第27話 黄金クラスの王子
翌朝。
今日から。
本格的に。
授業が始まる。
俺は。
黒鉄クラスの。
教室に入った。
すでに。
ほとんどの。
生徒が。
席についている。
人数は。
二十人ほど。
全員。
授業を受ける。
準備をしていた。
◇◇◇
最初の授業は。
王国史だった。
その次は。
一般教養。
午後には。
身体訓練。
授業を。
受けながら。
一つ。
気づいた。
教師は。
アイアンクラスだからといって。
授業の内容を。
落としていない。
質問も。
普通に。
飛んでくる。
答えられなければ。
その場で。
指摘される。
できる者は。
先へ進ませる。
できない者には。
基礎を。
繰り返させる。
……なるほど。
アイアンクラス。
だから。
放っておく。
というわけでは。
ないらしい。
◇◇◇
昼休み。
教室の。
空気が。
少しだけ。
緩んだ。
俺は。
買ってきた。
パンを。
机の上に置く。
その時。
廊下が。
妙に。
騒がしくなった。
「おい」
「なんで……」
「ゴールド?」
教室の。
入口に。
人影が。
立っていた。
金色の。
バッジ。
黒鉄の中に。
金が。
浮いて見える。
そして。
その顔には。
見覚えがあった。
「レオン」
アレンだった。
……。
何を。
しに来た。
◇◇◇
「調子はどう?」
アレンは。
笑顔で。
言った。
「久しぶりに会ったんだから」
「色々話そうよ」
「この前話した」
「クラス発表の時?」
「ぜんぜん話してないよ」
「別に、話すことはない」
「僕にはあるよ」
そう言って。
アレンは。
俺の前の席を。
勝手に。
引いた。
教室中の。
視線が。
集まる。
……やめろ。
目立つ。
ただでさえ。
こいつは。
第一王子だ。
しかも。
ゴールドクラス。
「アルセリアの王子……?」
誰かが。
小さく。
呟いた。
アレンは。
その声に。
気づいた。
教室を。
見渡して。
笑う。
「そんなに」
「気にしなくていいよ」
「ここでは」
「みんな」
「同じ学園の生徒だろ?」
「普通に」
「アレンでいいよ」
教室が。
静かになる。
……。
いや。
それは。
無理だろ。
◇◇◇
……。
相変わらず。
距離の取り方が。
おかしい。
五年前から。
何も。
変わっていない。
まあ。
こいつに。
何を言っても。
無駄だろう。
俺は。
諦めて。
話を変えた。
「それで」
「ゴールドクラスは」
「どうだ?」
アレンは。
少し。
考える。
「すごいよ」
「何が」
「みんな」
「すごい人がいっぱい」
……。
雑な。
説明だ。
「剣が得意な人もいるし」
「魔法が得意な人もいる」
「知識がすごい人もいる」
「そうか」
俺は。
パンを。
一口。
かじって言った。
「まあ」
「三年次には」
「クラスの」
「入れ替えもある」
「そこで」
「ゴールドまで」
「上がってやる」
アレンが。
笑った。
「やっぱり」
「レオンは」
「変わってないね」
「お前に」
「言われたくない」
「僕も?」
「変わってない」
「そうかな?」
アレンは。
少し。
考えて。
また。
笑った。
「でも」
「剣は」
「かなり強くなったよ」
それから。
アレンは。
五年間のことを。
話し始めた。
剣を。
更に鍛錬した事。
新しい魔法を。
身に付けた事。
王国の歴史や。
政治について。
勉強したこと。
話は。
次から。
次へと。
出てくる。
……よく。
喋るな。
だが。
その顔は。
楽しそうだった。
俺は。
パンを。
食べながら。
黙って。
聞いていた。
◇◇◇
午後。
身体訓練。
訓練場へ。
移動した。
一年次は。
基礎科目の一部を。
複数クラスで。
合同実施するらしい。
今日の。
身体訓練は。
アイアンと。
ゴールド。
訓練場の。
反対側。
金色の。
バッジが。
並んでいる。
アレンも。
その中にいた。
だが。
俺が。
気になったのは。
アレンではない。
その隣。
背の高い。
少年。
姿勢が。
いい。
無駄な。
動きがない。
試しに。
見る。
《潜在解析》
【個体名:???】
【年齢:十三歳】
【身体能力:A-/潜在A+】
【剣術:B+/潜在A】
【魔力制御:C+/潜在B+】
……。
高い。
現在の。
能力が。
すでに。
高い。
潜在だけではない。
その後ろの。
女子生徒にも。
視線を移す。
《潜在解析》
【個体名:???】
【年齢:十三歳】
【身体能力:C/潜在B】
【魔力量:A/潜在A+】
【魔力制御:B+/潜在A】
【水属性魔法:B/潜在A】
……。
こいつも。
高い。
もう一人。
さらに。
もう一人。
見ていく。
全員が。
何かしら。
現在の能力で。
明確に。
高いものを。
持っている。
俺は。
ゴールドクラスを。
見渡した。
……なるほど。
アレンの。
言った通りだ。
少なくとも。
今。
何ができるか。
それを見る限り。
学園の評価は。
間違っていない。
……。
少しだけ。
認識を。
改める必要が。
ありそうだ。
そして。
俺は。
アレンを見る。
《潜在解析》
【個体名:アレン・アルセリア】
【年齢:十三歳】
【身体能力:B+/潜在A+】
【魔力量:B+/潜在A+】
【魔力制御:B/潜在A】
【剣術:A-/潜在A+】
【火属性魔法:B/潜在A】
【光属性魔法:C/潜在A+】
おいおい。
お前。
どこまで。
強くなった。
昼休みに聞いた通り。
五年間。
遊んでいた。
わけでは。
ないらしい。
くそ。
気に入らない。
◇◇◇
授業が。
終わった。
ゴールドの。
生徒たちが。
訓練場を出ていく。
何人もの。
生徒が。
アレンに。
声をかけていた。
「殿下」
「一緒に戻りませんか」
「今日の型、見事でした」
アレンは。
一人ずつ。
足を止めて。
答えている。
王子。
それだけで。
人が集まる。
前世なら。
肩書きも。
立派な。
資源だ。
だが。
アレンは。
それを。
使っているようには。
見えない。
むしろ。
全員の。
顔を。
見ている。
名前を。
呼んでいる。
……。
こいつは。
人を見ている。
五年前から。
そこは。
変わっていない。
◇◇◇
寮へ。
戻る。
途中。
また。
木剣の。
音がした。
一度。
二度。
三度。
……。
俺は。
足を。
止めた。
訓練場の。
端。
カイル・ベルグ。
また。
一人で。
剣を。
振っている。
昨日も。
その前も。
見た。
《潜在解析》
【剣術:D/潜在C】
【槍術:F/潜在A+】
変わらない。
当然だ。
それでも。
カイルは。
剣を。
振り続ける。
一度。
二度。
三度。
汗が。
地面に。
落ちる。
息も。
荒い。
それでも。
やめない。
……。
真面目だ。
だからこそ。
余計に。
気になる。
これだけ。
努力している。
なのに。
その努力を。
なぜ。
向いていないものに。
使う。
槍なら。
もっと。
伸びる――。
槍は。
潜在A+。
剣は。
潜在C。
差は。
明らかだ。
前世なら。
迷わず。
向いている。
仕事へ。
配置する。
その方が。
本人も。
会社も。
成果が出る。
当然だ。
自分に。
向いているものを。
やればいい。
それだけの。
話だ。
……。
だが。
俺が。
どうこう。
言うことではない。
一度。
通り過ぎた。
木剣の。
音が。
また。
聞こえる。
一度。
二度。
三度。
俺は。
立ち止まった。
気になる。
別に。
あいつ個人の。
問題だ。
俺が。
関わる。
理由はない。
だが――。
なぜ。
俺は。
こんなに。
気になる。
木剣の。
音がする。
一度。
二度。
三度。
……くそ。
俺は。
振り返った。
カイルの。
ところまで。
歩く。
「おい」
カイルが。
木剣を。
止めた。
「……何だ?」
俺は。
木剣を見る。
それから。
カイルを見る。
「お前」
「剣をやめろ」




