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第二部 真実の対峙 22話 【戦場の調べ、二人の絆】

サリエールの軍勢が迫り来る中、ジークは迷いなく拠点を放棄することを決断した。要塞という名の檻を捨てることに対し、クロエの返事はあまりに清々しかった。


「守られるのも、籠るのもまっぴら。私を狙うつもりなら、こっちから乗り込んでやるわ」


意気揚々と言い放つその瞳には、かつての怯えは微塵も残っていない。クロエの変貌に、ジークは口元を歪めて笑顔を見せた。


「なら、手短なところからしらみつぶしに破壊していくことになるぞ?」

「でも――その間にもジークが裏で調べてくれるんでしょ? 表で暴れたほうが、裏で調べやすいものね」


この短期間で、クロエはジークという男の輪郭を鮮明に掴み始めていた。彼は純粋に戦うことを好み、拳を振るうことに微塵の躊躇いもなく、時に冷酷なまでの合理性を見せる。だが、ことクロエのことになると、驚くほど慎重に、そして限りなく優しく接してくるのだ。


そんなジークの二面性に、クロエも次第に心を開いていった。かつて「自分に付き合わなくてもいいのでは?」と問いかけた時、彼は即座に否定した。


「お前を一人にはさせない。もう二度とな」


そう言って額に触れるだけの口づけを落とされた時、クロエはそれ以上、自分を卑下することをやめた。ずっと願っていたのだ。この荒廃した世界で、ただ一人だけでいい。自分という存在を真っ直ぐに見つめてくれる相手に会いたいと。それが今、目の前で叶っている。


戦いの絶えない日々は、常に死と隣り合わせだ。それでも、クロエは胸の奥から湧き上がる確かな幸せを感じていた。


二人はクラシックカーに乗り込み、要塞を後にした。バックミラーに映る巨大な要塞が、爆発の衝撃で崩れ落ちていく。退路を断ち、クロエは助手席で愛用の武器を確かめる。ジークの操る車が砂塵を巻き上げ、サリエールの追手が待ち受ける荒野へと加速していく。


目的地は、近隣にあるサリエールの前線基地。そこが二人の新たな戦場の始まりだった。ジークがアクセルを深く踏み込むと、エンジンの咆哮がクロエの血を沸き立たせる。守られるだけの存在から、対等なパートナーへ。二人の魂は、過酷な運命の渦中でより深く絡み合っていった。

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