第23話 友達
馬車が。
ゆっくり。
村を離れていく。
窓の外には。
夕日に染まった。
畑が広がっている。
その向こうに。
小さく。
レオンの村が見える。
僕は。
窓から。
ずっと。
その村を見ていた。
「殿下」
「お疲れでしょう」
「少し、お休みになられては」
護衛が。
心配そうに。
声をかけてくる。
「うん」
「大丈夫」
そう答えて。
僕は。
また。
窓の外を見る。
◇◇◇
レオン。
初めて会ったのは。
壊れた橋だった。
僕は。
困っている人たちを。
助けるために。
どうしたらいいのか。
分からなかった。
でも。
レオンは。
橋を見て。
周りを見て。
すぐに。
考え始めた。
そして。
みんなが。
渡れるようにした。
すごい。
そう思った。
そして。
商人に聞いた。
天才の子供の話を。
思い出した。
もしかしたら。
あの少年かもしれない。
だから。
話してみたかった。
《読心眼》。
僕が。
生まれた時から持っている。
不思議な力。
人の。
感情。
欲求。
心の動き。
それが。
言葉のように。
僕には見える。
最初に。
話した。
レオンから。
見えたもの。
――面倒。
――関わりたくない。
――一人でいい。
そんな気持ち。
でも。
その奥に。
小さく。
別のものがあった。
――寂しい。
――話したい。
――分かってくれる人が。
――ほしい。
レオンは。
自分で。
たぶん。
気づいてない。
だから。
僕は。
思わず。
「僕と、友達になろう」
そう言った。
何度。
断られても。
何度。
友達じゃないと。
言われても。
僕は。
レオンと。
話したかった。
◇◇◇
剣の練習も。
面白かった。
最初は。
僕が勝った。
次も。
僕が勝った。
それでも。
レオンは。
諦めなかった。
負けるたびに。
僕の動きを見て。
考えて。
次のやり方を。
変えてくる。
負けたことより。
どうして負けたのかを。
考えていた。
――上へ。
――もっと。
――上へ。
――強くなりたい。
――負けたくない。
――力がほしい。
――知識がほしい。
そして。
あの日。
レオンは。
言った。
「俺は」
「世界の頂点を目指す」
ああ。
やっぱり。
そうだったんだ。
そう思った。
レオンの中に。
ずっとあった。
強い気持ち。
僕とは。
違う。
僕は。
誰もが。
幸せに暮らせる世界を。
作りたい。
レオンは。
世界の。
頂点へ行きたい。
レオンなら。
きっと。
できる。
そして。
その時。
僕は。
こうも。
思った。
僕の夢と。
レオンの夢。
違うけど。
もしかしたら。
一緒に。
叶えられるんじゃないか。
そんな気がした。
◇◇◇
だから。
あの時。
本当に。
怖かった。
このまま。
レオンが。
いなくなるんじゃないかと。
ゴーレムの。
腕が。
レオンを。
吹き飛ばした。
レオンが。
倒れた。
動かない。
僕も。
後ろから。
攻撃を受けて。
倒れてしまった。
このまま。
レオンが。
死んでしまう。
そんなの。
嫌だ。
絶対に。
嫌だ。
助けたい。
レオンを。
絶対に。
助けたい。
そして。
二人で。
夢を。
叶える!
そう。
思った瞬間だった。
何かが。
変わった。
【固有スキル進化】
《読心眼 (マインドリーディング)Lv2》
《読魔眼》
それまで。
何も見えなかった。
ゴーレムから。
何かが。
見えた。
人じゃない。
なのに。
次に。
何をしようとしているのか。
どこを。
狙っているのか。
それが。
分かるようになった。
そして。
レオンには。
弱点が見えていた。
二人なら。
戦えた。
二人だから。
勝てた。
「僕たち!」
「最高のコンビだね!」
あの時。
僕は。
本当に。
そう思った。
◇◇◇
馬車が。
揺れる。
僕は。
自分の手を見る。
人の気持ちが。
分かる。
それは。
いいことなのか。
僕には。
まだ。
分からない。
でも。
昔。
母上は。
教えてくれた。
「分かることは、とても大切なことよ」
「でも」
「一人で、全部できる必要はないの」
あの時。
母上は。
苦しそうに。
息を整えながら。
僕に。
そう言った。
「できないことは」
「できる人に」
「助けてもらえばいいのよ」
「そして……」
「あなたも、その人を助けてあげて」
あの時は。
分かったようで。
分かっていなかった。
母上の。
その言葉の意味を。
◇◇◇
今日。
僕が。
第一王子だと分かった時。
レオンの。
心が。
変わった。
――警戒。
――疑い。
そして。
僕を。
遠ざけようとするような。
気持ち。
少し。
悲しかった。
それでも。
僕は。
レオンのことを。
友達だと思っている。
◇◇◇
馬車の窓から。
外を見る。
窓の外に。
村は。
もう。
見えなくなっていた。
五年後。
王立学園。
また。
会える。
その時は。
もっと。
色んな話をしよう。
もっと。
一緒に。
色んなものを見よう。
世界のことも。
僕の夢も。
レオンの夢も。
僕には。
世界を。
どうやって変えればいいのか。
まだ。
分からない。
でも。
レオンなら。
答えを。
見つけてくれるかもしれない。
僕に。
できないことを。
レオンに。
助けてもらう。
だったら。
レオンに。
できないことは。
僕が。
助ければいい。
母上。
あの時の。
言葉の意味が。
少し。
分かった気がしますーー。
僕は。
小さく。
笑った。
「レオン」
「僕が」
「君を」
「助けてあげる」
馬車は。
ゆっくりと。
王都へ。
向かっていった――。
これで第一章 幼少期編は完結となります。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。
第二章からは王立学園編になります。アレンとの再会、新しい仲間との出会い、そして学園の生活を通してレオンは更に成長していきます。是非ご期待ください!!
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