表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/45

34.京也

 さーてと、俺はまず何からすればいーんだっけ?

 あ!そうだそうだ。まずは仕込みからだった。


 周りの壁をよじ登って学校に侵入した俺は、素早くグラウンドの隅にある体育倉庫に忍び込んだ。

 体育倉庫は、ちょうどグラウンドをはさんで、校舎の対角にある。

 裏手にある窓を壊さなきゃダメかと思ったけど、扉が開いてたからそこから入れた。

 まあ、もう施錠の必要なんてないんだろうよ。

 カラーコーンやサッカーボールが大量に入ったカゴなど、体育や部活で使う用具が置いてある。


「えっと、あ、これこれ」


 グラウンドにラインを引く石灰が入った袋を見つける。

 全部で3袋ある。

 過剰発注だろ。ちゃんと仕事しろよ。

 ま、今回はありがたいけどよ。


「さて、そしたら、こいつをっと」


 新一特製の導火線を取り出して、片方の端を部屋の真ん中あたりに置いて、もう片方の端を入口正面の窓から外に出す。


「んで、」


 一旦、外に出て裏手に回り、窓から出ている導火線を引き出し、登ってきた壁を越えるように投げて、学校の外側に出るようにする。

 その後、再び体育倉庫に戻り、部屋の真ん中に置いた導火線に発火装置を取り付ける。

 そこに、石灰を多少バラまく。


「さて、こっからは時間勝負か」


 準備を整えた俺は、軽く準備運動をする。

 今ごろ、悟も準備を終えて、保健室に戻っている頃だろうか。

 新一はどの辺かな?


「ま、いっか」


 新一の奴、一番危ない役目を押し付けやがって。

 何が、お前が一番足が早いから、だよ。

 まんまとノセられた俺も俺だけどよ。


「いっくぜー!」


 俺は石灰の入った袋を持って、中身を思いっきり空中に振り撒いた。

 続けて、残りの2袋もばらまく。


「げぇっほ!げほっ!」


 盛大にむせながら体育倉庫を出て、入口を締める。

 そして、急いで裏手に回り、登ってきた壁を再び登る。

 壁のてっぺんまで来たら、導火線の先をつかんで、持ったまま外に飛び降りる。


「ほいっと」


 着地した瞬間、すぐに導火線に火をつける。

 ちゃんと着火したのを確認すると、正門側に向けて走り出す。

 火のついた導火線は徐々にその長さを縮めていく。

 俺は正門を通り過ぎ、新一が登った壁まで走る。

 正門には見張りが2人いたが、全速力で走り抜ける俺を見送るだけで、何かをすることはなかった。

 この2人に俺の姿を見せることに意味があるらしい。

 

「……そろそろか」


 俺が角を曲がる直前で、導火線の火が発火装置まで届く。

 そして、宙に舞う石灰に、発火した火花が爆ぜ、体育倉庫を一気に吹き飛ばした。








「な、なんだ!?」


「ば、爆発したんじゃないか!?」


 とんでもない爆音に、学校全体が揺れるのを感じる。

 校舎の方から生徒の悲鳴が聞こえる。

 入口の見張りはきっと爆音のした方向を確認しに行く。

 つまり、俺が立ち去ったことだけを記憶するのだ。

 まさか、すぐに角を曲がって、再び校舎に侵入してくるとは思わないだろう。

 実行犯は走って逃げた。

 もしも今回の作戦が失敗した時、悟を助けるために、その証言が必要らしい。

 失敗する気なんてないくせに。

 そう思ったが、俺は言わないでおいてやった。

 工場の件があってから、新一は躊躇がなくなった。

 あれはヤバい方に行こうとしてるかもしれない。

 しかも、それに気付いてるのはきっと俺だけだ。


「やれやれ、損な役回りだよな」


 俺は苦笑しながら、新一が残してくれたルートを通って、校舎に侵入していった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ