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42.悪魔の書

「俺たちは悪魔の書と呼ばれる一冊の本で、こちらの世界にやってきた」


 黒鬼が俺たちに自分たちのことを話しだした。

 警察官の男性は体調が芳しくないようで、2階の寝室に休みに行っている。


「その本は太古の悪魔がこちらの世界を侵略しようと作ったもので、人の願いを媒体に世界間の跳躍を可能にするほど強力な力を秘めているんだが、そのせいで、その喚び出しを現代の悪魔は拒否できないんだ。

今の悪魔は平和主義の奴も多いし、喚び出されても適当に願いを叶えて帰るんだが、あのピエロ悪魔は今どき珍しく野心を抱いた奴のようでな。

こちらに喚び出されたのをいいことに、何とかしてこの世界に居続けようとしているみたいだ。

このままいけば、奴は本当にこの世界から人間を排除し尽くすだろう」


 それは、まさしく人類の危機じゃないか。


「俺たちとしても、それは本意ではない。

この世界と魔界と天界は三世界揃うことでバランスを保っている。

そのどれかが崩れると、魔界にまでその影響が出る可能性があるのだ。

だから、俺たち自身が戻りたいというのもあるが、俺はさっさとこのゲームを終わらせて、あのピエロ悪魔を魔界に帰したいんだ」


「……なるほど。

それで?

どうやったら奴を魔界に帰せるんだ?」


「それは、悪魔の書を燃やしてしまえばいい。

俺たちはその本を媒介して、こちらの世界に来ている。

本が消えれば契約は消え、亜空間法則によって、俺たちは瞬時に魔界に戻される」


「んで、その悪魔の書ってのは、どこにあんだよ」


 京也に尋ねられ、黒鬼がそちらを向く。


「本はピエロ悪魔が作った特殊空間で、奴とともにある」


「それは、俺たちでどうにかできるのか?」


 それはつまり、その悪魔をどうにかしないといけないってことだ。

 そもそも、そんな所にどうやって行くのか。


「君たちでなければ無理なのだ。

喚ばれた悪魔自身では本を燃やせない。

道は俺が作ろう。

君たちは何とか奴を出し抜いて、祭壇に安置されている本を燃やしてほしい」


「おいおい、肝心のやり方はこっち任せかよー」


 京也が呆れたように天を仰ぐ。


「すまない。

俺も力を借りられる人間が現れるとは思っていなかったから、半ば諦めていたんだ。

俺に出来ることは限られてる。

何とか作戦を考えられないか?」


「…………」


 俺たちはそれぞれ作戦を考えてみるが、やはりすぐには浮かばなかった。


「……そのピエロは、今の俺たちのことを見てたりするのか?」


 今まで黙っていた新一が思い付いたように口を開いた。


「いや、奴が追えるのは自分より格下の、2体の鬼の動向ぐらいだ。

それ以外では、放送の時のように『窓』を開かないと見ることはできない」


「…………ふむ」


 新一はさらに思考を深めているようだった。

 俺たちも考えてはいたが、きっと新一なら、何か良い作戦を考えてくれるんじゃないかと期待している。


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


 その後も、新一は黒鬼にいくつも質問を重ね、黒鬼はそれに1つひとつ丁寧に答えていった。


「…………ふむ。

まあ、やるだけやってみるか」


 そして、俺たちは新一から作戦内容を聞かされたのだった。











 真っ暗闇の特殊空間で、ピエロ悪魔が祭壇に置かれた一冊の黒い本に触れる。


「ふふ。

昔の悪魔は、大変素晴らしいものを残してくれました。

あんな平和ボケした魔界には飽き飽きしていましたからね。

いつまでもいつまでも、この楽しいゲームを続けられるようにしないと。

ふふっ。

ふふふふふふふっ」


 ピエロは笑う。

 もともとつけられた笑いのメイクを上回るほどに。




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