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39.変化する題目

「ぎいぃ~~やぁぁ~~~~!!」


 三枝木の撃った銃が暴発し、左手は爆破でぼろぼろになり、破裂した銃身の破片が三枝木に突き刺さる。

 新一が前方に差した傘に隠れていた俺たちが顔を出して三枝木を見ると、全身から血を流しながら、廊下で転がり回っていた。


「駅を襲撃したあんたが銃を持ってる可能性は高かったからな。

奪われる前提で、京也には改造した銃を渡しておいたんだ。

暴発するように細工した、な。

もし銃を持ってなければ、悟たちなら銃なんて必要ないしな。

って、聞いてないか」


 両手の痛みに叫び声を上げながら転げている三枝木には、たしかに新一の声は届いていないようだった。


「は~あ、やっと終わったなぁ」


 京也が疲れたように伸びをしている。


「そうだな。

あとは外に出てた奴らが戻ってきた所を抑えるだけだ。

ほぼ解決と言っていいだろう」


 それを聞いた京也は、


「げぇ~。まだあんのかよ~」


 とダルそうに肩を落としていた。


 三枝木は少しは落ち着いたのか、う~う~と唸りながら、その場にうずくまっている。


「三枝木はどうする?」


 俺がそう言うと、三枝木はビクッ!と体を揺らした。


「……殺すか」


「そうだな~」


「ひ、ひいぃ~~!」


 新一と京也の発言に、三枝木は怯えて後退った。


「さ、さすがに殺すのはやり過ぎなんじゃないか……」


 俺がそう言うと、新一は恐ろしく冷たい目を三枝木に向けた。


「生かしておいてどうする?

こいつは、何人もの人をすでに殺してるんだぞ?

報いを受けるべきだろう」


 低く静かな新一のトーンに、三枝木はブルブルと震えだした。


「ま~、しゃーないだろ。

貴重な食糧をこいつに消費させるのももったいないし」


 何気に京也もだいぶ酷いことを言っている気がする。


「ひ、ひ……………うわぁ~~~~~!!」


「あ!」


「ちっ!」


 三枝木が突然立ち上がって教室の中に逃げていった。

 新一が即座に銃を撃ったが、それは外れてドアに弾かれた。

 まあ、どうせここは3階だ。

 逃げ場はない。

 俺たちはあとを追って、三枝木が逃げた教室に入った。


「あっ!」


「なっ!」


「マジかっ!」


 三枝木は窓ガラスに飛び込んで、窓を割って外に飛び出していた。

 3階から飛び降りて、無事では済まないだろう。

 俺たちが慌てて窓から身を乗り出して下を見ると、三枝木は地面でピクピクと動いていた。


「まさか、飛び降りるとはな」


「でも、まだ生きてるぜ~。

しぶとすぎだろ」


「……行こう。

逃がすわけにはいかない」


 俺たちは新一の声に従って、急いで三枝木が落ちた場所に向かった。


 が、そこに着くと、すでに三枝木の姿はどこにもなかった。


「いやいや、ありえなくないか?

3階から飛び降りて、そんなすぐ走れるはずねえだろ!」


「たしかに、まともに受け身を取れたとも思えない」


「……誰かが手を貸した、のか?」



 その後も俺たちは周囲を隈無く探したが、結局、三枝木を見付けることは出来なかった。









「はぁはぁ。

た、助かりましたよ、先生方」


 学校からだいぶ離れた民家でリビングの床に座る三枝木を、悟を案内した女教師が手当てをしている。

 窓際では、体育教師が見張りをしている。


「とんでもない。

助けに行けなくてすみませんでした。

3階は見張りが厳重で、窓の下で、草むらに隠れて様子を窺うことしか出来なかったんです」


 女教師が申し訳なさそうに眉を下げている。


「あんたは俺たちのリーダーだ。

もう一蓮托生だ。

いなくなってもらっては困る」


 体育教師が見張りをしながらそう話す。


「お二人とも、ありがとうございます」


 どうやら、残ったのはこの3人のようだ。

 三枝木以外の2人は騒ぎが起きた瞬間、すべてを見捨てて身を隠していた。

 他の生徒や教師が捕まって落ち着いた頃、三枝木を救出できないかと様子を窺っていた所に、三枝木が窓から落ちてきたようだ。


「あいつら、覚えてろよ!

絶対に許さないからな!

絶対に、私の王国を復活させて、生け贄にしてやる!」


 三枝木は怒りを隠そうともせずに、床をドン!と叩いた。


 だが、その野望はピエロ悪魔からの放送によって、すぐに潰えることになるのだった。









「ピンポンパンポーン!」


 騒動が落ち着き、一段落した頃、街中に気の抜けた声が響き渡る。


「なんだ?

まだお題が変わって数時間しか経ってないぞ」


 突然の放送に、新一が怪訝な顔をする。

 たしかにおかしい。

 今まで、あのピエロはお題変更の時にしか放送をしていない。

 いったい何を言い出すのか。


「えー、みなさんにお知らせでーす!

本日のお題ですが、残念なことに、該当者がいなくなってしまいましたー」


 ピエロはひどく残念そうな声を出していた。

 もはや、どんなお題だったかも覚えていない。

 それほど、取るに足らないお題だった気がする。


「このままではつまらないので、急ですが、該当者のいるお題に変更したいと思いまーす!

いえーい!」


「なっ!」


 そんなのアリなのか!?


「じゃー、さっそく新しいお題を発表しちゃいますねー」


 皆が唾を飲む音が聞こえる。


「お題はー、『密告したことがある人』にしまーす」


「はぁ!?」


「なんだそれ!?」


「…………」




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