第二章13話 『Away』
宣戦布告の後、沖縄の在日米軍に指令が渡った。その内容は沖縄周辺海域、空域を制圧せよとのこと。なおかつ太平洋本艦隊が到達するまで耐久せよとのこと。そして、現場での臨時司令官として海軍大将のリッチモンド・ニミッツが任じられた。ニミッツは在駐していた他の陸軍、海軍、空軍の大将らを集めて作戦を立てた。今回最優先されたのは基地の防衛。ほとんど艦艇を出し、付近の海域を警戒、防衛に当たらせ、陸軍は基地の防衛に専念。空軍は交代で飛ばし、沖縄周辺を空から監視する。
しかし、沖縄の街は普段通りだった。その報告を受けたニミッツは日本は沖縄の人々を見捨てるのかと思った。それからニミッツは太平洋艦隊の司令部に連絡をとり、沖縄県民の処遇を問いた。答えは県民を捕虜とし、基地へと収監せよとのこと。ニミッツは陸軍に指示を出し、防衛の半数をそれに回した。時刻は12時30分をまわった。その頃、沖に出ていた艦隊より日本の艦隊を捕捉したとの報告があった。そして、同時に砲撃が始まったとの報告もきた。ニミッツは空軍に日本本島方面へ偵察するよう指示し、さらに陸軍には収監に割いている人員を少数に絞り、沖縄本島各海岸へと布陣するように指示した。もちろん、この基地の防衛も残しつつだ。
数十分後に防衛ラインが展開完了という報告を受ける。しかし、日本戦闘機が来襲の報告もきた。日本戦闘機と空軍は戦闘となったが、日本の方が数が勝っていた。数機が空の防衛ラインを突破し、基地に接近。陸軍が対空射撃を行うが、空襲により北東岸のラインは突破された。しかし、弾薬が尽きたのか日本機はリターンしていった。空軍機も損害は受けたものの無事に帰還した。ニミッツは太平洋司令部に空軍機による早めの支援を要請した。
一方、沖縄海域では日本国防軍南方艦隊との戦闘が続いていた。日本側はアメリカの得意としていることを知っていて、強敵となっていた。アメリカの空母を主とした戦闘に対し、日本は素早く、小回りの効く艦艇でアメリカの艦隊へと入り込んでいく。そして、空母を多数の魚雷で狙い撃ちする。それから、速力の遅い戦艦を主とした艦隊がアメリカの護衛となっている空母の周りの艦を狙う。アメリカ側は主力の空母を失い、劣勢となった。しかし、戦艦の火力と耐久力で対抗し続ける。そこへ他の在日米軍の艦隊が支援にきた。日本の小回りの効く艦隊は残りの魚雷をその支援艦隊に向けて放ち、撤退をした。残った日本の南方艦隊は東へ向けて航行し始めた。アメリカの2つの艦隊はこれを追撃。この隙に日本は東シナ海側から艦隊を沖縄へ向かい、北岸から西へかけて艦砲射撃を行った。
それらの報告を受けたニミッツは艦隊に帰還するよう指示を出す。しかし、そこへ日本空軍による第2波の空襲で、沖縄本島の防衛ラインのほとんどが壊滅した。空軍が迎撃をするが逃げられてしまう。陸軍に生存者は使える武器を回収し撤退せよと司令を出す。それから、基地防衛の次なる策を考えた。
「やはり戦力を分散させるのはタブーだったか。だが、集中させるのも良くない。それにここが落ちるのも時間の問題だ。撤退をするべきなのか。」
そして、時刻は13時をまわった。沖縄本島北側にいた艦隊である日本陸軍は上陸を開始し、日本海軍は引き続き護衛と支援砲撃を行った。さらにそこへ日本空軍が援軍となり、上陸を完了させる。米空軍が抵抗をするが、日本機は戦闘機を引き寄せて陸軍を保護した。そして、米陸軍と日本陸軍は対峙した。
しかし、そこでニミッツは基地より放送をかけた。
「我々、在日米軍は武器を放棄し日本へ投降する!これ以上の抵抗は無駄であると判断し、今ある兵の命を保護することを条件に投降する。皆武器を棄てよ!我々は戦いを放棄する!」
それからニミッツは2つの艦隊にもこのことを報告し、帰還を命じた。
その後、日本との話し合いにより、基地及び武器などを明け渡し、在日米軍兵の身柄は日本本土へ渡ることとなり、国防軍が衣食住を提供し生活することとなった。
沖縄の米軍を制圧し、南の拠点の確保に成功した日本国防軍は作業に覆われていた。南方艦隊の司令官を務める永野海紀海軍中将は阿部啄也陸軍中将とともに沖縄基地敷設のための司令を出していた。米軍式の基地を簡単に日本式へと変える。ここは日本の南端の軍事施設として重要となる。それから、米軍から接収した装備や軍艦の解析・研究をし、日本の軍力の糧とする任もある。自衛隊時代に防衛専守の装備しかなかったがために今の国防軍には強力な戦闘装備がないに等しい。アメリカの装備を解析し応用することができれば大いに日本は軍事力を上げることができる。
それから、日本本州から物資が届き始めたという方向を受けた永野中将はその物資のもとへ阿部中将とともに向かった。倉庫に大量に運び入れられているものは軍用ロボット。遠隔操作も可能だが、AIを搭載しているので基本的には自動で稼働する。兵士不足である日本にとって軍用ロボットは大切な兵力となる。
戦争はまだまだ始まったばかり。過酷な運命が待ち構えているだろう。




