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エピローグ ただの人として 47話 【瓦礫のあとの黎明】
すべての咆哮が止んだ。破壊の渦が去った後、空には雲ひとつない朝焼けが広がっている。
大陸を長年支配していた巨大な権力の屋台骨も、ジークを永きにわたり縛り付けていた監視者の使命も、そしてクロエを内側から蝕んでいた異形の呪いも、すべてが地上の塵とともに煙となって消え去った。
瓦礫の中に立ち尽くす二人の肌から、異質な「力」が抜け落ちていくのを感じた。
ジークの腕から刻印が消え、クロエの体内からは冷たい侵食感が霧散する。それは、最強の存在として君臨した二人にとっての、最大の喪失であり、同時にこれ以上ない解放だった。
「……消えたわね」
クロエが震える指先を見つめる。かつては人ならざる力を宿していたその指は、今や冷たい風に触れるだけで赤くなる、脆く儚い人間のものになっていた。
「ああ。俺たちの『戦い』は、これで終わりだ」
ジークは黒い霧を纏うこともなく、ただの男として彼女の肩を抱いた。
もはや背負うべき重荷はない。権力も、使命も、呪いも、すべてはあの崩落した地底の底に置いてきた。
朝日が、二人を包み込むように昇っていく。それは、世界が終わった後の、真っ白な黎明だった。




