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35.新一

 ロープを腰に下げたまま壁を登る。

 登りきった所でロープを外側に垂らす。

 そのまま学校の敷地内に飛び降りて、近くの木にロープを結ぶ。

 粉塵爆発の騒ぎのあとで急いでいる京也があとで登りやすくするためのものだ。

 京也は文句を言っていたが、きっとうまくやるだろう。

 まずは、それに向けての準備をしていかなければ。


 俺は頭の中で、やることをタイムスケジュール上に並べながら行動していく。

 学校の立地は完全に把握している。

 だてに3年間通っていない。

 まずは木に登って、2階の梁に飛び乗る。

 廊下窓から中を覗くが、誰もいないようだ。

 俺は窓のカギ部分にガムテープを貼り、車の窓ガラスを割るための安全ハンマーで、その部分を静かに割り、カギを開けておく。

 ガムテープは剥がし、透明のビニールテープで割れが広がらないように補強するとともに、すぐにバレないようにしておく。

 これは使わない可能性も高いし、誰かに気付かれても問題はない。


「さて、そろそろか」


 そこから飛び降りると、下駄箱から最も近いトイレに校舎沿いに向かう。

 悟の声が聞こえる。

 もう一人は、黒島か。

 無事に話が出来ているようだ。

 入口の見張りが女教師で助かった。


 しばらくすると、トイレの窓が開き、悟がメモを渡してくる。

 俺はそれを受け取ると、すぐにその場を離れた。

 悟はすぐに窓を閉めたが、カギは開けておくように言っておいた。

 俺は次の場所に移動しながらメモを一瞥して、すぐにライターで燃やした。


 三枝木の居場所。

 敵の人数。

 敵じゃない人の人数。

 グレーな奴の人数。


 悟は聞いてほしかったことを無事に聞き出せたようだ。

 まあ、概ね想定通りだ。

 

 その後も、見張りに見つからないように暗躍しながら、いろいろと仕掛けをしていく。

 頃合いを見計らって保健室の窓に近付くと、悟がケガの手当てをしていた。

 どうやら、うまくいったようだ。

 窓を開けて出てくる悟と合流し、武器を渡し、こちらの準備具合が滞りなく済んだことを話す。

 悟も進捗を説明してくる。


 三枝木は3ーAか。

 で、捕まっている人は3ーD、と。


 俺は悟の話を聞きながら、悟と京也と自分の、これからのタイムスケジュールを頭に浮かべながら、入手した情報をもとに修正をかける。

 悟の話が終わると、それを悟に説明し、悟は保健室に戻った。


 そろそろ京也の仕掛けで体育倉庫が吹き飛ぶ。

 最初、悟はこの案に反対したが、俺が押し通した。

 こうでもしなければ、三枝木の意表はつけないだろう。

 下手にしり込みして、工場の時のような失敗はしたくない。

 今度は、助けてくれる人なんていないからな。


 そして、校舎をはさんだ向こう側から爆発音が響いた。


 俺は正門から体育倉庫に駆け出していく見張りを横目に見ながら、堂々と下駄箱から校舎内に侵入していった。

 正門の見張りは火の手の上がる体育倉庫しか見ていなかった。


「さあ、始めようか」




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