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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第二章】世界大戦編 ユイサイド
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第二章19話 『8月16日③』

 15時ごろ、日本本土ではミサイル対処の準備を終えて待機していた。レーダーに感知し次第、黒野大将に報告がいくよう警戒態勢がしかれていた。そして、ついにレーダーはミサイルを探知した。


「巡航ミサイル複数確認!数、15!」

「了解。予想着弾時間と場所は?」

「着弾まで約1分、着弾地点は北は北海道、南は九州の鹿児島まで分散しています。」

「ありがとう。あとはこっちでなんとかする。」


 首都上空にいる黒野大将は通信を切って、集中した。


「アクティベーション!」


 魔力を展開し、魔法の杖を手にとる。そして、詠唱を始めた。


「記憶を輪廻する裏切りに、

  傷つき悲しみの果てに落とされる、

  我が身に降り注ぐ刃となるものは、

  闇の深淵へと消えていけ!

  ダークホール・シールド!

  展開せよ!」


 両手をいっぱいに広げ、魔法を作動させる。黒野大将の前には黒い大きな魔法陣が太平洋側を向いて浮かび上がり、南北に拡がっていった。やがてミサイルはその魔法陣に引き寄せられ、そのなかへと消えていった。


「任務完了。だけどちょっと物足りないかも。あ、あっちは今戦闘中か。ピンチみたいだから特別にサービスしちゃおう。」


 黒野大将は遠視能力を使って太平洋上の戦闘中の艦隊を見つけていた。


「私、黒野魔利によって魔の秘めたる扉を開く。我に背く者たちを闇の力を持ってして制圧せよ!ダークボール。・・・私、黒野魔利によって魔の秘めたる扉を閉める。」


 黒野大将はコマンドのような魔法を詠唱し終えた。


「魔法、魔術とは何でもアリのこと。」


 最後にそう呟いて帰っていった。



 その頃海上では、直轄部隊が戦闘中だった。旗艦大和を先頭に損傷を受けていない艦が急接近攻撃を仕掛けているところだった。しかし、敵艦隊の上空に突然異空間が開き、そこから黒い大きな球体が落ちていった。これが黒野大将による超遠距離魔法攻撃である。これは秘匿とされ、最終兵器の一つとして首相や参謀総長他、参謀と大将のみ知らされていたのだが、黒野大将は勝手に使用したようだった。これらのことを知らない直轄部隊の乗員たちは急減速を余儀なくされ、唖然と敵艦隊が消えていくのを見届けた。そして、事が終えて静穏な海へと戻ったあと、東郷中将は本部に報告をした。



 時は遡り8月16日9時頃。上海基地を防衛するために送られた上海魔法防衛軍は戦闘に入った。都市は激戦地となり、油断などできない状況だった。上海魔法防衛軍を指揮するのは、海道大助中将。この方は魔法協会東京支部では大老のような存在であり、日本の魔法界で一番歳をとっているといえる。黒野大将から「じいじ」と慕われ、この度魔法軍での先陣の指揮を任された。


「正直いってワシは戦などには詳しくない。だが守るよりも攻める方が楽なのは何となく分かる。だから、ワシはこの基地を守ってるから思い切って攻めてこい!その方がワシも疲れんで済むからな、ハハハハハ。」


 というわけで防衛軍なのに攻めに徹してしまった。そして、協会の魔法使いは独自の魔法使いとの違いとして、集団戦闘に弱く、個別戦闘を好む傾向にある。日本側は協会の魔法使いたちで軍が形成されているのに対し、中国側はオリジナルで国独自に教育を施し集団戦闘を主としている。この違いは戦闘に大きく影響し、日本側は戦闘開始から3時間ほどで半分以上もの兵を失った。

 作戦失敗によって多くの兵を失った海道中将は仕方なく本来の基地防衛に兵を固めた。そして、単体ではなく複数人でグループを組ませ、3チームほど敵本営地を捜索に行かせた。


 その後に、中国側は上海基地を陥落、奪還するために突撃を行なった。しかし、日本側も精鋭であるがために守りは破れなかった。一度撤退し、態勢を整えてから再度突撃を仕掛ける。日本側は再びこれをしのぐ。中国側は何度も撤退と突撃を繰り返した。そして、徐々に相手の戦力を削いでいったのである。突撃を開始して3時間が経過した。両者ともに疲弊していた。だがそこにこの状況を打開せんと海道中将が本領を発揮した。


「儒学者・山本常朝は言った、

  『武士道は死ぬ事と見つけたり』と

  日本の武士たるワシは主君である日本に忠誠し、

  この身が果てるまでワシの力をやろう、

  絶対忠誠!」


 よく分からない変な詠唱をし終えた海道中将はその年齢では考えられないほどの身体能力を発揮し始めた。刀を携え、俊敏に敵に向かっていく。敵の攻撃を受け流し、自らの攻撃でダメージを与える。例え自分に攻撃が当たろうが関係なく突き進んでいった。周りの人たちは海道中将を援護し、敵を撃退する。中国側は撤退し、数十分後に再び攻撃してきた。その頃には海道中将の魔法の効果は切れていて、さらに自身も消耗していた。海道中将は老いぼれの自分はもうダメだと判断し、最期の魔法を発動した。それは自身の身体ごと魔力に変えて、他のものたちに分け与えるというものだった。


「ワシにはこのぐらいのことしかしてやれない。あとは頼んだ。」


 消える間際に言い残してこの世から消滅した。


 18時頃。海道中将の願いは残念ながら叶わず、ほとんどの魔法使いたちは亡くなってしまった。それは魔法というものによって海道中将のように遺体すら残らない者も多数いた。

 19時過ぎの日没によってこの日の戦闘は終了を迎えた。かろうじて上海基地は存続しているが、残った魔法使いはほんの数十人であった。上海魔法防衛軍の大敗、中国側の勝利として上海防衛戦は終わった。

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