25.仲間。三枝木
結局、結論は先送りになった。
新一は捕らえた男をエサに鬼を喚び寄せるしかないと言い、京也はそれでもいいかと言っていたが、俺と香織はそれに断固として反対した。
誰かの犠牲の上で成り立つなんて、奴らと一緒じゃないか。
俺がそう言うと、新一は深くショックを受けた顔をして、黙ってしまった。
そうして、うやむやのまま、その話はそこで打ち切られた。
そして、夕飯を終えたあと、新一は皆に頭を下げた。
自分がどうかしていたと。
奴らと同じになるなんて、ばあちゃんに顔向けできない。
何か、他の方法を考えようと言ってきたのだ。
香織はそれに嬉しそうにしていた。
俺も言い過ぎたと謝罪し、とりあえず事なきを得た形となった。
「…………」
その夜。
「ま、そうなるよな」
「だと思ったよ」
「お前ら……」
夜中に1人、いつものセットに加えてロープを背負って出掛けようとしている新一の背に、俺と京也が声を掛けた。
「バレてたのか」
新一が苦笑する。
「まあ、俺だったらそうするからな」
「俺はまあ、勘かな」
俺と京也に言われ、新一はますます苦笑した。
「まったく、厄介な仲間を持ったもんだよ」
「仲間だと言ってくれるなら、とりあえず今日はやめにしてくれ。
俺にも考える時間が欲しいし、今日の今日では、何より香織が悲しむ」
「……分かった」
俺の嘆願に、新一はこちらをしっかりと見つめて頷いた。
ロープは俺が受け取り、今日は京也が同伴することになった。
捕らえている男の処遇も含めて、また話し合おうと約束を交わし、俺は新一たちを見送った。
しかし、その約束は、翌日の訪問者によって、為されることはなくなるのだった。
その頃、悟たちが通う学校では、
「ふーむ。
生徒だけでは、お題に該当させ続けるのも限界があるんだよな。
新しいのを仕入れるか」
学年主任の三枝木が縛られ、猿ぐつわをされた生徒たちを眺めながら、そんなことを呟いていた。
「三枝木先生!
郊外の廃工場に陣取っていた奴らが全滅したらしいです!」
そこに、息を切らして走ってきた女子生徒がそんな報告をする。
「ほう。
それはつまり、彼らが囲っていた者たちが解放された、ということだな」
三枝木はニヤリと、その口角を上げた。
「なかなか良い情報提供です。
あなたには約束通り、密告者権を1つ差し上げましょう」
三枝木にそう言われると、女子生徒はありがとうございます!と、嬉しそうに頭を下げた。
それを、縛られた生徒たちが恨めしそうに見ている。
「では、さっそく準備をしよう!
新たな供物を手に入れるのです!」
そうして、三枝木は嬉しそうに高笑いをしていた。




