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第24話 今週の新能力

「さて・・・と、この後の予定も出来たことだし、さっさと本当の罪人とやらを捕まえて帰るとしようか」

 ドラキュラが手首や足首のストレッチをしながら言った。


「はははは!!もう勝負がついたような口ぶりだなぁ??」


「勝負など初めからついているだろう??」


「ふんっ、減らず口め!!その余計な一言が、相手を苛立たせるということを覚えておけ!!命取りになるぞ!!」

 そう言うとボリべは先に攻撃を仕掛けた。


 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・

 しかし、ボリべの攻撃はドラキュラに片手で止められてしまった。


「俺は処刑人だ!!すでに"命取り"になっている!!」

 そう言って余裕の笑みを浮かべるドラキュラ。

 その様子と、それに見合った実力にボリべは思わず恐怖した。

 自分が遥かにパワーアップしているにもかかわらず・・・。

 本能的に感じた相手との力量差を感じたのである。

 気がつけばボリべはドラキュラと距離をとっていた。


「どうした??俺を倒すのではないのか??」

 ドラキュラはこれといった構えをとることもなく話す。


「まぁ、焦るなよ!!誰も近づいて倒すとは言っていないだろ!!」


 寄寄羽羽散散(ききばばざんざん)


 ズラァァァァァァァァァァ!!!

 ボリべから射出された無数の羽がドラキュラを狙いすまし、空中で止まった。


「お前にこれが避けきれるかな??くらえぇぇぇ!!!」


 ブワァァァァァァァァァァ!!!

 羽が一斉にドラキュラに向かって飛んできた。

 しかし、ドラキュラに焦る様子など全くない。

 それどころか楽しんでいるようにさえ見えた。


「それでは行ってみよう!!今週の新能力ぅぅぅ!!!」


 ドンドンドンドン、パラリラパラリラァァァ〜♫

 場違いとも言えるほど、陽気なマーチングバンドの音が、どこからともなく聞こえてきた。


「今週の新能力は、爆発予定だったホテルから教会へ向かう途中、俺が急いでいるにも関わらずケンカを売ってきた男を吸血した時に手に入れた、この能力だぁぁぁ!!!」

 そう言うとドラキュラの手にアイテムが呼び出された。


「え??アレってもしかして・・・???」

 ニニはドラキュラが持っているアイテムに心当たりがあった。


「今週の新能力はどこでも扇風機を出せる能力でぇぇぇす!!!」

 ドラキュラの手にはPC作業の時に机の上で使われるような、小型の扇風機が握られていた。


「はははは!!何を出すかと思えば手のひらサイズの扇風機だと??そんな小さなもので、このピンチをどう切り抜けようと言うのだ!!!」


「これだから三流は困る!!!見た目で判断し過ぎだ!!やはりお前に一国の王を務めるなど無理だな!!!」


「はん!!!言っていろ!!!強がりだけならいくらでも言えるわ!!この攻撃を受けた後に、もう一度そう言えたのなら褒めてやる!!」


 ズオォォォォォォォォォ!!!

 ボリべの放った羽がドラキュラに近づいて来る。


 カチッ!!!

 ドラキュラは手に持った扇風機のスイッチを押した。


 ブオォォォォォォ!!!

 扇風機は風車を回し始めた。

 しかし・・・


 ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク!!!

 刺さりこそしなかったが、ドラキュラの体全体をボリべの羽がかすめていった。


「いやいやいやいや、風弱過ぎぃぃぃ!!!」

 思わずニニが突っ込んだ。

 そう、手のひらサイズの扇風機が起こした風は、その扇風機のサイズに見合ったとても優しい風だったのである。

 事務作業中の人が落ち着いて集中出来るくらいの威力とも言える。


「くくくく、ははははは!!!いやぁ〜、まさかとは思ったがやはり口だけだったか!!」

 ボリべは声高らかに笑った。

 なぜなら安堵したからである。

 ボリべの中から、先ほどドラキュラに近づいた時に感じた恐怖がずっと抜けなかった。

 今回も"何か秘策でもあるかもしれない"と警戒していたのである。

 しかし、蓋を開けてみればなんてことは無い。

 想像通り、子供でも考えつくような結末を迎えたのである。

 ボリべは自分が考え過ぎていたのだと胸を撫で下ろした。

 だが、それはただの勘違いだった。


「気づかぬか??」

 ドラキュラが自信満々に言った。


「何をだ??」


「お前の攻撃が全てかすっただけだということに!!これではいつまで経っても俺を倒すことは出来んぞ!!」


「はぁ・・・???全身に切り傷をつけられたヤツが何を言っているのだ??最早、強がりと言う言葉すら勿体無いほどに見苦しいぞ!!」

 確かにボリべの言う通りである。

 これだけでは、ドラキュラがただ強がっているだけに見えるのは当たり前だった。

 だが、ニニだけはわかっていた。


「出たよ、ドラキュラさまの悪い癖、と言うより"こだわり"か・・・」

 ニニの呟きがボリべの耳に届くことはなかった。


「だがまぁ、お前の言う事も一理あるだろう・・・。そう言うことならば期待に応えてやる!!次は身体中に突き刺すように放つから覚悟しろ!!」


 寄寄羽羽散散(ききばばざんざん)

 再び、ボリべの周りに無数の羽が現れた。


 ズオォォォォォォォォォ!!!

 再び、ボリべの放った無数の羽がドラキュラを襲った。


「ドラキュラさまにはこだわりがあるのです!!吸血によって得た能力をまずはそのまま使ってみるというこだわりが・・・!!そして、一度そのまま使えばその能力の本質を見極めてしまいます。次からはその能力に自身の力を掛け合わせて、完璧に自分のものにしてしまうのです!!要するに、ドラキュラさまの新能力は2回目からが本番ということ。多分、さっきのでもうこの能力は自分のものにしているはず・・・」


「さてと・・・。大体この能力はわかった。例えば使った者の力によって扇風機の大きさを変えられるということ・・・」


 ドォォォォォォンンン!!!

 さっきまでドラキュラが持っていた手のひらサイズの扇風機が、直径5mもの大きな扇風機に姿を変えた。


「そして・・・、使う者の力次第ではこういう事もできるということ」


 ドォォォォォォンンン!!!

 なんとドラキュラは先ほどの大きな扇風機と同じものをもう1台出現させたのである。


「な・・・、何だと・・・???」

 ボリべは2台の扇風機の迫力に度肝を抜かれた。

 が、さらにボリべは驚かされることになる。


「よいしょっと・・・」

 そう言ってドラキュラは右手と左手で、それぞれ巨大な扇風機を1台ずつ持ち上げたのである。


「えぇぇぇぇ!!!」

 コレにはボリべも目玉が飛び出るくらい驚いた。


「うりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

 ドラキュラは2台の扇風機を使い、その風で迫り来る羽根を押し返した。


「ば・・・、バカな・・・」

 ボリべは呆然とした。


「何度も頂いてばかりでは悪いので、今回は返すぞ!!!」

 そう言うとドラキュラは2台の扇風機を30cmほど宙に浮かせ、自由になった両手を使い扇風機のボタンを押して風力を"強"にした。

 結果、羽根は巨大な扇風機の風に乗り、ボリべから放たれた時よりも遥かに早い速度でボリべの方へと返ってきた。


 ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス!!!

 無数の羽がボリべに突き刺さった。


「借りたものはちゃんと返さないとな!!俺が罪人になってしまう!!」

 ドラキュラは楽しそうに笑った。

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