第4章 あの人も転生者……?(1)
スライムのジェルオの召喚使役に成功したカイトは、新しい養父母家族に自分が異能である召喚能力持ちであることを秘密にするか、伝えるか迷っていた。
スライム位なら、屋敷でも浄化で使用しているのでスライムが徘徊していても怪しまれていないが、できればコボルトを新たに捕獲したらモフモフ堪能のために側に置きたいのだが、さすがにバレるだろう……。
もし仮に異能をカミングアウトして搾取こき使われる羽目になっても、冒険者ギルドにはもう登録済みなので、ランクアップになるし、魔獣から出るアイテムを買い取りしてもらい、お金を貯めていけばいいような気もするし。
冒険者ギルドに登録する時には、マグネルとアンナに付いて来てもらって、テンプレで雑魚冒険者に絡まれるかとワクワクしていたのだが、何事もなかった。
「『小僧が冒険者ギルド受付は10年早いんだよ!』と因縁つけられるかと思ったのに……」
カイトの洩らした独り言に、
「王族の赤目をしていて、私を護衛に連れているカイト様には、誰も絡みませんよ」
マグネルはケラケラ笑いながら答えたのだった。
ガルス辺境伯は、戦さや魔獣狩りで戦死や負傷した家臣団に手厚いので貴族の割に貧乏な様子で、人の良さが感じられるし………。
王都に巣食う蛇蝎のような奴等とは違う気がするし……。
邸内の敷地にある畑をカイトは最近手伝っていた。体力作りも兼ねて。畑にはジャガイモやさつまいも? に見える芋があり、気になっているのだが……。
* * *
ある日、畑には先客がいた。義姉になるリリアナだった。さつまいもをじっと見つめていた。
「大学芋〜バニラアイスと一緒に食いてえ」
聞き間違いでなければ、リリアナがそう呟いているのが、風に乗って流れてきた。
(大学芋だと⁉︎そんなスイーツ、この世界にあったっけ?
バニラアイス……冷凍の魔道具やバニラ自体、王都でも高級高額で、貧乏辺境伯家が食せるのか? まさかリリアナさんも転生者……?)
カイトの胸に疑惑が湧いたのだった。
(もう少し観察してみよう。転生者と確信が持てたら、秘密を打ち明けるべきか……まさか異能持ちは転生者?)
ふと仮説が浮かび、カイトに悩みが増えたのだった。
* * *
リリアナは前世持ちだった。腐女子であったリリアナの前世は女子大生莉里で、BL &百合イベントに参加する途上で、事故に巻き込まれ死亡……。
気づいたらガルス辺境伯家の令嬢として生を受けて、人生が再スタートした。
異世界転生チートスキルが、悪役令嬢ぽい異能の毒だったのが納得していない。転生になった理由もよく分からない……。
異世界チュートリアルしてくれる存在もなかった。
(どうせなら毒ではなくて、描いた物が本物になるとかにして欲しかった……コンビニスイーツ食いてぇ。この世界、飯マズ過ぎ)
美術部だったリリアナは、とても不満だった。
ラノベであるグルメジャンルで、唐揚げ等日本料理作り大絶賛系よくあるがそんなの料理上手がやれること。
私は腐女子。料理はママンにお任せの腐女子なんだよ。料理できずなんだよ。
(美味しい物が食べたいです!)
(腐本読みたい……この世界に存在しない……ハァ)
「誰だよ?この世界に転生させた奴。この世界、つまらな過ぎ」
リリアナは今日も物憂げで不機嫌そうな様子で、そう独白していたのだった。




