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第54話 だなぁ〜

「こいつはエメラルドオークだな・・・。普通のオークは肌が緑色なのだが、このエメラルドオークは、緑色の肌に光沢や輝きがあり、皮膚も硬い。強さも通常のオークの数倍と言われている怪物だ・・・。そいつの腹に穴を開けるなど、並大抵の力ではないと思う。それに・・・」

 ドラキュラはエメラルドオークの周りを注意深く観察した。

 それから辺りを見回し、さらに視線を数m先まで伸ばし注意深く見回した。

 

「争ったような形跡が見当たらない・・・ということは、こいつの腹に穴を開けた奴は、このエメラルドオークに抵抗させないほどの圧倒的な強さを持っていたということだ!!!それでもこんなに綺麗に穴を開けるのは難しいと思うのだが・・・」

 不気味さの残る当たりを見回しながら、ドラキュラのワクワクにスイッチが入った。


 しかし、次の瞬間・・・


「バウバウバウバウバウバウ!!!」

 ドラキュラの背後から野生の狼が飛び掛かって来たのである。

 完全に死角。

 しかし、ドラキュラにとってみれば、ただそれだけのことである。


 バガァァァァァァンンン!!!

 ドラキュラの裏拳が狼にクリーンヒットし、オオカミはそのまま地面に落ち、気絶した。


「それだけ大声を出していれば、ここに居ますよとアピールしているようなもんだ!!!」

 そう言いながらドラキュラはオオカミに近づいて行った。


「なるほど・・・。俺がオークをこんな姿にしたと勘違いし、今度は自分が襲われると思って背後から襲ったといったところか・・・。しかし・・・オオカミほどの嗅覚があれば、オークを倒したのが俺じゃないことくらい匂いで分かりそうだが・・・???なぜ、俺を犯人と間違えたのだろうか???まだ犯人は遠くへ行っていないのか???となれば、まだ近くにいる・・・のか???取り敢えず、急いでこの場を移動するか!!!オオカミは群れで行動するというからな、もしかしたら、そこまでこいつの仲間が来ているかもしれん。全員を相手にしているほどの時間は、今の俺には無いからな。早く、美味しい食材を探さなくては・・・!!!何としても、あの伸び伸び出来そうなテントを手に入れるぞ!!!」

 ドラキュラもシナと同様に、目の前の状況と料理勝負は別腹だった。

 

 ドラキュラは再び辺りを見渡した。

 すると遠くの方に明るく輝く場所が見えた。

 それは先ほど見回した時には木々に隠れて見えなかった場所である。

 ドラキュラは本能の赴くままに光の方へ歩いていった。


 近づくとそこに何かがいるのが分かった。

 その者は黙々と宝石を眺めていた。


「いいなぁ〜コレ!!!綺麗だなぁ〜!!!貴重って聞くとさらに綺麗に見えるなぁ〜!!!」

 男は指で摘んだ宝石を空に掲げ、下から覗き込みながら大きな独り言を続けていた。


「エメラルドオークって美味しいだけじゃなく、見ても楽しめるんだなぁ〜!!!素晴らしいなぁ〜!!!」

 男の身につけている衣服は袖が短かった。

 そのため男の腕の地肌がしっかりと見えた。

 そこには・・・


 "4"


 の数字が刻まれていた。


 ガサッ・・・


 ドラキュラは地面の草を強く踏みしめた。

 その音に男が反応した。


「誰だなぁ〜???」

 男は振り返り、ドラキュラと目が合った。


「驚かせてすまんな・・・。歩いていたら、そこでエメラルドオークの死体を見つけてな・・・。その姿があまりにも印象的だったもので興味が湧いて、誰が、もしくは何が、これをやったのか散策していたところだ!!!」


「ふふぅ〜んだなぁ〜!!!」

 男は嬉しそうな表情を浮かべて得意げだった。


「何か知らないか???」

 ドラキュラは分かりきった質問を本人にした。


「そうだなぁ〜、どうだかなぁ〜!!!オイラがやったのかもしれないなぁ〜!!!」

 やはりそうか

 ドラキュラは心の中で呟いた。


「この拳でだなぁ〜、ドカーンと殴ったらだなぁ〜、ボコーンと体に穴が空いたのかもしれないなぁ〜!!!そんなことより、この皮膚とても綺麗何だなぁ〜!!!だからこうして眺めていたんだなぁ〜!!!」


「そいつのためにわざわざこんな辺境の地にまで足を運んだのか??」


「そんなわけないんだなぁ〜!!!他にもというか、元々の目的があったけれど、たまたまここに来てこのオークを見つけたんだなぁ〜!!!他にも珍しい怪物をたくさん見つけたんだけど、オイラを見るなり襲って来たヤツらは返り討ちにしてやったんだなぁ〜!!!」


「なるほど・・・。では、お前はこれからその目的を果たすために行動するといったところか???」


「そうなんだなぁ〜、ただ、お前はついて来ちゃいけないんだなぁ〜!!!」


「なぜだ???」


「オイラは今からとても大切なことをするんだなぁ〜!!!誰にも見られないようにって言われたんだなぁ〜!!!」


「そうか・・・。それは悪かった」


「良いってことなんだなぁ〜!!!ところで自己紹介がまだだったんだなぁ〜。オイラはハチって言うんだなぁ〜!!!」


「ドラキュラだ。よろしくな!!!」


「ドラキュラ・・・???どこかで聞いたことがあるんだなぁ〜!!!」


「そうか、お前も俺を知っているのか・・・???やはり俺は有名人なのだな」

 ドラキュラはまんざらでもない顔をした。


「では、オイラはそろそろいくんだなぁ〜!!!あんまりダラダラしているとボスに怒られてしまうんだなぁ〜!!!」


「ボス・・・???」


「そうなんだなぁ〜!!!ボスはとても優しいんだけれど、怒ると怖いんだよなぁ〜!!!時間に厳しい人だから急がないと怒られてしまうんだなぁ〜!!!へがぁぁぁぁ!!!」

 ハチは首からぶら下げていた時計を見て驚いた。


「どうした・・・???」


「もう、こんな時間なんだなぁ〜!!!あと少しでボスとの待ち合わせ時間なんだなぁ〜!!!さっき急に会いに来てくれて、場所を変えて話がしたいって言ってくれたんだなぁ〜!!!あれは、オイラにしか出来ないお願いをされる予兆なんだなぁ〜!!!これは期待に応えるしかないんだなぁ〜!!!とはいえ、ボスは人使いが荒いんだなぁ〜!!!」

 などと、色々一人で言いながら、ハチはノソノソと歩き始めた。


「気をつけろよ!!!ここら辺は危険なモンスターがたくさんいるぞ!!!・・・と言ってもここら辺のモンスターを倒してるくらいの実力者だ、心配するだけ野暮か・・・。ん・・・???」

 ドラキュラは何かに気がついた。

 ハチがエメラルドオークの肉を置き忘れて行ったのである。


「コレもらって良いのか・・・???どうしよう・・・」

 と考えていると、


 ガサッ!!!

 近くの茂みが揺れ、眩しいほどの輝きを放つツノを持った獣が現れた。

 獣は急いでこの場所へ来たのだろう。

 ツノに看板のようなものが突き刺さったままだった。

 ドラキュラはその看板に書かれている文字を読んだ。


 ここら辺は主が出ます。


 そこには主の絵も添えられていた。

 その絵は目の前の獣にそっくりだった。

 看板にはこうも書いてあった。


 好物はエメラルドオークです。

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