第22話 それぞれの本気
「さてと・・・。やるべきことはやったし、ここからはお楽しみタイムと行こうか」
そう言いながら、ドラキュラはポロ・アチチの方へとゆっくり歩いていく。
「俺の助手がお世話になったようで、ここからは俺と手合わせ願おうか、ポロ・アチチどの??」
サンに向かって行った時と全く同じ気迫を帯びたままのドラキュラが言った。
ポロ・アチチは一歩後退りした。
「僕、自己紹介したかな・・・??」
「ふん!!オーラが自己紹介している!!仮に一国の王が教会の影から顔を出してコソコソするようなヤツなら、興醒め過ぎて、とっくにこの場を消し飛ばしておるわ!!」
「冗談に聞こえないところが凄いね・・・」
そう言うとポロ・アチチはニニの方を見た。
そして確信したのである。
こんな化け物に比べれば、やはりニニは卵なのだと。
「君みたいなのがそばにいると助手も大変だね・・・??人によっては強くなることを諦めてしまうレベルだ!!」
「心配はいらん!!もちろんそう言うやつも見てきたがニニは違う!!」
「随分買っているんだね??それほどまでの実力を持っていながらも、しっかり他人を思いやることができるなんて理立派だよ!!」
「一ついいか??」
「何だい??」
「お前の口ぶりからするとまるでニニが弱い奴のように聞こえるのだが・・・??」
「弱いとは思っていないよ!!ただ、君との差は歴然じゃないか!!」
「ニニよ!!」
ドラキュラはニニに確認しておきたいことがあった。
「な・・・、何でしょう??」
「お前、約束を守ったままこいつと戦っただろ??」
「もちろんですよ!!だって、そう言ったのはドラキュラさまじゃないですか??」
「確かにそうだが・・・」
"真面目さもここまでくるとただの強情だな"とドラキュラは思った。
「どういうことだい??」
ポロ・アチチの頭の上をいくつものクエッションが飛び交う。
「いいかポロ・アチチ!!お前はこいつと戦っていない!!」
「は???」
「実は、俺はこいつの更なる成長のために、とある修行をさせていたのだ」
「はぁ・・・」
"だったら何だというのだろう??"とポロ・アチチは思った。
「その修行とは、"3ヶ月間技を一切使わず相手を倒す"というものだ!!!」
「え・・・???」
ポロ・アチチはドラキュラの言っていることが理解出来ないでいた。
「それは基礎の力を付けさせるために課した修行だった!!多分その延長線上で、こいつはお前との戦闘で一度も技を使っていないんじゃないか??」
「確かに・・・。ちょっと待ってよ、その約束を僕との戦闘でも守ってたってこと??」
「えぇ、もちろんです!!ドラキュラさまとの約束は絶対ですから」
「マジ・・・??」
「マジです!!」
ニニの瞳は澄んでいた。
「驚いた!!自分でこんなことは言いたくないんだけれど、僕は一国の王だよ!!それに見合った力だって持っていると自負している。その僕を相手に・・・、君は技も使わずに勝とうとしていたのかい??」
「えぇ!!流石に無理だなと思ったので、約束を破る覚悟を決めたのですが、ちょうどそこにドラキュラさまがいらっしゃったので、何とか約束を破らずにすみました」
「何なんだ君たちは??」
ポロ・アチチは開いた口が塞がらなかった。
「すみません。わざとではないのです!!私も本気で戦っていはいたんですよ。制約の上でですけどね・・・」
「君も君で化け物だったんだね・・・」
「安心しろ!!それでも第二回戦だなんて野暮なことは言わない!!ちゃんと俺が相手してやる」
「貪欲で血気盛んだねぇ!!流石ドラキュラと言ったところかな・・・??」
「ふん!!有名人は辛いねぇ」
「ははは、では、僕も本気を出していこうかな!!ハァァァァァァァァァァ!!!!」
ズアォォォォォォォォオオオ!!!!!!
ポロ・アチチを激しいオーラが包み込んだ。
「さぁ、おいで!!」
ポロ・アチチが手首を動かし挑発した。
「もう来ているぞ!!」
手首を動かし終わるその前にドラキュラは距離を詰めて、攻撃を仕掛けた。
「ちょっと待って、速すぎない??」
自分のパワーアップが霞むほどにドラキュラのスピードは速かった。
シールドボルケーノ
ポロ・アチチはニニの時よりも遥かに頑丈なシールドを炎で作った。
「だからどうした??」
バガガガガガガガッシャーーーーーーンンン!!!
しかし、ドラキュラはお構いなしにシールドを破壊。
そのままの勢いでポロ・アチチの顔面へパンチをくらわした。
ボッガァァァァァァァァァァンンン!!!
ポロ・アチチは吹き飛んだ。
しかし、スグに起き上がった。
「痛たたたたたた!!久しぶりに顔面にパンチなんてくらったよ・・・」
どこか嬉しそうな表情を浮かべポロ・アチチは言った。
「まだ終わってないぞ!!」
ドガッ!!バギッ!!ズガッ!!
ドラキュラの攻撃が次々とポロ・アチチを捉えていく。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
ポロ・アチチの足はガクガクと早くも悲鳴を上げ始める。
「ポロ・アチチさま・・・??」
ボリべは自国の国王がおされている姿に言葉を失っていた。
「これほどまでとは・・・。僕の力が全く及ばないね・・・」
「ふん、よく言う!!それで隠せているつもりか??」
「・・・」
ポロ・アチチは驚いた。
自分の真実に気づく者がいたことに。
しかし、驚いていたのも束の間、ボリべが割って入るように話し始めた。
「やっぱり無理なのかぁ・・・。あの方がおっしゃった通りだ!!俺が命を捧げてきたこの国の王は、たかが処刑人ごときにおされてしまうほど弱いのだ!!このままではやられてしまうのも時間の問題・・・」
ボリべは天を仰ぎながら、顔はヘラヘラしながら、独り言のようにブツブツ言った。
「な・・・、何を言っているんだ・・・???」
ニニはボリべの様子に不気味さを感じた。
「今の内にこっちへ!!」
そう言ってクンはサンの手を引っ張った。
「ありがとう・・・。ごめん・・・」
サンは俯きながらサンの手を強く握った。
「おい、そこっ!!勝手なことしてんじゃねぇよ!!」
ボリべの口調が変わり始めていることに、この場にいる何人かが気づいた。
「ゴミがウジャウジャと人の邪魔をしやがって!!」
「何・・・、あれ・・・??」
ムーンがボリべの首筋を見て言った。
ガサガサガサ・・・。
「イヤァァァァァァ!!!」
思わずムーンは大声を上げた。
「何ですか??あの虫は・・・」
そう、ニニの言った通り、ボリべの首筋を上っていったのは虫であった。
そのまま虫はボリべの顔の前側へと向かい、口の中へと入って行った。
「あれは・・・??」
ポロ・アチチは虫について何かを知っているようだった。
しかし、それは全員が周知の事実といった理解ではなく、あくまでもポロ・アチチ本人の知識として知っているものであるように、ドラキュラの目には映った。
ゴクン
ボリべは虫を飲み込んだ。
次の瞬間・・・。
ズオァァァァァァァァァァ!!!!
とてつもないオーラがボリべを包んだのである。
「クハハハハ!!みなぎる、みなぎるぞ!!力がみなぎってくる!!くだらん余興はもう終わりだ!!元々結婚式など、新郎と新婦さえいれば事足りるのだ!!それ以外の者は全員部外者!!俺がこの手で、今から抹殺してくれるわ!!」
今までと明らかに違うボリべの様子に敵味方関係なく驚愕していた。
「ボリべ!!その虫を今すぐ吐き出すんだ!!」
ポロ・アチチが見せたことのない怒りの表情で言った。
しかし・・・、
ドギュン!!!
それは一瞬の出来事であった。
「な・・・、なんてことを・・・。ボリべ・・・、ガフッ・・・」
「もうあなたはこの国に必要ないのですよ!!」
ポロ・アチチの腹をボリべの手が突き抜けた。




