第35話 足りないもの
七国武競祭が。
終わってから。
また。
日常が。
戻ってきた。
授業。
訓練。
勉強。
そして。
試験。
一回生。
最後の。
総合試験。
半年時点と。
同じように。
身体能力。
武術。
魔法。
学科。
それぞれの。
結果が。
順位として。
張り出される。
俺は。
掲示板の前に。
立った。
◇◇◇
身体能力。
7位/24名。
剣術。
4位/24名。
槍術。
8位/24名。
杖術。
5位/24名。
格闘。
7位/24名。
盾術。
9位/24名。
武術総合――。
ーー6位/24名
魔力量。
5位/24名。
魔力制御。
4位/24名。
火属性魔法。
8位/24名。
水属性魔法。
4位/24名。
風属性魔法。
5位/24名。
土属性魔法。
8位/24名。
光属性魔法。
11位/24名。
闇属性魔法。
3位/24名。
魔法総合――。
ーー5位/24名。
そして。
総合順位――。
ーー4位/24名。
……。
「4位か」
思わず。
口から。
出た。
半年。
剣も。
槍も。
弓も。
杖も。
盾も。
格闘も。
魔法も。
全部。
やった。
《叡智庫》で。
毎日。
振り返った。
できないことを。
一つずつ。
潰した。
それでも。
1位が。
一つもない。
……。
俺には。
やはり。
突出した。
才能が。
ないのか。
だが。
一つ分かった事もある。
俺には。
苦手な。
分野が。
ない。
……。
苦手が。
ない。
それは。
何かを。
意味するのか。
◇◇◇
「レオン!」
声が。
聞こえる。
カイルだった。
嬉しそうに。
掲示板を。
見ている。
槍術。
1位/24名。
「1位だった!」
「ああ」
「見れば分かる」
「最初は」
「剣をやってたのにな」
カイルが。
自分でも。
信じられないように。
笑う。
「槍にして」
「本当に良かった」
「本当に」
「ありがとう」
「レオン」
……。
カイルは。
自分の。
才能を。
見つけた。
そして。
その才能を。
使って。
結果を。
出した。
俺が。
考えた通り。
才能があるものを。
伸ばす。
すると。
結果が出る。
やはり。
それは。
間違っていない。
「本当にありがとう」
カイルが。
また。
言った。
「レオンが」
「教えてくれたから」
「俺は」
「見ただけだ」
「それでも」
「ありがとう」
……。
また言っている。
好きにしろ。
◇◇◇
少し。
離れたところに。
リナが。
いた。
火属性魔法。
10位/24名。
半年前は。
12位。
二つ。
上がっている。
俺は。
リナを見る。
だが。
笑っていない。
掲示板を。
じっと。
見ている。
10位。
ほぼ。
真ん中。
三か月前は。
ほとんど。
伸びていなかった。
それでも。
さらに。
練習を。
続けた。
結果。
2つ。
上がった。
たった。
2つ。
なのか。
2つも。
上がった。
なのか。
俺には。
分からない。
以前なら。
すぐに。
思ったはずだ。
風魔法を。
やればいい。
その方が。
結果が出る。
今も。
そう思う。
《潜在解析》で。
見えている。
リナの。
風属性魔法の。
潜在は。
高い。
火属性より。
明らかに。
向いている。
それでも。
俺は。
もう。
声を。
かけなかった。
リナが。
何を。
選ぶかは。
リナが。
決めることだ。
……。
ネクシラの。
言葉が。
頭に。
浮かぶ。
才能があることと。
その人が。
それを。
やりたいことは。
同じではない。
まだ。
完全には。
理解できない。
結果が。
出る方を。
選べばいい。
俺なら。
そうする。
だが。
全員が。
俺と。
同じではない。
それくらいは。
分かってきた。
◇◇◇
アイアンクラスの。
掲示板を離れ。
ゴールドクラスの。
掲示板を見る。
総合順位――。
1位。
――アレン・アルセリア。
アレン。
1位を取ったか。
あいつの。
笑顔が。
頭に浮かぶ。
――王立学園に来て。
六年前のあの日。
あいつは。
俺に言った。
――一緒に。
――世界を学ぼう。
アレンは。
アルセリアの。
第一王子。
将来。
王になるかもしれない。
俺が。
世界の頂点を。
目指す。
その道の。
先で。
こいつと。
ぶつかる。
可能性がある。
そう思った。
そして。
俺は。
王立学園に来た。
お前は。
やっぱり。
俺の。
敵なのか?
正直。
六年前のあの日より。
もっと。
分からなくなっている。
――僕は
――誰もが幸せに暮らせる世界を作りたい
――レオンは?
――将来
――何がしたいの?
あの時の。
言葉を思い出す。
俺は。
何がしたい。
前世では。
会社を。
大きくしたかった。
売上が。
百億を超えて。
二百億を超えて。
三百億を超えても。
満足できなかった。
一番になりたかった。
ただ。
その先に。
何があるのか。
そんなものは。
考えなかった。
アレンも。
ネクシラも。
何を見ている?
俺には。
見えていないものが。
見えているというのか。
くそ。
気にいらない。
◇◇◇
一回生の。
最後の授業。
ネクシラが。
教壇に。
立っていた。
「一年間」
「お疲れさまでした」
教室を。
見渡す。
「入学した時と」
「比べて」
「できることが」
「増えた人も」
「いるでしょう」
「思っていたほど」
「できなかった人も」
「いるでしょう」
誰も。
話さない。
「ですが」
「結果だけを見て」
「一年を」
「決めないでください」
……。
また。
始まった。
「何ができたか」
「何ができなかったか」
「何に向いていたか」
そして、
「自分が何をしたいのか」
「考えてください」
……。
「来年」
「皆さんは」
「二回生になります」
「選べる授業も」
「増えていきます」
「だからこそ」
「自分で」
「考えてください」
授業が。
終わる。
生徒たちが。
立ち上がる。
俺も。
席を。
立った。
――あなた自身は。
――何を。
――やりたいのですか?
……。
やっぱり。
分からない。
◇◇◇
この一年を。
振り返る。
色々な事があった。
俺は。
一番に。
なりたい。
それは。
変わらない。
その為には。
才能を。
見つけ。
活かすこと。
それが。
重要だ。
それは。
間違っていない。
だが。
七国武競祭では。
個人が。
強いだけでは。
集団は。
強くならないことも。
見た。
俺が。
今まで。
正しいと。
思っていたこと。
それだけでは。
足りない。
それは。
理解した。
だが。
何が。
足りないのか。
それも。
まだ。
分からない。
◇◇◇
教室を。
出る。
廊下の。
窓から。
校庭が。
見える。
カイルが。
槍を。
持っている。
もう。
練習を。
始めるらしい。
少し離れた。
魔法訓練場では。
リナが。
杖を。
持っている。
また。
火魔法を。
使うのだろう。
そして。
どこかでは。
アレンも。
次の。
何かを。
始めているだろう。
みんな。
進んでいる。
俺も。
進む。
一番には。
なれなかった。
自分の。
才能も。
分からない。
何を。
やりたいのかも。
まだ。
分からない。
俺の。
王立学園での
一年が。
終わった。




