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41.協力要請

 その後、俺たちは学校を手伝ってくれた人たちに任せた。

 三枝木に積極的に協力していた奴らは拘束したままだが、それ以外の者たちで力を合わせてやっていくそうだ。

 俺たちも学校に残ってほしいと言われたが、俺たちには悪魔どもを倒すという目的があるので断った。


「はぁ~!

やっと帰れるぜ~!」


 そして、俺たちは香織と警察官の男性の待つ家へと帰っていった。


 しかし、


「あ、おかえり~」


「お、おかえりなさい」


「ああ、やっと帰ってきたか」


「…………はっ?」


 そこには、香織たちと一緒に居間に座って、お茶をすすっている黒鬼がいた。








「で?

いったいどうなってる」


 京也が一通り騒いだあと、俺たちはようやく落ち着いて、話を聞くことにした。

 居間のテーブルを囲んで、俺たちと黒鬼がお茶を飲むという、なんともシュールは光景が広がっている。


「えっとね、皆が出て、わりとすぐだったんだけど、」


 香織がこうなった経緯を説明してくれた。


 俺たちが出て、警察官の男性がようやく少し起き上がれるようになった頃、黒鬼が突然、香織たちの前に現れたそうだ。

 香織たちは驚いたが、逃走者でもない自分たちの前にいきなり鬼が現れたことに、恐怖よりも、なぜなのかという疑問がわいたと言う。

 そして、黒鬼は香織に頼みごとをしたいと言ってきたそうだ。

 香織はそれに信用できないと答えた。

 すると黒鬼は、香織の願いを1つ叶えようと言ってきたため、香織は俺たちを手伝うように願ったのだそうだ。


「それが、あの放送か」


「そうだ」


 新一がぼそっと呟き、黒鬼がそれに首肯する。


「あれで、お前たちが取り逃がした男と、それに加担していた2人を始末した。

それで彼女は俺の話を聞くことを了承してくれて、お前たちが戻ってくるのを待つことになったのだ」


 この黒鬼という奴は、ずいぶんと理性的で、一緒に現れた他の鬼とはだいぶ違って見える。


「そんなことをして、お前は平気なのか?」


 新一が顎に手を当てながら黒鬼に尋ねる。

 新一が思考を深める時の仕草だ。


「ギリギリだな。

今回、召喚された悪魔の中で、俺が一番位階が上だが、メインで召喚されたのはあのピエロ悪魔だ。

基本的にメイン召喚された奴に従う決まりだから、今回は俺が奴に頼み込む形であれが行われた」


 どうやら、悪魔にも序列のようなものが存在するようだ。

 本来は黒鬼の方が上だが、今だけはあのピエロの方が上ってことか。


「なるほど。

それで、頼みっていうのはなんだ?」


 新一がしばらく考え込んでから黒鬼に尋ねた。


「ああ。

それなんだが、俺からを魔界に返してほしいんだ」


「えっ?」


 黒鬼の頼みに、俺たちは首を傾げた。


「お前らは、楽しくて、やりたいからこのゲームをやってるんだろ?」


 俺の問いに、黒鬼は首を横に振った。


「そんなのはピエロ悪魔だけだ。

紐付けされて喚ばれた俺たちは奴のやり方に従わされているだけ。

50もの都市を経て、俺たちを喚び出した男の願いはとっくに達せられた。

にも関わらず、ピエロ悪魔は無理やり理由をつけて、この世界に居座って遊んでいるんだ。

俺も他の2体の鬼も、本当はとっくに魔界に帰りたいんだ」


 黒鬼は悲しそうな表情をしているように見えた。


「そもそも、人の生き死にに興味もない。

俺たちは魔界でのんびり暮らしていられればそれでいいんだ。

昔は神々との戦いに躍起になっていたみたいだが、今の魔界には穏やかに暮らしていたいと願う奴ばかりなんだ。

あのピエロはそんな現状が嫌だったんだろうな。

古い召喚書をこの世界に飛ばして、自分を召喚させたんだ。

で、手駒として、俺たちを巻き込んだ。

古い強力な術式だったから、俺たちは対抗する暇もなく、奴に紐付けされたよ」


 黒鬼がやれやれと肩を竦める。


「ミノタウロスとケンタウルスは奴よりも位階が低いから、逆らう意思や思考能力さえ奪われて、ただ奴のルール通りに人を襲う、文字どおりの鬼にされているんだ」


 黒鬼は彼らのことを思ってなのか、眉尻を下げた。


「だから、彼らのためにも、このくだらないゲームをさっさと終わらせたいんだ。

頼む!

俺に手を貸してくれ!」


 黒鬼はがばっと頭を深く下げた。

 俺たちは互いの顔を見回している。

 みんな、どうするべきか悩んでいるんだろう。

 そもそも、この鬼の言うことを鵜呑みにしていいのかさえ分からない。

 こんな嘘をわざわざ俺たちにつく必要もないとは思うが、悪魔の考えなんて、俺に分かるはずもない。

 もしかしたら、騙すだけ騙して、俺たちがあたふたする様を見て楽しもうとしているのかもしれない。

 でも、この黒鬼の真摯な言葉は、到底嘘だとは思えなかった。


「どーするよー?」


「わ、私は、信じてあげて、協力してあげてもいいかな、と、思う」


 香織がおずおずと、窺うように言ってきた。


「そうだな。

俺も協力しても良いと思う」


 俺がそう言うと、香織がほっとしたような顔をした。


「俺はどっちでもいいぜ~」


「……分かった。

協力しよう。

ただし、そちらの情報は包み隠さず全て話してもらうぞ」


「もちろんだ」


 新一の言葉に、黒鬼は即答してみせた。




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