表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/67

第43話 NGワード

「何かドラキュラさまが仕掛けるつもりのようですね」

 ニニはドラキュラの次の一手を楽しそうに見守っていた。


「ははは・・・、何だ???本気を出すのか???今までのあれは本気じゃなかったと言うわけだ!!!負け惜しみを言いやがって」


「いや、俺が負け惜しみを言っているかどうかは、お前が一番わかっているはずだ!!!同時に俺との実力差もな・・・」


「ぐ・・・」

 図星のメジは唇を噛み締めた。


「俺は"お前に勝てない"と思って攻撃を遠慮しているわけではない!!それだけは誤解の無いように言っておく!!!はぁ・・・」

 ドラキュラは大きくため息をついた。


 チッ、ここまで大見栄をきったのだからやらざるをえんか・・・。

 元々、俺自身を奮い立たせるためにきった見栄でもあるしな。

 だけど全然気持ちが乗らない・・・。

 ふぅ・・・。


 頭ではわかっていながらも先ほどから躊躇を見せるドラキュラ。

 なかなか次の一手につながらない。


「やっちまえ、ドラキュラさまぁぁぁ!!!」

 ニニの声にドラキュラは反応した。


「ふん、ニニにあそこまで言われては、これ以上無様な格好は見せられんな・・・」


「色々と考えているようだが、考えるだけ無駄だ!!!そんな優柔不断だと嫌われるぞ!!!」

 メジとしてはドラキュラを軽く煽るつもりで言ったのだった。

 しかし・・・、ドラキュラのリアクションはメジが想像していたのとは大きく違っていた。


 ブチンッ!!!

 メジは言ってはいけないことを言ってしまったのである。

 実はドラキュラは"それじゃ人に嫌われるぞ"的なことを人から言われるのが大嫌いなのであった。

 それは感情が戻る前から持っていた沸点であった。

 ドラキュラは処刑人という仕事をしているため、自分が周りからよく思われていないということを十分に理解していた。

 しかし、本人は出来れば多くの人に好かれたいという願望を持っていたのである。

 仕事以外の場面では出来る限り良いことをした。

 社会のルールはしっかり守って来た。

 綻びが出れば人から嫌われる可能性が高くなる。

 そう考えたドラキュラは普段から色々と気を付けながら生活を送っていたのである。

 その継続がドラキュラの中にアイデンティティーやプライドを産み落としたとも言える。

 そのため、誰かに"嫌われるぞ"などと言われると、とてつもなく不快になるのであった。

 とはいえ、感情が戻るまではただただ嫌な気持ちになるだけであった。

 自分でもどうしてこんな気持ちになるのかがわからない。

 そもそもこの気持ちは何???

 答えが見つからず不安を抱えることもあった

 時には数日様子がおかしくなり周りを心配させることもあった。


 以上が感情が戻る前の話。

 

 では、感情が戻った今のドラキュラにその言葉を投げかけるとどうなるのか??

 答えは、"怒りへ直結する"である。

 それは感情を手に入れたことにより、"嫌な気持ち"がドラキュラの心の中に新たな通り道を見つけたからであった。

 端的にいうとメジはドラキュラを怒らせてしまったのである。

 もちろん、感情を手に入れてからこういったことを言われたのは初めてである。

 そのためドラキュラ自身も上手く自分の怒りについて理解は出来ていなかった。

 しかし、今まで幾度か感じた"嫌な気持ち"が、今日はとてもスムーズに自分の体の中を巡っていくのを感じた。


「おい、ガキ!!!今までの無礼を詫びるのならチャンスをやる」

 それでも天性の優しさを持つドラキュラは、メジに逃げ道を与えた。


「は・・・、はは・・・、そんな・・・、もの・・・、いらねぇよ・・・!!!」

 流暢になったはずのメジの言葉がたどたどしくなった。

 理由はメジ自身がわかっていた。


 プルプルプルプル・・・。

 

 な・・・、何だよこいつのこの威圧感は・・・???

 すくんで体が動かねぇ・・・。

 なのに、勢いでついあんな強気な発言をしてしまった。

 もう、俺は終わるかもしれない・・・。

 メジは"ほぼ完全に"と言っていいほど植物に意識を奪われていた。

 それでもドラキュラへの無礼を後悔したのである。

 それは、それほどまでの恐怖や威圧がメジを飲み込んでいたからである。


「わかった。お前が望むのなら叶えてやる!!!これで終わりだ・・・!!!」

 ドラキュラの言葉にメジは覚悟を決めた。

 そして、全てを受け入れ、その場に立ち尽くしたのである。


「母さん・・・、ごめん」

 薄れゆく意識の中、呟くようにメジは母に謝罪した。


「メジィィィィィィ!!!」

 メグの耳にメジの謝罪の言葉は入って来ていない。

 しかし、母としての勘、いやそれ以上に確実な何か・・・、あえていうなら家族の絆のようなものが、メジの覚悟をメグに伝えたのである。

 もちろん、届いたのはメグだけである。

 ドラキュラにその声は届いていない。

 だからドラキュラは容赦なく攻撃を仕掛けた。


「お気を確かに、ドラキュラさまぁぁぁぁぁ!!!!!」

 ニニもドラキュラの様子がいつもと違うことに気がついていた。


 さっき確かにメジは"嫌われるぞ"とドラキュラさまに言った。

 確かあの言葉はドラキュラさまにとっての禁句だったはず・・・。

 もしそう言った言葉を投げかけられていたのなら、ドラキュラさまの様子がおかしいのも納得が出来る。

 過去に同じような言葉をドラキュラさまが言われて調子を崩したのを何度か見てきたから・・・。

 ただ、今回は今までと違って怒っているように見えた。

 あんなドラキュラさまは初めてだ!!!

 感情を取り戻したからなのだろうか・・・??

 どちらにせよヤバイ!!!

 ここから見ても分かる、ドラキュラさまのとんでもない力が溢れている!!!

 このままだとドラキュラさまはメジの命を奪ってしまうだろう・・・。

 だからと言って、今のドラキュラさまを止める術を僕は持っていない。

 万事休すなのか・・・???

 それでも諦めずにニニはドラキュラを止める方法を考えた。

 しかし時は既に遅かった。


「くらいやがれ・・・」

 ドラキュラの気迫が周りを沈黙させた。


「あぁぁぁ・・・、終わった・・・」

 ニニはメジの命を諦めた。


「しょうがないわよ、出会い方が悪かったわ・・・」

 ムーンも諦めていた。


「吸血ーーーーー!!!」


「え・・・、吸血・・・???」

 ニニが驚いた。


「何かと思えば、吸血・・・???」

 ムーンも驚いた。


「ってか、今のメジは植物ですよ???」

 ニニはもっともなことを言った。


 ガブゥゥゥゥゥゥ!!!!!

 ドラキュラは植物に噛み付いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ