第一章30話 『ドイツ支部 コンビネーション!』
佐倉梅がクマさんたちでサブリンの攻撃を引き付けているあいだに、佐助と金剛は陣形を組んで魔法を唱える。金剛が前に佐助が後ろにいる。普通なら敵の目前でこの体制をとるのだが、彼らは魔法使い。距離が離れていようが魔法なら関係ない。佐助から詠唱をする。
「新撰組・永倉新八の名にかけて。」
金剛が次に唱える。
「敵を追い求め、斬撃を加える。」
金剛が低く剣を構える。それから、佐助が
「風のように追いかけて、影のように付き纏う。」
佐助が高く跳躍する。それから、金剛が
「二つの刃と!」
金剛が力強く剣を十字に振るって、刃がサブリンの元へ向かう。そして、佐助が
「さらなる牙を喰らうがいい!」
それに合わせて金剛がもう一筋、刃を出すと、その上に佐助が乗って、
「「蓮牙狂乱!!」」
二人で詠唱を終える。刃はスピードを上げ、サブリンのところへ突っ込む。更に、佐助が飛んで、上と下から連続で斬撃を加えた。だがしかし、あまり効果はなかったようでサブリンはすぐに佐助に反撃する。佐助は、刀で防ぎながらも、最終的には吹き飛ばされてしまった。その空いたすきに、他の隊士たちはサブリンに一斉魔法射撃をそれぞれ行う。そうしているあいだに、佐助と金剛は再び集まり、陣を組んだ。次は、金剛から魔法を唱え始める。
「新撰組局長・近藤勇の名にかけて!」
「不逞の輩、悪しき者達、我らに仇なす者たちを!」
二人は同時に構える。
「秩序のために!正義のために!」
金剛がサブリンのところへ踏み込んで、攻撃する。それから、追いかけるように佐助が地を蹴り、
「我らの任務を遂行するのみ!」
金剛のあとに、佐助が続けて飛龍剣を加える。
「裏切り者は始末せよ!!」
金剛に合わせて二人で最後の一句を叫ぶ。
「「臥牛斬り!」」
二人は敵を背後から切り刻むように交互に攻撃をした。サブリンは、これを防ぎ続けるが、徐々に体力が削られていった。
「うぅぅぅ、おぉぉぉーー!」
サブリンは雄叫びを上げ、魔力の波動を放ち始めた。金剛と佐助は地へと追いやられ、サブリン以外の人たちは敵味方関係なく、サブリンの魔力を受け続けた。圧力に耐え続けていると、次第に魔力が弱まっていき、やがて固有結界は消滅し、元の世界へ戻っていった。魔力を切らしたサブリンは倒れ、他の英国騎士たちに介抱されながら、撤退していった。その様子を見たシャルルの部隊も撤退を始め、数分後には屋敷の敷地内には敵は居なくなった。最高魔法師は倒せなかったが、なんとかドイツ支部を守ることは達成された。