえててくれて、うちやすい、みゃ!
【わかるみゃ! みゃあは、わからないこと、すくない、みぃ】
「そうか! ハチはすごいな」
そーちゃん! ほめてくれて、たかいたかい、してくれたみゃ!
みゃ⁈ ふりるとななのしせん、かんじる、みぃぃ……!
しまった、みゃ! みゃあは、いろんなこと、わかりすぎてる、みぃ……。これも、きもちわるい、のひとつ、みゃうう。
――みゃあは、きもちわるい、みゃ……?
「ハチ様は頑張ってお勉強したですのね。ご立派ですの」
「ウチがわからなかったら、ハチに教えてもらうっス」
「ナナに教えるのは根気がいるぞ。ハチをあまり困らせるなよ」
「何スかキョウ兄!」
「うるせえなぁ。俺も悪かったっての。怒るとハチが困るぞ。今はやめとこーぜ」
「こらお前ら。すぐ喧嘩するのやめろ」
「「はい」」
みゃ? みんな、きもちわるくない、み?
「あら、急にごめんなさいですのよ。驚いてしっぽがぴんとなってますの。くすくす……愛らしいですわね」
みゃあっ! からだがかってになる、みゃあ!
からだ、はんのう、しないでほしい、み!
みゃあは、かってにこころ、うつしたしっぽを、ぺしっ! しようとしたみゃ。みゃ? とどかないみゃああ〜〜!
そーちゃんのおててのうえで、くるくるしちゃった、みぃ。はずかしい、みゃうう。
「どうした? しっぽを追いかけてるのか? か、かわいい……」
「ね! 沖田さんっ! ふふっ。回ってる! ハチはかわいいねぇ」
「振り返ってしっぽを見ようとしても見えないぞー? お前はまだ小さいから、大きくなってからな。でも感覚でわかるだろ?」
なるほど、みゃ! みえなくても、かんじとること、できる、みゃ。
みゃうう? ふりる、なな、ベル、キョウ、はなしかけてくれた、みゃ。
みゃあのこと、こわがってない、み。
ここでは、みゃあの、すきにしていい、みゃ……?
みゃあは、スマホにおてて、のばしたみゃ。
そうしたら、おうじがひょこっ、きた、みゃ。
「そーちゃんのたかいたかいは、本当に高いからそろそろ降ろしてあげようねん☆ ハチちゃんは伝えたいことありげじゃな〜い? スマホかしてあげよっ♪」
「そ、そうですね。王子兄さん。ハチ、すまなかった。お前があまりにもかわいくて……。自分は構いたくなってしまうんだ」
そうなのみゃ? みゃあはうれしいみゃ。
このきもち、つたえるみぃ!
【そーちゃん、たかいたかい、うれしい、み! おうじも、ありがとみゃ。みんな、ありがと、みゃ! みゃあも、じこしょうかい、するみゃあ】
「紹介してくれるんスか!」
ナナが、たたっと、ユヅのちかくの、みゃあのところきて、ユヅにのっかった、みぃ。
なな! おぎょうぎ、わるいみゃ!
――まったく、みゃう。
【みゃあは、ハチ、みゃ! みらいから、いつのまにか、きました、みゃ。さくらとおなじ、ぴんくいろ、ですみゃう。ねんれいは、わからないみゃ。よろしくおねがいします、みゃあ!】
みんな、はくしゅ、してくれた、みゃ。
「ん? 何ヶ月かわかんないのか? ま、気にするな」
キョウは、みゃあが、きにしてること、きにしなくていい、いってくれた、みゃ……。
ほっ、みゃ。
「じゃ、次は俺。来栖恭介だ。職業は医者で、"読み手"としての能力もあるぞ。隣のベルは、こ、こ、婚約者だ」
「きゃーっ! キョウったらー!」
らぶらぶ、みゃあ! でも、べる、せなか、たたいたら、キョウ、いたいみゃう!
み? キョウは、たたかれて、うれしそうにしてた、みゃ!
せかいは、なぞだらけ、みゃあ〜〜〜!
みゃうっ! つぎは、ベルがおてて、あげた、みぃ。
「ハチ、私はベルだよ。本名はあるんだけど、私は"書き手"だから、本名は隠してるの。みんな、『ベル』って呼んでるし。あとね、"読み手"でもあるんだよ! 時を操る能力と、このステッキのことは今度話してもいい?」
【みゃあも、はなすとながいこと、ある、みゃ。おたがいさま、みゃ! かきて、すごいみゃあ!】
「ふふ、一緒だねえ! そうだ、この時代の人間なの。現代人ってことね? ちなみに、服部さんと沖田さんは過去人で、他のみんなはハチと同じ未来から来たんだよ」
そうだったのみゃー⁈ みんな、みらいじん、じゃない、みゃ?
「そうっス! 宇宙一きゃわいい未来のギャルの七彩七海っス! ウチは最強の戦闘員っスよ、ハチっち!」
そ、そうなのみゃ〜〜〜⁈ よわそうみぃ!
「あ、ナナちゃん、みんな、戦闘能力測っていい? 今演算してたんだよねん♪ 計画に組み込みたいんだよん!」
「王子様ったら……! 先にハチ様に自己紹介して差し上げたらどうですの?」
「そうだねん! フリルちゃん! オレは若王子王子だよん。ナナちゃんのお兄ちゃん。ハチちゃんほどじゃないけど、オレって天才的なの。今もハチちゃんを正式に仲間にできる平和的なプランを考えてたんだよん☆」
「ああもうっ王子様⁈」
【かくさなくていいみゃ! むずかしいかお、たまにしてたから、しってた、みぃ。ありがとみゃ〜〜〜! みゃあも、けいさん、できるから、おてつだいするみゃ。これは、みゃあのこと、みぃ!】
「ハチちゃあん!」
みゃみゃみゃ! おうじが、きゅうに、だっこしにきた、みゃ。みみみ! その、くちびるの、かたち! ちゅーされそう、みゃ!
おうじ、いいひと、だけど、いや、みゃああああっ
「王子兄さん、計算と並行していいんですかっ! 少し阿呆になってきてますよ!」
そ、そーちゃんが、まもってくれた、みゃあ!
「キョウ兄さん! そろそろ王子兄さんに糖分を補給した方がいいのではないでしょうか……変態になってます……」
あぶなかったみゃああああっ
「そうだな。王子くんは馬鹿になってきたってことは、頭を使いすぎて糖分が減ってきてるんだろ。王子くんとナナの兄妹は自分に鈍いから――ってあ? 王子くんの顔色が悪くなってきた! 沖田さん、さんきゅ! ついハチにばかり目が行ってた」
れんけい、してる、みゃあ!
キョウは、おうじに、らむねをくだいて、おみずにいれて、いっきにのませた、みぃ。
ざつ、みゃ……。おちゅうしゃ、すれば、いい、みゃう。
――みゃ? おちゅうしゃ、しないように、してる、みゃあ? キョウ、やさしいみゃ!
「王子くん、一旦休め。進捗状況は?」
「六割かな〜」
「一旦寝とけ。長期戦になるんだろ? 俺らの戦闘能力測っとく。ベルは、時間を止めて疲れてないか?」
「んー、大丈夫っぽい。沖田さんに鍛えてもらったからかも!」
「いや、無理しないでほしい。恭介、ベルをソファへ移動させてあげろ。ベルの能力がまた必要になるかもしれない。服部さん、王子くんを運んでくれるか? そういえば――ハチも疲れが出てきたんじゃないか?」
おうじ、ハンゾーにかかえられて、そふぁ、いった、み。あんしん、みゃあ……。
「あ」
「どうした? ベル?」
「ベル、かわいいけどすごい顔してるぞ?」
ユヅとキョウ、ベルにきいてる、みゃ。『あ』だけでも、こんなにきにかけてくれるのみゃあ。
やさしい、みゃ。
「ハチ、やだったらごめんね。ハチはさ、私がだっこしてる時、気を遣ってあまり動かなかったよね? テーブルから顔を出すために足に力を入れてたし。誰かが抱っこしてる間、えっと……そうだなぁ、例えると、ずっと"おりこうさん"にしすぎてたんじゃない?」
ば、ばれた、みゃ!
だって、うごくと、めいわくなる、みぃ……。
「ちょっと待っていてくださいですの!」
ふりる、はしってったみゃ。
も、も、もどってくるの、はやいみゃ!
「ハチ様、これを使ってくださいですのよ」
ふかふかの、クッションみゃあ!
「テーブルに置きますの。これで、気を遣わずゆっくり座れますわ」
でも、たかそうなやつ、みぃ……。
【ふりる、みゃあは、こんなに、こうきゅうな、くっしょん、つかえない、みゃ。よごしちゃう、みゃ。】
「あら? おかしなことを言うのですわね。これはあなたへのプレゼントですの。使って下さったほうがワタクシは嬉しいですのよ?」
ふりる、わかったみゃ!
おてて、ぴっ! すると、ふりる、さらにえがお、なったみゃあ!
ふりるは、てーぶるの、ゆづとキョウのせきのちかく、おいてくれたみゃ。
そーちゃんとはなれるの、さみしい、みぃ……。でも、そーちゃんの、こころのゆらゆら、まえより、いい、みゃ。
【そーちゃん、よしよし、みゃ】
みゃあは、そーちゃんのほっぺにすりすりして、おわかれしたみゃ。そーちゃんは、かわいいおんなのこ、みゃ。やさしーく、やさしーく、するみゃ!
「ハチ、お前がよしよししてくれるのか? ははっかわいいな」
そう、いいながら、くっしょんのところ、つれてってくれたみゃ。みゃ! とても、ふわふわ、みゃうう!
みゃあは、クッションにすわって、おてで、ふかふかした、みゃ。とても、いいかんじ、みぃ!
ついつい、のびーっ! しちゃったみゃう、
みゃふぁぁ……あくび、でた、みゃあ。
「ハチっち、ぺちゃんこなってるっス!」
「力が抜けたのか〜? お疲れ様。寝ても良いぞ?」
「やだ、かわいい! 溶けてる!」
ベル、おしゃしん、とってる、み?
ソファに、いなくていい、みゃ?
みゃあ、このたいせい、かっこつかない、みゃむ。
はずかしい、み……。
クッション、ほんとうに、ふわふわ、みゃ……。
みゃあを、つつむ、みゃあ……。
キョウのて、みゃ? いま、なでなでされたら、みゃあは、ねおち、しちゃいそう、みゃ……。
みゃ、みゃ……みゃむん……。
***
ハチは溶けたまま、あくびをして寝ちゃった。
寝顔が天使! んーーーーーかわいいいいっ!
「あにゃ。また寝ちゃったっス。」
キョウは、微笑んでたけれど――今は深刻な顔をしてた。
「コイツは……体が小さいからあんまり体力が持たないんだろうな。頭もかなり使ってるだろ? ハチの体とハチの頭脳のバランスが合ってないんだよ。こうして昼寝の時間をとって、たくさん寝せてあげようぜ」
「でも、ハンゾーっちとフリルっちとおきたっちの紹介がまだっスよ? ハチっちを起こしてっスよう! それに寝てるとつまらないっス……。かわいいっスけど」
えっ? ナナ! 寝せてあげようよ! ひどくない? 庭で匿ってた今までって、寝たら起こしてたのかな⁈
いや――ナナなら起こしてそう!!!
「お前なぁ。自分が遊びたいだけだろ? 我儘言うなよ。自己紹介なら大丈夫だ、安心しろ。コイツには学習装置がついてる。だから撮った動画を夢の中で見せれるんだよ。眠りは浅くなるが、コイツは気にしすぎる性格だからな――そこんとこは尊重して、自己紹介を全員分見せてあげようぜ」
ユヅさんは、わなわな震えてた。怒ってるっていうか、呆れてる気もする。だ、だよね……。
「七海……お前、ハチが寝るたびに起こしていたのか?」
ナナは腕を組んで、まるで何か大切なことを語るかのように話した。
「そっス。だってウチと遊んでほしいっスもん。それでいっぱいハチっちとにゃーにゃーみゃあみゃあ喧嘩したっス」
え、うそぉっ! そりゃハチも怒るよ! ナナぁっ猫ちゃんと喧嘩してどーするのっ? ハチのことが大好きなのはわかるけどさぁ〜〜〜!
一方。ご本人のハチは、ころん、とひっくりかえってお腹を出してた。安心しきってる! かわいすぎて心臓ぎゅってなったあ!
背中をそっと撫でてたキョウが、今度は手を添えるようにして置く。
――さっきみたいに孤独を感じて悪夢を見せないようにしてるんだね。あの時は本当に苦しそうだったから、安心して寝てほしいな。ふふ、何回見てもかわいい。写真撮ろっ。
ハチが仰向けのまま、顔をキョウの手に寄せると、ナナがずるいっス! って駄々をこねたけど、ユヅ先輩にデコピンされてた。キョウは、顔で「いーだろ?」ってドヤ顔してた。あーあこの二人はもう!
「ハチ、一緒にいる為に俺達みんなは頑張るからな……」
小さい声でハチに言っていたのを、私は聞き逃さなかった。
だって、これから、私たちはハチを守るために、規則を破るために、戦うんだもんね。
私もできることをする。いや、ハチのためなら、この心優しい子猫のためなら、なんでもするよ。
番外編『ハチとナナの喧嘩』
「ハチっち! 起きてっス!」
なな、きた、みゃ? おきれない、みぃ……。
「み……? みゃむ……」
「遊ぼうっスよう。なんでいつもすぐ寝ちゃうんスか」
はたけのからす、おいはらったばかり、みゃ。みゃあは、つかれてる、みゃあう。
「み……」
むり、みゃ。おきれないみゃあ。おやすみなさいみゃむ……。
「ハチっち〜〜〜遊ぼうっス遊ぼうっス! ほら、おもちゃも持ってきたんスよ!」
ななは、もってきたねこじゃらし、みゃあにとんとんとんとんとんとんとんとんしてきた、みゃ。みゃあはねむい、のみゃあ! しつこい、みゃ!
「みゃみゃむ! みっ! み"ぃぃっ!」
「むぅっ! 何スか! せっかく持ってきたっスのに寝るなんてひどいっス! ハチっち大好きっスから、ウチは遊びたいんス!」
みゃあも、なな、だいすき、みゃ。でも、起きてられないみゃ。
みゃあは、おこったら、つかれた、みぃ……。いつのまにか、ねてた、みゃ。
「ハチっち! ハチっち!」
こんどは、もちあげられた、みゃ。やめて、みゃ!
みゃあのからだ、かってに、がぶ! してた、みゃあ。
「痛いっス……! ひどいっス……あにゃ……にゃ……にゃあああああっ! 何するんスか!」
なな! みゃあは、ねかせて、ほしい、みぃ!
「みゃむ! みゃ! みゃみゃみゃ! みゃうっ! み"ゃ! み"! み"!」
けっきょく、ななもねこになった、みゃ。みゃあといっぱいひっかいて、おててで、ぺしぺししあった、みゃ。
みゃあは、たおれるように、ねちゃってた、みぃ。
――おきると、ないてるなな、いたみゃ。
「ごめんっス……ハチっち、大丈夫っスか? 寝せてあげなくてごめんっス」
またいつもの『ごめんっス』、みゃ。しょうがないみゃあ。
「みゃうみゃう……」
「許してくれるっスか? ありがとっス!」
この、くりかえし、みゃ。あしたもきっと、けんかする、みぃ。
ななは、しょうがないみゃあ。




