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司彩と春休み 後編

「ま、今年も違うクラスでもこうやって遊べるし問題ないんだけどな」

「ファンクラブの人たちにこのことが知られないようにしないとね」

「それな。しかし、ファンクラブねぇ。司彩、見た目はいいもんな」

「見た目『は』ってどういうことかな」


 少し語気が強くなっている。司彩はあんまり表情にでないからつき合いが長くてもたまに感情が読みとれないんだよな。


「サボり魔でグータラで私服はスウェットのみ。気持ち悪いぐらいオタ知識もってるしコメントがおっさんくさい。おまけにネトゲ廃ときたもんだ」

「タカト、ボクだって怒ることがあるんだよ? キミの幼なじみたちにボクのことを男だって伝えたことも割と根にもってるんだよ?」


 珍しく司彩が頬をふくらませている。いつ以来だろう、本当に珍しい。


「そ、そんなにか。すまんすまん、悪かったって。完全に男友達のノリで接してきたから、つい」

「……まあね、ボクもキミに男友達のように接してもらうように振る舞ってきたけどね、さすがにここまで女だって認識されないのはキツいものがあるよ……でもタカトの場合、ヘンに女の部分を意識させると今までみたいに気軽に来てくれなくなるだろうし。それだけはイヤだ避けなきゃ。すると結局いつもどおりなわけで」


 ヤバい。よく聞き取れないけどすごい勢いでブツブツつぶやいてる。そしてモンスターをそれ以上の勢いで倒して経験値荒稼ぎしてる。普段怒らないやつほど怒ったらおそろしいものだ。謝り、いや、褒め倒さなければ!


「いやぁ俺は何を言ってたんだろうな。さっきのはウソだ。見た目だけじゃなく、司彩は中身まで素晴らしい! 寛容な心の持ち主だし、思いやりがあるし、相手の気持ちを察することができるし! そんな司彩と友達だなんて俺はなんて幸せものなんだろう!」

「ボクがそんなとってつけたような言葉で機嫌を直すとでも?」

「だ、だよな。うぅ、どうすれば許してもらえるんだ」

「……まあお世辞だったとしても嬉しいけど。ボクも案外単純だったんだな。あ、そうだ、じゃあお詫びとして何かしてもらおうかな」


 ジト目でこちらを見ていた司彩が、急に唇をつり上げていたずらっ子みたいな表情をする。いったい何を要求されるというのか。


「何でもやらせていただきます」

「そうだね、キミの言うとおりボクはあまり服を持っていない。出不精なボクだけど将来的にはアニメ関連や声優さんのイベントに参加したいと思ってるから、服を買うのに付き合ってもらうとしよう」


 なんだか拍子抜けだ。もっとキツい要求かと思ったんだけど。これはむしろ喜ばしいことだ。超絶インドアでめったに外にでたがらない司彩が、自分から外出の提案をするなんて。


「なんだ、そのくらいなら全然いいよ。服についてはアドバイスできそうにないけど、荷物持ちとかならできるぞ」

「服についてはググってくから問題ない。服だけじゃなくグッズとかも買いたいから荷物持ちをお願いするよ。日程はまた相談して決めよう。ふふ、楽しみだね」


 不機嫌オーラをだしていた司彩が一転、おもちゃを与えられた子犬のように楽しそうに。

 ひとまず機嫌を直してくれたようで安心だ。にしても、一緒に買い物するのをここまで楽しみにしてくれるなんて。いや、それは俺も同じか。よく考えると司彩と2人で外出したことないな。もう何年も友達付き合いをしてるのにだ。ワクワクしてきたかも。

 山谷とフィギュアとかゲームとかグッズ買いに行くけど、俺とキャラの好みが正反対すぎて買ったものについて語り合えないんだよな。お互いの推しキャラの魅力をぶつけ合うのもそれはそれで楽しいんだけど、たまには同じ好みのやつとわいわい言いながら買いものしたいなぁと思ってたところだ。


「俺も楽しみになってきた。予定確認したらメールするわ~」


 まごめとカナに強引につっこまれた予定があるからな。うちにあるカレンダーで確認せねば。


「ボクもネトゲの予定が色々つまってるから確認してみるよ。もしかしたら2ヶ月後くらいになるかもしれない」


 俺はネトゲはサイガーオンラインとあと1つしかやってないけど、司彩はそれ以外にも2、3ゲームかけもちしてるからな。その分イベントやら経験値稼ぎで忙しいのだろう。


「だな。そういえばそろそろ大規模ギルド戦がはじまるんじゃないか?」


 話がひと段落したところでチラッと時計を確認したら昼の12時だった。サイガーオンラインでは1日の中の決められた時間にギルド対ギルドで戦うイベントが開催される。今日はギルドメンバーの参加率が高いから本気で勝ちにいこうと意気込んでいたのだ。


「おっと、もうそんな時間か。後方支援の鬼タカトよ、アイテムの準備はいいか? ステ振りは適切か? いざ、出陣!」

「お~!」


 そしてネトゲにのめりこむ俺たち。

 うん、最初は司彩んち来るの渋ってたけど来てよかったな。こんな春休みのはじまりもアリだろう。

 んじゃ、いっちょ後方支援の鬼としてサイガーオンラインで有名な俺のキャラ『タカト』の実力、発揮してくるとしますか。

 ちなみに司彩のキャラ『ルーラー』には『血まみれ戦姫』なんて二つ名がついてたりします。パネエっす我らがギルマス。

 その後もひたすらゲームをしたりマンガを読んだりして1日が終わりましたとさ。う~ん充実してるね!

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