第一章28話 『アメリカ支部 一掃作戦!』
百合とリリィたちは、アメリカ兵や魔法協会の魔法使いたちをひたすら倒し続けていた。アーサーが中央突破して、メイソンのところへ行ってからもこっちの状態は何も変わらなかった。いや、むしろ守りが堅くなったように思えた。
そんなときにちょうどよく助っ人が来た。太平洋に行っていた十番隊だ。
「お待たせしました!十番隊、援護します。指示をお願いします、百合さん。」
十番隊隊長の原田武蔵が言う。百合は、戦いの隙をみて、振り返って言うと、
「そうね、なら一旦私たちは下がって陣を作り直そう!その間、よろしく!それから、リリィ!下がるよ!」
百合が叫んで、三つの隊は行動に移す。八・九番隊は、十番隊の後ろに後退した。それから、百合は、指示を続ける。
「花音と萌花は、敵を封じ続けて!全員、氷魔法詠唱!」
「「凍り付け、アイスフリーズ!」」
氷によって、多くのアメリカ兵は氷漬けにされた。しかし、魔法使いは、魔法で対抗し無事でいる。これが百合の狙いだった。魔法使い同士、正々堂々と戦いたかったのだ。
「さあ、ここからは私たち、魔法使いの戦い!手加減なしの本気でいかせてもらうよ。」
百合はそう言って、詠唱を始めた。
「戦において先を行く者、死するべからず、
先手必勝、魁とならん、
上総介兼重!」
百合は、跳躍して敵陣に飛び込んで行った。それにリリィも続く。
「闇夜に生まれし女神・エリスよ、
争いをうみ、あらゆる災いを創り、
戦地を紅く燃やせ!ブレッド・ブレス!」
リリィの刀が炎に包まれる。それから、リリィは敵陣の中央に立つと、その燃ゆる剣を振るって、辺りを炎とした。
武蔵は、その炎を利用する。
「スピア・ターン!
風の神々、アネモイよ
突風を吹かせ、数多の槍を貫け!
スピア・レイン!」
敵陣に風を送り、炎の渦を作ると、幾つもの槍を投げ打った。敵の魔法使いたちは、炎にあてられ、熱風に焼かれ、おまけに狂人のように剣を振るう百合の攻撃を受けて、地獄を味わった。
これによって、アメリカ軍や協会の魔法使いたちは大敗したのだった。しかし、まだ最高魔法師・メイソンと抜刀隊が残っている。