3話 なにがおこったみゃあ⁈
ハンゾーが、みゃあとななのところにきた、みゃ!
きんきゅうじたい、って、なに、みゃあ⁈
ハンゾーは、こまったかお、してるみゃ。
「ナナ殿、猫殿、失礼でござるが――本物でござるか?」
「あにゃ? 何言ってるっスか?」
「変身能力を持った未来人がこの時間軸に来ているでござるよ。上手く説明できないでござるが――今、シェルターの皆は、ナナ殿に変身していないかと大騒ぎになっているでござる」
「みゃあ?」
「猫殿は本物でござるな?」
みゃあは、みゃあ、みぃ!
ハンゾー、いってること、よく、わからみゃい、みゃ〜〜〜!
「ハンゾーっち! ウチは本物って報告してほしいっス」
「それでは駄目でござる。猫殿も万が一の為に確認してもらわないといけないでござる。それに……無線は繋ぎっぱなしでござるよ……」
ハンゾーが、もってる、きかい、みせてくれたみゃ。
『七海ーッ! その猫を連れて早く来い! おい! みんな! 見つかったそうだ!』
おこってるこえ、きこえたみぃぃ!
「嫌っス! 嫌っス!」
「みゃっ! みゃっ!」
みゃあも、【こうぎ】、するみゃ!
「はあ……申し訳ないでござるが、実力行使でござるっ!」
ハンゾーは、みゃあをだっこしたままの、ななに、とびかかって、なにか、かけたみゃ!
ななは、はやくうごいて、にげたみぃ!
でも、ななも、みゃあも、うごけなくなった、みゃ……。ぴりぴりする、みゃう。
「ごめんでござる……ナナ殿には敵わないゆえ、秘伝の痺れ粉を使ったでござる」
「うにゃ、あにゃにゃう……」
なな、みゃあが、まもる、みぃ!
……うごけない、みゃうう。
「ほら、行くでござるよ。猫殿、これから会う人達は優しいでござるから、安心してほしいでござる」
ハンゾーは、みゃあをあたまにのせて、ななをおんぶ、して、つれていった、みゃ……。
ほんとうに、こわくない、みゃ?
ふあん、みゃあ……。
***
ユヅさんから、ナナが見つかったって報告があって、みんな集合することになった。私とキョウも意外と見て回れたし、手分けしたからシェルターの中はきっと大丈夫!
どんな人間にも変身できる能力ってすごいなぁ……。
みんなで待ってるけど、服部さんは、なかなかナナを連れて来ない。まさか、偽物なのかな……。
沖田さんとユヅさんが窓から様子を見に行ってくれたんだけど、死角になってて見れないみたい。
「ねえ、キョウ。ナナ……大丈夫かな?」
「ああ。心配するな。ベルのところに真っ先に来るだろうから、『ナナのにこにこセット』をしてやってくれ」
説明しよう! 『ナナのにこにこセット』とは、ナナかわいい、ナナ最高って言いながら、なでなでをして、いいこいいこって両手を握ってぶんぶん動かして、ナナのほっぺをぷにぷにをして、
たかいたかいをして、ツインテールをくるくるして、最後にぎゅーってハグをしてから、ナナと一緒にぐーを作って"にゃんにゃん"ってすることなのだ!
これ、結構恥ずかしいけど、ナナがにこにこーって喜ぶんだあ。
私の他にも、女性陣全員――フリルさんと沖田さんもやってくれるよ!
フリルさんと王子くんが気を遣って飲み物を用意してくれた。オレンジジュースとりんごジュース。私はオレンジにしよっ♪
まったりくつろいでいると、やっとドアが開いた。
「みゃあっ! みゃあーっ!」
ナナっ! いや、なんか違うぞ?
「はにゃ……にゃうう……あにゃあ……」
こっちが本物のナナだ! ややこしいなあ!
服部さんは――頭に子猫を乗せて、ナナをおぶってた。すぐに、ナナの事実上の旦那さんになったユヅさんがナナを受け取る。
「きゃーっかわいい! 赤ちゃんの猫?」
「おい……なんで未来種の猫がここにいるんだよっ!」
え? キョウ、なんて言ったの? みらいしゅ?
「キョウ殿? 庭にいたでござるよ?」
「服部さん、このピンクの猫は未来でよくいるけど、過去には存在しないんだ」
「ええ!?」
「あら、そうでしたの? 知らなかったですの。夜にお庭のトマトを一つだけ上品に食べていたのをお見かけしたのですが、報告すべきでしたわね」
沖田さんが驚いた様子で「フリル姉さん知っていたんですか!」と言いながら、フリルさんを掴んで揺らした。
ちょっ沖田さん! 危ない危ない!
「皆様ご存知かと思いまして……。それに、しばらく行動を見てましたけど、カラスを追い払ってましたのよ。居てもいい野良猫だと思ってしまいましたの……ごめんなさいですの……ひ、ひーーーーーーーん!」
わたわたした服部さんが駆け寄っていく。猫が、鳴きながら手を伸ばしてる――?
「みゃうみゃ、みゃみゃみゃあ!」
フリルさんの頭を、ちいさいおててで、ぽんぽんしてる! かわいいいいいい!
「あら……猫様……ふふっ」
フリルさんが泣き止んだ! 優しいねぇ!
張り詰めてた空気が解けて、みんながにこにこする。
「未来猫が来るタイミングといえば、最近だとナナちゃんの能力測定の時だねん! でもオレ、気がつかなかったよ」
「みゃっ!」
えっ、手を挙げて教えてくれた? ま、まさかね……。
「こんなに小さいなら気がつかないだろうな。七海。未来のもの・未来の動物を過去に持ち込むのは違反行為だと知っているだろう。七海にとって、重大な理由があるだろうから、聞かせてほしいんだ」
ナナは「ハチっち! ハチっち!」と言ってユヅさんの腕の中から逃げて、服部さんが抱っこしてた子猫を奪って抱きしめた。猫は「みゃう〜〜〜」とナナにしがみついてる。か、かわいい! ちっちゃあい!
「こーら! ナナ、待て。理由の説明が先だ。もし王子くんの言う通り、能力テストの時からシェルターの外にいたのなら、猫の健康状態を確認する必要もある。その猫を俺に預けろ」
「嫌っス! ハチっちはウチの弟っス!」
「そいつ、メスだぞ?」
「嫌っス! ハチっちはウチの妹っス!」
ナナの変更早すぎる!
「とにかく理由を話さないと進まないんだ。それに病気になっていたらどうするんだ? ほら、猫、こっちに来てくれないか」
キョウが手を出すと、猫は「み……」とだけ鳴いて、ナナのほっぺにすりすりした。
ナナに大丈夫だよって、言ってるみたいだなあ。
ナナは、ぷぅっとほっぺを膨らませながら、「……キョウ兄任せたっス。ハチっち。いってらっしゃいっス……」と猫に伝えると、「みゃっ」と鳴いた。
お返事してるみたい!
「ナナ、急に俺に接触すると緊張するだろ? 俺がソファに座るから、猫もそこにそっと降ろしてくれ」
「あいっス……。うにゃ、にゃ、ハチっち……」
猫はナナの顔をペロペロ舐めてから、ナナの腕から勝手に抜け出してソファにジャンプした。
え、すご!
「おっ、来てくれたのか? さんきゅな。怖いだろ、俺達人間の都合に巻き込んでしまって悪いな……痛いところないか?」
「みゃっ」
猫は手を挙げた! えっ手を挙げたよね?
「お前、器用だなー! でも一応確認な。ナナが話し終えるまで、ちょっと我慢してくれるか?」
「みゃあ!」
キョウが抱き上げて思いっきり撫でると、猫も「みっ!」って鳴いて喜んでた。ああ、いいなぁ……猫もキョウも。
私もキョウに撫でられたいし、猫を撫でたいよう!
「いい子だ。――ベル、能力を使って猫に炎症がないか見たい。この猫を抱っこしてくれないか?」
やった! 抱っこできるー!
「私はベルだよ、猫ちゃん。彼は、お医者さんのキョウ。怖いことはしないから大丈夫だからね。あなたを抱っこしていいかな?」
「みゃ!」
「えらいねぇ〜〜〜! さあ、おいで」
猫は私の手に乗っかってくれた。
あとは、ナナだ――。
***
キョウ、ベル、おぼえた、みぃ。
ハンゾーのいうとおり、こわくなかったみゃ。
ベルは、みゃあをそっとだっこして、キョウにおててをみせてる、みゃ。
「爪が伸びてるな。自力で研ぐ方が怖くないだろ。この猫は意思疎通ができるから訊いてみるか。あとは……」
みゃあは、ナナがきになったみぃ。だいじょうぶかみゃあ……。
「心配しないで、ナナなら大丈夫だよ。フリルさんと沖田さんがついてるから、ね?」
どうしてみゃあのこと、わかったみゃ?
ナナは、なみだのあめ、ふってたみゃ。
でも、くろのにんげんが、なでなでしてくれてて、あんしん、したみゃ。
「では……着いてきてしまったのですのね」
「ひっく、ひっく……うにゃ、にゃあ……ウチもわからなかったっスよう……」
「あの子猫はまだ未熟です。間違えて着いてきてしまって、危険の多い道端のダンボールの中にすぐ帰すなんて自分もできませんよ……」
「全くわからなかったでござる……普通の猫殿と思っていたでござるよ」
「あーそれでナナちゃんはいっぱい泣いてたんだね?」
あのときの、にんげんみゃあ!
なながあんしんした、にんげんみぃ。
「うるさいっス、アニキ」
「えーんナナちゃんがいじめるよぅ。フリルちゃぁん」
ないたふり、してるみゃ!
くろいふくのにんげん、たたいた、みゃ!
「みぃ……」
くろいふくのにんげん、こわいみゃ⁈
「あっ、フリルさんと王子くんはいつもこうなの。ゴスロリのお姉さんがフリルさんで、猫耳の帽子を被った、ロックな格好をしたお兄さんが王子くんだよ。王子くんはナナのお兄さんなの。えーっと、わかる?」
「みゃあ!」
ベル、わかりやすいみゃ〜〜!
くろいのが、【フリル】、もうひとりのぴんく、【おうじ】みゃ。
……ふむふむみゃうみゃう。
「本当に賢いな。よし、体は大丈夫そうだ! 体を拭いて、ブラッシングするぞ。平気か?」
「みゃみゃあ〜〜〜〜〜!」
ぶらっしんぐ、きもちい、みゃ!
「お、なんだなんだ、嬉しそうだな! すぐ用意するから、ベルと遊んであげてくれ」
わかった、みゃ!
「みっみっ」
みゃあは、ベルのおてて、とんとんしたみゃ。
「やだかわいい……! いいこいいこ〜! 私と遊んでねっ」
ベル、あそんであげる、みゃあ!
***
「つまり連れて帰ったのではなく、着いてきてしまったんだな?」
「はいっス……ユヅパイセン」
七海は項垂れて涙が頬をずっと伝っている。ああ、鼻水も出てるな。
ティッシュを取り出して鼻に当てると、ちーん! と鼻をかんだ。ったく。
フリルさんがこまめに涙を拭いてくれて、沖田さんに背中をさすってもらって、全く手のかかるやつだ。未来条例まで破りやがって。
僕が頭を抱えていると、恭介がひょこっと顔を出した。
「ユヅ先輩、ところで例の未来人はどうなったんです? 王子くん、動向を確認できるか?」
僕としたことが忘れていた。駄目だな、七海だけを責められない。
「もう調べてあるよん♪ 最初にSNSで見た通り、『モフモン』の聖地を回って、グッズを買って帰ったみたい。今はキャラクターに変身して、未来の自分のチャンネルで自慢話してるよん☆」
「何事もなくて良かったな。過去旅行なんて贅沢なもんだ。じゃ、俺は話を聞きつつ猫のケアをします」
僕は、恭介の背中を叩いた。僕が未来人のことを忘れてたのを知ってて隠してくれたからな。
「な、なにするんですかっ!」
「五月蝿い。言わせるな」
恭介は、背中を叩き返してから、笑って猫の元に行った。
「ずるいっス! ウチもウチも〜〜〜」
「七海は未来条例を破っているから駄目だ」
「うにゃあぅ……」
フリルさんが「ちょっといいですの?」と控えめに訊く。
「どうしました?」
「保護を理由に、どの品種の動物も一定期間過去で預かった事例がありましたのよ」
綺麗な髪を指に巻き付けながら話した。フリルさんの癖で、不安な時にそうする。
「フリルちゃん……その子達は病気があったからで、空気の良い過去での治療が判断されたからなんだよ。見て見て、あの猫ちゃん、元気だから当てはまらないかもねん」
猫を見ると、気持ち良さそうにブラッシングしてた、が、僕と目が合った途端に、走ってきた。
「あっまだ終わってないぞ」
「猫ちゃん、待ってえ!」
***
キョウ、ベル、ごめんみゃ。みゃあはおもいついた、みゃあ〜〜〜!
みゃあは、【ユヅパイセン】に、のぼって、ぽけっとの、ぼーるぺんをとんとんしたみゃう。
「おっ。ボールペン使えるのか?」
キョウが、きがついてくれた、みゃ!
「先輩のは高級なボールペンだから俺のを使え。ほら、紙はこれで良いか?」
キョウは、テーブルに、みゃあと、かみと、ぺんをのせてくれたみゃ。
でも、みゃあはしってるみゃ。
おぎょうぎ、わるい、みゃ。
いすにすわって、かく、みぃ。
ボールペンをくわえると、みんなびっくりしてたみゃ。
「ハチっち……?」
うみゃう……うまくかけない、みぃ。すまほもうてるみゃってかきたい、みゃあう。
ふぅ、みゃ。かけた、みゃ!
ベルが読んでくれたみゃ。
「え、えっと……一生懸命書いたんだね!」
みゃあのあたまをぽふぽふしてくれたみぃ!
それから、かいたものを、みんなにみせてくれたみゃ。
「えっと、たぶん、『みゃあは、おりこうさんできる、みゃ。すまほとぺんがあると、もっとおはなしできる、みゃ』って書いてる……よね?」
「みゃあ!」
ベル、あってる、みゃ!
「ふふっ! おててあげて正解ってしてくれてありがとね」
みゃあ、かきにくかったから、よみにくいみぃ。ごめんみゃさいみゃ……。
「ハチっちおりこうさんえらいっスー!」
「おっ、すげえな! よしよし、おやつにお菓子やるよ」
「かわいくて賢いなんてすごいです、フリル姉さんっ感動ですよ!」
「ええ、そうですわね……驚きましたの!」
「オレのスマホとタッチペン貸してあげるねん☆ 咥えやすいように小さいの持ってきてあげる!」
「字が書ける……だと?」
「猫殿……早くスマホを貸してあげたかったでござる」
いっきに、しゃべると、こまる、みゃあう!
でも、いいきぶん、みゃっ!
「みんな、猫も一緒に会議にしようか。恭介、猫も疲れただろうからご飯を用意してくれ。王子くんは――タッチペンを取りに行ってくれたんだな。僕達も何かお菓子を食べながら話そう」
「ユヅ兄さん! お菓子や飲み物の用意は自分がします!」
「待って下さいまし、沖田様。ワタクシもしますわ。百目鬼様は会議内容のまとめに集中してくださいですの」
「二人とも、助かるよ」
か、かいぎ、はじめて、みゃ!
どきどき、みゃ……!
やっとシェルター全員が揃いました。
ナナは「にゃ」、ハチは「みゃ」と鳴きます。
未来人は、能力を持っている場合が多いですよ。
医者の恭介は、体内の炎症を見ることができます。
二段階まで能力を上げると、血管まで見ることができます。
能力を使うと反動で疲れるので、本当に非常時にしか使いません。




