↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/44

第37話 選択

俺は。


学園寮で目を覚ます。


王立学園の。


制服に。


袖を通す。


濃紺の上着。


白いシャツ。


黒いズボン。


そして。


ブレザー。


制服そのものは。


昨年と。


同じ。


そして。


胸元に。


黒鉄色の。


バッジを。


付ける。


入学した時。


俺は。


この徽章が。


気に入らなかった。


最低評価。


そう。


突きつけられているように。


感じたからだ。


だが。


一年間。


ここで過ごした。


カイル。


リナ。


トーマ。


ルーカス。


ミレイユ。


そして。


他の。


アイアンクラスの連中。


それぞれに。


できることがある。


向いていることがある。


黒鉄だから。


何もできない。


そんなことは。


ない。


それくらいは。


分かった。


◇◇◇


二回生の。


最初の授業。


アイアンクラス。


二十四人。


全員が。


席についている。


前に立つのは。


バルド先生。


一年間。


俺たちを見てきた。


担任だ。


「まず」


「進級おめでとう」


教室から。


小さな拍手が起きた。


「と言っても」


「ここからが本番だ」


バルド先生が。


黒板に。


大きく。


文字を書く。


――二回生。


「一回生では」


「基礎を学んだ」


「身体の使い方」


「武術の基礎」


「魔力の扱い」


「王国史」


「一般教養」


「そして」


「自分が何をできるのか」


「何が得意で」


「何が不得意なのか」


「一年かけて」


「少しは分かったはずだ」


……。


自分が。


何をできるのか。


何の才能があるのか。


俺は。


一年間。


探し続けた。


だが。


アイアンクラスで。


試験一位を


獲得できたものは。


一つもない。


その代わり。


大きく。


苦手なものもない。


それが分かった。


それが。


何か意味があるのか。


まだ。


分かっていない。


バルド先生が。


続ける。


「二回生からは」


「少し変わる」


黒板に。


新しい文字が。


並んでいく。


――専門知識。


――専門武術選択。


――魔法理論。


――応用魔法。


――魔物学。


「そして」


――野外実習。


教室が。


少し。


ざわついた。


俺は。


黒板を見る。


魔法理論。


野外実習。


特に。


興味がある。


「一回生までの授業が」


「なくなるわけじゃない」


「基礎は続ける」


「だが」


「二回生では」


「学んだものを」


「実際に使う」


バルド先生が。


俺たちを見る。


「知っているだけでは」


「役に立たない」


「使えて初めて」


「身についたと言える」


……。


使う。


その言葉が。


少し。


引っかかった。


一回生で。


俺は。


何人もの。


潜在を


《解析眼(アナライズ)》を使って。


見た。


カイルは。


槍。


リナは。


風。


他の連中にも。


それぞれ。


向いているものがあった。


才能を。


知ることはできる。


だが。


知っただけでは。


何も変わらない。


だが。


カイルは。


実際に


槍を持ち。


結果が変わった。


……。


才能を。


使う。


その通りだ。


才能は。


使わなければ。


意味がない。


だが。


リナは。


才能を使わず。


自身が。


やりたいこと。


それを優先した。


そして。


結果は出なかった。


結局。


使う。


使わない。


それは。


本人次第だ。


◇◇◇


「まず」


「専門武術選択」


バルド先生が。


黒板を叩く。


「一回生では」


「複数の武器に触れた」


「二回生からは」


「自分が中心に学ぶ武器を選ぶ」


「剣」


「槍」


「杖」


「盾」


「弓」


「格闘」


「他にも」


「興味がある武器があれば申告するように」


隣の方で。


カイルが。


小さく笑った。


こいつは。


迷わないだろう。


槍だ。


ミレイユは。


弓を選ぶだろう。


他の連中も。


自分の。


才能が。


分かっているなら。


それを。


選べばいい。


俺は。


……。


何を。


選ぶ?


剣も。


できる。


槍も。


できる。


杖も。


格闘も。


盾も。


できる。


一つに。


決める理由が。


今のところ。


ない。


「次」


「魔法理論」


バルド先生が。


言った。


「魔法を」


「使うだけではなく」


「属性による」


「性質の違い」


「魔力とは何か」


「術式とは何か」


「そういうことを学ぶ」


……。


俺は。


少し。


身体を起こした。


「この魔法理論は」


「昔から今まで」


「長らく研究が続いている」


「重要な学術テーマだ」


「アルセリアでの」


「最新の知見を」


「皆には学んでもらう」


魔法――。


前世では。


なかった概念だ。


なぜ。


魔法は。


発動する。


属性によって。


何が違う。


今まで。


考えなかったわけではない。


だが。


一回生で。


教わったのは。


基本的な。


使い方が中心だった。


魔力を貯める。


流す。


形を作る。


属性へ変換する。


放つ。


では。


なぜ。


それで。


火になる。


水になる。


風になる。


土になる。


光になる。


闇になる。


……。


面白そうだ。


そう。


思った。


「魔物学では」


「魔物の種類」


「生態」


「弱点」


「行動特性」


「群れの特徴」


「討伐時の注意点を学ぶ」


「そして」


バルド先生が。


最後の文字を。


指した。


――野外実習。


「今年から」


「学園の外に出る」


教室の空気が。


変わった。


「最初から」


「危険な場所には行かせない」


「教師や上級生も同行する」


「だが」


「訓練場とは違う」


「天候も」


「地形も」


「相手も」


「お前たちの都合には」


「合わせてくれない」


魔物。


実戦。


俺は。


七国武競祭を。


思い出した。


強い個人。


強い集団。


あの時。


答えは。


出なかった。


「野外実習は」


「四人一組」


「原則として」


「一年間」


「同じチームで行う」


一年間。


同じ四人。


教室が。


さらに。


ざわつく。


「組み合わせは」


「学園側で決める」


「一回生の時の」


「成績」


「組み合わせのバランス」


「仲のいい奴だけで」


「固めるつもりはない」


「実戦では」


「一緒に戦う相手を」


「いつも自分で選べるとは限らないからな」


……。


合理的だ。


誰と組むか。


それによって。


結果は変わる。


個人の能力だけではない。


組み合わせ。


役割。


相性。


七国武競祭で。


見たものを。


試せるかもしれない。


俺は。


少しだけ。


楽しみになった。


バルド先生の。


説明が続く。


◇◇◇


授業の最後。


前から。


紙が回ってきた。


二回生。


選択授業申請書。


俺は。


紙を見る。


――専門武術選択。


剣術。


槍術。


杖術。


盾術。


弓術。


格闘術。


――応用魔法選択。


火属性。


水属性。


風属性。


土属性。


光属性。


闇属性。


他にも。


専門知識選択など。


いくつか。


並んでいる。


『選択しなさい』。


そう。


書いてある。


周りでは。


それぞれが。


紙に書き込んでいる。


俺は。


もう一度。


上から。


下まで。


見た。


《解析眼(アナライズ)》は。


俺自身には。


使えない。


そして。


俺には。


突出した。


才能が。


今は。


見られない。


であるならば。


……。


剣も。


必要だ。


槍も。


知っておきたい。


杖も。


盾も。


格闘も。


魔法も。


六属性。


全部。


専門知識も。


全て。


必要だ。


俺は。


ペンを持った。


一つ目に。


印をつける。


二つ目。


三つ目。


四つ目。


……。


隣から。


カイルが。


俺の紙を。


覗き込んだ。


「レオン」


「何だ」


「それ」


「全部つける気か?」


俺は。


紙を見る。


まだ。


半分ほどしか。


印をつけていない。


「そのつもりだ」


カイルが。


黙った。


少しして。


「……先生に怒られるぞ」


何を。


言っている。


学ぶための。


授業だろ。


受けられるものを。


全部受けて。


何が悪い。


俺は。


次の欄に。


印をつけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。