第二章20話 『8月17日①』
8月17日8:00頃。ついに韓国は中国に対して宣戦布告をした。その理由は中国軍による韓国の島の占領だった。日本と韓国は軍事同盟を発効させて、日韓連合軍を結成した。そして、上海基地へと送り込むことになった。しかし、上海へ海を渡って行くには韓国の島を占領した中国の最後の艦隊を撃破しなければ韓国軍は移動できない。そのため、まずはその中国艦隊を倒すため、日本の支那艦隊が佐世保基地から出撃した。
9:00頃。韓国軍の艦隊が中国艦隊と戦闘。支那艦隊は情報を受けて急行した。そしてその頃、上海基地を死守するために再度、本土から魔法軍が送り出された。その中には神城結衣も含まれていた。
上海につくと、すでに戦闘は始まっていた。もう少しで上海を奪還できると邁進してくる中国軍は手強く、絶対防衛ラインが突破されてもおかしくない状況だった。
「さてと、あの時のカリを返そうか。アクティベーション!」
魔法を展開し、私も戦闘に参加した。まずは基地に攻めてくる魔法使いたちを迎撃する。
「あらゆるものを返せ!ミラーリング!」
まずは基地そのものに反射結界を展開し、基地への攻撃を無力化及び反撃の力とする。
「アパートファイアボール!」
お馴染みの6つの焰球を出して、やってくる敵を灼き消す。でも魔力的に効率が悪いので、単に予測魔法と高速魔法による斬撃で迎え撃った。そうしている間に防衛ラインは前進していき、都市部の半分くらいまで押し戻した。そこで私は会い見えた。
「いたいた。今後こそはあなた、神城結衣を倒す。ヂィエ ファン!」
「「ヂィエ ファン!」」
秦子轩たちは、先日闘って危うく殺られそうになった相手だ。彼女たちは早速、力を解放した。それから詠唱を始める。
「荘子は言った、
力足らざれば偽り、
知足らざれば欺き、
財足らざれば盗む、と。
即ち、力有り、知ある者は真の正義、
下賎な奴を咎め、正義を示せ!
信義則!」
鉄の鎖が現れて私の身体を拘束する。動きを封じられてしまった。
「行け!」
秦子轩の合図でほかの人たちが素早く動き、高速で私を斬りかかってきた。
「ミラーリング。」
私はそれを良しとせず弾く。それから反撃を繰り出す。
「アパートファイアボール。」
さらに自分の周りに焔球を浮遊させて守りを固める。
「私の動きを封じたところでさほど変わらない。意識さえあれば私はなんだってできる。」
「ならばその意識を絶たせる!浩轩!」
「静かに潜む者たちよ、
大地を留め、時を封じ、結晶となれ!
アパートアイスボール!」
浩轩という人は、6つの氷球を出し、それを私の焔球にぶつけてきた。その直後に他の者たちが再び斬撃を仕掛けてくる。私はギリギリまで引き寄せてから基本魔法リリースとバーストの組み合わせで自爆行動をとった。鉄の鎖から解放されて自由になる。
「神々の王・ゼウスよ!
オリュンポス最強と謳われる、
ケラウノスの力をこの刃に宿し、
世界を一撃で支配せよ!
ゴッド・オブ・サンダー!」
電気を帯びた斬撃を放ち、追い討ちをかける。しかし、それが当たることは無かった。なぜなら、彼女らはすでにこの場から去っていたからだった。
欧米では、フランスがアメリカの要請に応えてドイツに宣戦布告をした。しかし、イギリスはアメリカを無視し、フランス軍が北海に戦力を投入することによって、両国との間で緊張が走った。
10:00頃、第二主力艦隊は太平洋上のアメリカのもうひとつの拠点であるマリアナ諸島、グアム島の基地を抑えるべく作戦を実行し始めた。作戦名は大宮作戦。この作戦には、第二主力艦隊の他、南方艦隊、南東海域担当の第十艦隊が参加する。マリアナ諸島は海面上昇により、一般住民は移住し、現在は埋め立てを施した軍事要塞施設となっている。アメリカの航空基地としてアジア太平洋地域において睨みを効かせていた。北のサイパン島群と南のグアム島に分けられ、サイパン島群には海軍の艦隊が常駐し、グアム島はグアム基地として空軍の拠点となっている。そこで日本は水上打撃艦隊と航空機動艦隊をもってそれぞれを相手にする。大宮作戦に関わる艦隊は戦闘機を出動させて、戦闘を開始した。
時を同じくして、第一主力艦隊は別の作戦の実行準備をしていた。作戦名は真珠作戦。目的は依然として同じ、敵の太平洋艦隊を撃滅してハワイを制圧する。そのために今は戦闘前の確認として作戦参加部隊と連絡を取り合っていた。参加する艦隊は第一主力艦隊の他に北方海域担当の第六艦隊と中間海域担当の第七艦隊で、突撃は第一主力艦隊が行い、航空支援として他の艦隊から戦闘機が出動する。後はひたすら敵を殲滅、掃討し、ハワイ基地を占領する。大胆かつ強引な作戦であった。