第二部 真実の対峙 27話 【崩落の果て、誓いの接吻】
車に滑り込み、二人は高台から眼下の光景を見下ろした。ジークが手にした起爆スイッチのボタンを押す。
地響きと共に、先ほどまで冷酷な威容を誇っていた強固な前線基地が、まるで砂上の楼閣のように中心から折れ、音もなく崩れ落ちていく。煙と粉塵が立ち上り、一瞬にしてそこは無機質な瓦礫の山と化した。
「あんなに強固な要塞だったのに……ペシャンコだわ」
クロエが呆然と呟くように言えば、ジークはハンドルを握りながら冷徹な笑みを浮かべた。
「構造の要となる柱を爆破しただけだ。データが集約されていたサーバー室も完全に消し飛んだ。連中もしばらくは尻拭いに追われて、俺たちを追うどころじゃなくなるだろう」
ジークが助手席のクロエに手招きする。彼女が車内に戻ると、先ほどサーバールームで交わした言葉が、逃げ場のない車内の空気に充満していた。
「ねぇ、さっきの言葉……」
クロエが問いかけようとした瞬間、ジークは彼女の言葉を遮った。身を乗り出し、覆いかぶさるようにして、彼はクロエの唇に二度目の口づけを落とす。先ほどとは違う、所有権を刻み込むような深く濃密な接触。
「……本音だ。俺の魂に誓って」
耳元で囁かれたその重い言葉に、クロエの理性は溶け落ちていく。抗うことなどできるはずもなかった。彼女はただ、ジークから注がれる熱い口づけを、すべて甘受するしかなかった。
エンジンの回転音が静寂を破り、車は荒野の彼方へと走り出す。
瓦礫となった基地を背に、二人の「終わりのない旅」は、ようやく本当の意味で、同じ場所を目指して動き始めていた。




