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第34話 四年後

大会が。


終わった。


大魔導晶に。


映っていた。


ヴァルガの。


闘技場が。


ゆっくりと。


消えていく。


最後に。


残ったのは。


七つの。


国旗だった。


そして。


それも。


消えた。


講堂に。


明かりが。


戻る。


ざわざわと。


生徒たちが。


立ち上がる。


「終わっちゃったね」


アレンが。


言った。


「ああ」


「アルセリア」


「残念だったね」


俺は。


答えなかった。


残念。


その言葉では。


足りない。


個人競技では。


勝っていた。


だが。


集団競技では。


ほとんど。


結果を。


残せなかった。


一人で。


戦う時と。


集団で。


戦う時で。


大きく。


結果が。


変わる。


なぜだ。


そして。


ヴァルガの。


あの少年。


十三歳。


俺と。


同じ年齢。


一人で。


アルセリアの。


代表五人を。


倒した。


……。


個人の。


強さ。


集団の。


強さ。


頭の中に。


その二つが。


残っていた。


◇◇◇


寮へ。


戻ってからも。


考えた。


机の上に。


紙を。


広げる。


大会で。


見たことを。


書き出す。


アルセリア。


ノルディア。


セレスティア。


ヴァルガ。


思い出せる。


試合を。


一つずつ。


頭の中で。


再生する。


《叡智庫(アーカイブ)》


記憶が。


整理される。


アルセリア。


集団戦。


一人ずつ。


見れば。


おかしな。


動きではない。


だが。


三人が。


同時に。


動いた瞬間。


互いの。


動きを。


邪魔した。


……。


個人として。


正しい判断が。


集団では。


正しいとは。


限らない。


俺は。


紙に。


書く。


――個人の判断。


その下に。


――集団の判断。


ペンが。


止まる。


違いは。


何だ。


◇◇◇


次に。


セレスティアの。


試合を。


思い出す。


一人の。


合図。


二人が。


前へ。


残りが。


援護。


攻める者。


守る者。


支える者。


役割が。


あった。


誰が。


何をするのか。


決まっていた。


……。


役割。


連携。


それが。


答えか。


いや。


それだけなら。


簡単だ。


それで。


強い集団が。


作れるなら。


前世の。


俺の会社は。


もっと。


強かったはずだ。


……。


クロノス・テクノロジーズ。


俺は。


ほとんどのことを。


自分で。


決めていた。


組織図も。


あった。


部署も。


あった。


役職も。


あった。


誰が。


何をするのか。


決めていた。


指示も。


出した。


それでも。


人が。


増えるほど。


俺のところへ。


判断が。


集まった。


俺が。


決めなければ。


進まない。


俺が。


いなければ。


止まる。


会議では。


俺の顔を。


見て。


誰もが。


答えを。


待っていた。


……。


当時の俺は。


それを。


当然だと。


思っていた。


俺が。


一番。


分かっている。


俺が。


決めた方が。


早い。


だから。


俺が。


決める。


会社は。


大きくなった。


結果も。


出た。


なら。


それで。


いい。


そう。


思っていた。


だが。


今。


大会を。


見た後では。


少しだけ。


違って見える。


俺が。


強かったから。


会社が。


強かったのか。


それとも。


俺が。


全部。


決めていたから。


組織は。


弱かったのか?


……。


分からない。


◇◇◇


そして。


もう一人。


ヴァルガの。


少年。


あいつは。


違う。


役割も。


連携も。


必要としなかった。


一人で。


五人を。


倒した。


あれだけ。


強ければ。


周囲が。


何をするかなど。


関係ない。


自分で。


終わらせればいい。


……。


前世の。


俺と。


似ている。


俺が。


やった方が。


早い。


俺が。


決めた方が。


正しい。


俺が。


結果を。


出せばいい。


あの少年も。


そう。


考えているのか。


もちろん。


分からない。


だが。


あの戦い方は。


そう見えた。


一人で。


勝てるなら。


一人で。


勝つ。


合理的だ。


俺にも。


分かる。


むしろ。


以前の俺なら。


迷わず。


そうした。


……。


では。


あの少年が。


正しいのか。


圧倒的な。


個人能力を。


持てば。


集団など。


必要ないのか。


いや。


それなら。


ノルディアや。


セレスティアの。


勝ち方を。


どう説明する。


一人一人は。


圧倒的ではない。


それでも。


集まると。


強かった。


逆に。


アルセリアは。


一人一人は。


強い。


それでも。


集まると。


勝てなかった。


……。


駄目だ。


整理できない。


個人の。


強さ。


集団の。


強さ。


同じ。


強さという。


言葉でも。


中身が。


違う。


そんな。


気がする。


だが。


何が。


違うのか。


まだ。


分からない。


《叡智庫》も。


答えを。


出さない。


《叡智庫》は。


俺が。


持っている。


知識を。


整理するだけだ。


知らないものを。


勝手に。


教えては。


くれない。


なら。


見るしかない。


もっと。


多くの。


人間を。


もっと。


多くの。


集団を。


◇◇◇


翌日。


教室へ。


向かう途中。


「レオン!」


後ろから。


声がした。


振り返る。


アレンが。


走ってくる。


「おはよう」


「ああ」


「昨日」


「すごかったね」


「何がだ」


「大会だよ」


分かっている。


「ヴァルガの」


「あの子」


「本当に」


「僕たちと」


「同い年なんだよね」


「ああ」


「すごいなあ」


アレンは。


素直に。


感心している。


俺は。


違う。


悔しい。


同じ年齢。


それなのに。


今の俺では。


勝てない。


はっきり。


そう思った。


「次は」


アレンが。


言った。


「四年後だね」


「七国武競祭」


足が。


止まる。


「四年後…」


「うん」


「次は」


「第49回」


「開催国は」


「エルディア魔法国」


四年後。


俺たちは。


十七歳。


五回生。


代表に。


選ばれる。


年齢だ。


「僕たちも」


「出られるかな?」


アレンが。


笑う。


俺は。


少しだけ。


考えた。


出られるか。


違う。


「出る」


「え?」


「四年後」


「俺は」


「出る」


アレンが。


一瞬。


目を丸くする。


そして。


笑った。


「うん!」


「僕も」


「出たい」


「勝手にしろ」


「一緒に」


「出られたら」


「面白そうだね」


「レオンとなら」


「きっと」


「良い結果が」


「作れると思う」


俺は。


答えない。


だが。


頭の中では。


すでに。


四年後を。


考えていた。


◇◇◇


四年。


長い。


いや。


短い。


今の俺では。


まだ。


勝てない。


なら。


四年で。


勝てるようになる。


それだけだ。


四年後。


あの場所へ。


行けば。


七つの国の。


強い人間が。


集まる。


強い個人。


強い集団。


昨日。


分からなかった。


答えを。


もっと。


近くで。


見ることが。


できる。


大魔導晶の。


向こう側ではない。


同じ。


闘技場で。


相手と。


戦いながら。


見る。


そして。


勝つ。


俺が。


一番を。


目指す。


その。


前哨戦にしてやる。


悪くない。


俺は。


思わず。


笑った。


「レオン?」


アレンが。


顔を。


覗き込む。


「何だ」


「なんか」


「楽しそう」


「どこがだ」


「顔」


「変わってない」


「そう?」


「そうだ」


俺は。


歩き出す。


四年後。


ヴァルガの。


あの少年も。


十七歳。


その時は。


俺が。


勝つ。


◇◇◇


教室へ。


入る。


カイルが。


俺を見て。


手を振る。


リナは。


教本を。


読んでいる。


トーマは。


窓の外を見ている。


ルーカスは。


友達と。


話をしている。


ミレイユは。


弓を。


手入れしている。


いつもの。


アイアンクラス。


二十四人。


一人ずつ。


違う。


……。


俺は。


席へ。


座った。


机の上に。


教本を。


置く。


まだ。


俺は。


何者でもない。


自分の。


才能すら。


分かっていない。


だが。


四年後。


七国武競祭。


今度は。


見る側ではない。


あの場所に。


立つ。


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