第26話 アルセリア王立学園
翌日。
新入生全員が。
大講堂に。
集められた。
ゴールド。
シルバー。
ブロンズ。
アイアン。
胸元の。
バッジの色が。
はっきりと。
分かれている。
俺は。
アイアンクラスの。
席に座った。
◇◇◇
壇上に。
一人の男が。
立った。
白髪。
細身。
年齢は。
六十を。
越えているだろう。
だが。
背筋は。
まっすぐ。
伸びている。
「新入生諸君」
講堂が。
静かになる。
「アルセリア王立学園へ」
「ようこそ」
「私は」
「学園長の」
「シモンだ」
アルセリア王立学園。
アルセリア王国。
最高峰の。
教育機関。
王侯貴族。
騎士の家系。
商人。
農民。
出身は。
問わない。
入学試験を。
突破した者だけが。
ここに。
集められる。
「この学園の目的は」
「優秀な学生を」
「集めることではない」
男は。
新入生を。
見渡した。
「アルセリア王国の」
「未来を担う人材を」
「育てることだ」
……なるほど。
ただの。
学校ではない。
王国が。
人材を集め。
六年間かけて。
育成する。
国営の。
人材育成機関。
そう考えた方が。
分かりやすい。
「ここを卒業した者の多くは」
「騎士」
「魔術師」
「官僚」
「研究者」
「商人」
「冒険者」
「など」
「職種を問わず」
「国を動かす者となる」
国を。
動かす。
俺は。
少しだけ。
顔を上げた。
◇◇◇
シモンが。
壇上を。
降りる。
入れ替わるように。
一人の女性が。
前に出た。
年齢は。
四十前後。
長い黒髪を。
後ろで。
一つにまとめている。
細身で。
姿勢がいい。
「ここからは」
「私が説明します」
「教頭の」
「ネクシラです」
「本学園は」
「六年制です」
壇上の後ろ。
大きな。
魔法板に。
文字が浮かぶ。
「まずはこちらを、ご覧ください」
1回生|基礎|一般教養・身体基礎・武術基礎・魔法基礎・歴史
2回生|応用|専門教養・身体応用・専門武術・応用魔法・魔法理論・野外演習
3回生|集団|中級武術・中級魔法・集団戦術・初級指揮術・応用野外演習 <クラス対抗戦>
4回生|実践|ダンジョン戦術・実践演習・上級武術・上級魔法・複合魔法理論
5回生|社会|ギルド制度・行政学・経済学・他国理解・長期野外実習
6回生|国家|戦争戦略論・統治学・外交戦術・上級指揮術 <卒業試験>
……。
なるほど。
順序立てて。
整理されている。
分かりやすい。
◇◇◇
「一年次は」
「すべての土台となる」
「基礎を学んでいただきます」
王国史。
一般教養。
身体訓練。
武術基礎。
魔法基礎。
「一年次では」
「剣が得意でも」
「魔法を学び」
「魔法が得意でも」
「身体も鍛えていただきます」
「まずは」
「自分が何をできるのか」
「何ができないのか」
「それを知っていただきます」
自分が。
何をできるか。
昨日から。
何度も。
聞く言葉だ。
だが。
できないことまで。
やらせる意味が。
あるのか?
剣が。
得意なら。
剣を。
伸ばせばいい。
魔法が。
得意なら。
魔法を。
伸ばせばいい。
不得意なものに。
時間を使うより。
得意なものを。
伸ばした方が。
効率がいい。
俺なら。
そうする。
……無駄が多いな。
◇◇◇
「二年次からは」
「基礎をもとに」
「応用へ進んでもらいます」
武術応用。
魔法応用。
戦闘演習。
複数人での。
野外演習。
そして。
「魔法理論」
……魔法理論。
俺は。
その言葉に。
興味を持った。
魔法は。
なぜ。
使えるのか。
魔力とは。
何なのか。
属性とは。
何なのか。
この世界の。
人間は。
魔法を。
どこまで。
理論として。
理解している。
……面白そうだ。
だが。
二年次か。
……遅いな。
◇◇◇
「三年次」
魔法板の。
文字が変わる。
戦術。
集団戦。
指揮。
役割分担。
「そして」
「三年次には」
「クラス対抗戦を行っていただきます」
講堂が。
少し。
ざわついた。
クラス対抗戦。
「ゴールド」
「シルバー」
「ブロンズ」
「アイアン」
「四クラスによる」
「集団戦です」
俺は。
壇上を見る。
集団戦。
個人ではなく。
クラス。
全体で。
戦う。
そして。
「対抗戦の結果」
「日頃の成績」
「各教員の評価」
「それらをもとに」
「三年次終了時に」
「クラスの再編成を行います」
……!
クラスの。
再編成だと。
「現在のクラスが」
「六年間」
「保証されているわけではありません」
「ゴールドから」
「落ちる者もいます」
「アイアンから」
「上がる者もいます」
俺は。
胸元の。
黒鉄のバッジを見る。
……なるほど。
それなら。
話は。
違う。
今は。
アイアン。
だが。
結果を。
出せば。
上がれる。
俺は。
笑った。
……いい。
それなら。
話は。
簡単だ。
◇◇◇
説明は。
続く。
「四年次は」
「実践です」
ダンジョン実習。
魔物討伐。
護衛演習。
上級武術。
上級魔法。
実戦を。
想定した。
授業が。
増える。
ダンジョンか。
まだ。
本格的に。
探索したことはない。
そこも。
少し。
興味がある。
◇◇◇
「五年次は」
「学園の外へ出て社会を知っていただきます」
ギルド。
王国行政。
商会。
研究機関。
騎士団。
それぞれの。
進路に応じて。
実際の組織で。
学ぶ。
……。
これは。
前世でいう。
実習。
いや。
インターンに。
近いか。
◇◇◇
「そして」
「六年次」
国家戦略。
統治。
外交。
大規模戦術。
指揮。
「六年間で学んだものを」
「どう活かすか」
「国という単位で考えて」
「自身で今後の進路を」
「考えていただきます」
「なお」
「卒業試験の内容は」
「毎年異なります」
「今から」
「楽しみにしておいてください」
国。
会社より。
はるかに。
大きな組織。
人。
金。
物。
情報。
軍事。
外交。
法律。
産業。
……。
なるほど。
悪くない。
思っていたより。
学べることは。
多そうだ。
◇◇◇
一通り。
説明を終えると。
ネクシラは。
一歩下がった。
「もう一つ」
そう言って。
再度。
シモンが。
壇上へ上がる。
「今年の新入生は」
「運がいい」
周囲が。
ざわつく。
「今年は」
「四年に一度の」
「《七国武競祭》が」
「開催される」
今までとは。
明らかに。
違う反応だった。
「おお……」
「今年だったのか」
「ヴァルガ帝国でやるんだよな?」
「見られるのか?」
あちこちから。
声が上がる。
七国武競祭。
ヴァレスティア大陸。
七つの国。
アルセリア王国。
ヴァルガ帝国。
エルディア魔法国。
ガルド王国。
セレスティア聖王国。
ノルディア王国。
ラグナ海洋国。
その七国から。
選ばれた学生たちが。
武と魔法を。
競う。
四年に一度の。
大会。
今年で。
第四十八回。
開催国は。
ヴァルガ帝国。
らしい。
「大会期間中」
「本学園でも」
「大型魔導水晶を通して」
「選抜された学生たちの活躍を」
「観戦する予定である」
さらに。
歓声が上がる。
……。
そんなに。
面白いのか?
俺は。
それほど。
興味がない。
それより。
俺には。
三年次の。
クラス対抗戦の方が。
重要だ。
必ず。
アイアンから。
ゴールドへ。
上がる。
分かりやすい。
目標が。
できた。
◇◇◇
説明会が。
終わった。
新入生たちが。
一斉に。
講堂を出る。
廊下には。
授業棟。
魔法研究棟。
図書館。
訓練場。
演習場。
学生寮。
それぞれの。
案内板が。
並んでいる。
六年間。
ここで。
学ぶ。
昨日は。
アイアンに。
入れられたことしか。
頭になかった。
だが。
魔法理論。
集団戦。
ダンジョン。
学外実習。
国家戦略。
学べるものは。
思っていたより。
多い。
俺は。
校舎を。
見上げた。
六年。
……。
退屈は。
しなさそうだ。
◇◇◇
寮へ。
戻る途中。
訓練場の。
横を通る。
木剣の。
音がした。
一度。
二度。
三度。
一定の。
間隔。
俺は。
そちらを見る。
昨日の。
少年。
カイル・ベルグ。
今日も。
一人で。
木剣を。
振っている。
……また。
あいつか。
【剣術:D/潜在C】
【槍術:F/潜在A+】
表示は。
変わらない。
当然だ。
一日で。
変わるものでもない。
カイルは。
こちらに。
気づかない。
何度も。
何度も。
剣を。
振る。
真面目な。
奴だ。
俺は。
少しだけ。
見て。
そのまま。
寮へ向かって。
歩き出した。
まあ。
俺が。
どうこう。
言うことではない。
そう。
思った。




