37.大根
「その反応。
やはり、君もグルだったんですね、悟君」
「さ、三枝木先生」
拳銃を突き付けられた俺は、たじろぐしか出来なかった。
なぜ?
バレていたようには見えなかった。
「おいおい、お前の演技が下手くそすぎたんじゃねーのかぁ?悟ぅ」
京也が軽口を叩いているが、おそらく京也も焦っているのだろう。
これは完全に想定外だ。
この状況で、三枝木が銃を出してくるのは。
というより、そんな隙を与えるつもりはなかった。
だが、完全に俺のことを信用していると見せ掛けている状態ならば、いつでも隙など生み出せたのか?
「まあまあ、さぞかし悩んでいることでしょう」
三枝木が勝ち誇ったような顔で笑っている。
「簡単に種明かしすると、私は初めから、工場の一件を解決したのが君たちだと知っていたのですよ」
「なに?」
「なんでだよっ!」
お互い話しているが、三枝木も京也もその銃口をぶらすことはしない。
「工場の近くに捕らえられていた男性から、すべて聞きましたからね」
「……ちっ!」
新一が捕らえていた、工場の見張りだった男か。
「まあ、推理はあとでやってくださいよ。
私はこれからあなたたちを人質にして、元の状態に戻さないといけないのでね」
三枝木は楽しそうに劇鉄を下げる。
「どうせ、悟君は銃を持ってないのでしょう?
途中で調べられたら、ナイフならまだしも、銃は言い訳できませんからね」
くそ。お見通しか。
「それに、この距離なら、格闘技に精通している君でも、銃より早く私を襲うことは難しいはずです」
それも正解。
こいつ、そのために、うろたえるフリをして後退したのか。
予想以上に厄介なやつだ。
「さて、では京也君?
そろそろ銃を下ろしましょうか?
一番厄介そうな新一君を、君たちを盾にして迎えに行こうじゃないですか!」
「くそっ!」
俺に銃口を突き付けられ、京也は悪態を吐きながら、銃を三枝木の方に投げた。
「ふふふ。
良い子ですね。
警官から奪ったニューナンブだけじゃ物足りなかったんですよね」
三枝木は俺に拳銃を向けながら、京也が投げた銃を拾った。
そして、その銃を京也に向ける。
「さあ、じゃあ行きましょうか」
「ちっ!」
「……くそ」
俺と京也は三枝木に促されて教室を出た。
新一がいるであろう1階に向かうようだ。
今はおとなしく従っておくしかない。




