表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/46

司彩と春休み 中編

 恒例行事のごとく俺がインターフォンを押す直前に出迎えてくれる司彩。ずっと窓の外見てるとかヒマ人か。

 今日も今日とてサイズの合っていない大きめのスウェットに、やる気の感じられない目。うん、元気そうだ。


「お前が脅しまくるからだろ! 勘弁してくださいよギルマスぅ」


 サイガーオンラインというネトゲでは『ギルド』という集団を作ることができ、ギルドのリーダーたる『マスター』の承認によってメンバーを増やすことができる。

 ギルドのマスター、略してギルマス。言い忘れていたが司彩は俺が所属するギルド『聖魔騎士団』のギルマスで、俺は創始者の中の1人だ。ギルド名は俺がつけたわけじゃないからな司彩が考えてつけたんだからなそこをお間違えなきよう!


「脅す、なんて人聞きの悪い。幼なじみがかわいくお願いしただけじゃないか」

「幼なじみとかいう単語は使わないでくれ。それにそのお願いとやらにかわいさの要素なんて1つもなかったんだが」

「相も変わらずタカトは幼なじみ属性が嫌いなんだね。ボクは好物なんだけど」

「その部分だけはわかりあえないな」

「キミの場合、本当に幼なじみ属性が嫌いかどうかあやしいところだけどね。気づいてないだけかもしれないけど」

「? どういうことだ?」

「まったくキミはとことん残念なやつだなぁ」

「説明求ム」

「自分の心に聞くことだね。さ、こんな生産性のない話はいいから早く部屋に行こう。モンフォンで協力プレイしたあとサイガーオンラインで経験値稼ぎだ」


 そう言って家の中に入っていく司彩。俺もあわててあとを追いかける。

 ああ、何度来てもこのオタク部屋はいい。心が浄化されていく。

 そんな空間でやるゲームは格別。趣味の合うやつとだからなおさらだ。

 ポータブルゲームでの協力プレイが終わり、だらだらと雑談しながらのネトゲに移る。


「そういえばさ、カナとまごめに司彩のことについて問いつめられて、とっさにウソついちゃったんだよ」

「ほう。どんなウソを?」

「司彩は男友達だ、っていうウソ。そうでもしないと今頃どうなってたか。こうやって気軽に家に遊びにこれなかったかもしれない」

「賢明な判断だ。でも、もし新学期に同じクラスになったらどうするんだい?」

「そのときは腹をくくるしかないな。なんとか説得して遊びに来れるようにする。ここは安息の地だからな」

「お、嬉しいこと言ってくれるじゃないか。ボクもタカトと遊べなくなるのはさびしいから、彼女らと同じクラスにはなりたくないな。タカトとはなりたいけど」

「同意だ。でも司彩、同じクラスになっても教室でほとんど話かけてこないよな?」


 今まで司彩と同じクラスになったのは小3と中2の2回。小3のころは普通にみんなでわいわい遊んでいたが、中2のころは同じ教室にいてもほぼ関わりがなかった。


「ボクはキミが教室で楽しく過ごしてる姿をぼんやり眺めてるのが好きなんだ。それにファンクラブ会員とかいう妙なやつらが、昔教室でタカトに話しかけただけで大騒ぎしたし、迷惑をかけたくない」


 そんなこともあったなぁ。あのときはヒドい目にあった。あいつらの暴走ぶりなんとかしてほしい。司彩と会話するたびに校舎裏に呼び出しだ。もちろん行かないし追いかけられても逃げこむけどな。司彩の背中に。あ、でも1回、どうしても学校でネトゲの戦略を練りたくて隠れてお昼ご飯一緒に食べて、それが見つかったときは死ぬかと思った。

 だいたい司彩に対して幻想を抱きすぎなんだよ。

 そりゃまあ司彩はファンクラブができるほどの超絶美人だよ? 形のよい眉、スッと通った鼻筋、雪のような柔肌に、中性的な容貌。サラサラロングヘアーのクールビューティでおまけにスタイル抜群。身長は170ある俺より少し低いくらいで、細身のくせに巨乳という学校中の女子にケンカを売っていくかのような高スペックだけど、中身が残念すぎるのだ。一言で言えばただのクソヲタだしリアルで一人称がボクとかイタすぎる。ボクっ娘が許されるのは2次元だけだ(あくまで個人的な意見です)。

 ちゃんとファンクラブのやつにも説明したんだがまったく信じてもらえないしとっくにあきらめてる。けど。


「んなこと気にするなよ。もしまた一緒のクラスになったら司彩と教室でオタトークとかしたい。ファンクラブのやつらのまき方も身に付いてるし、迷惑とか感じないから心配すんな」


「ふふ、ボクはキミのそういうとこ、好きだよ。そうだね、同じクラスになったら教室でしゃべったり一緒にお昼ご飯食べたりしようか。同じクラスになれたらだけど、ね。毎年まいとし神を恨みたくなるよ。なぜキミの幼なじみたちはそんなに同じクラスにかたまるんだおかしい絶対おかしいなんでボクだけ」


 司彩の瞳がどんどんにごっていく。それでもコントローラーを離さないのはさすがといったところ。なんで話しながらプレイしてるのにそんな超絶プレイできるんだよ。


「おーいそこらへんでストップしろー」

「おっとボクとしたことが。失敬」


 司彩とカナ、まごめが同じクラスになったらどんな化学反応が起こるのか。楽しみなような怖いような。ま、結局またいつものように俺とカナ、フィフティフィフティでまごめも加わるくらいだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ