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第21話 最高のコンビ

「……見つけた」


胸部中央。


そこに。


こいつを動かしている。


魔力核がある。


《潜在解析(ディープアナライズ)》。


さっきまで。


見えなかったものが。


見える。


岩の身体。


その内側を流れる。


魔力。


関節。


構造。


そして。


弱点。


【ゴーレム】


岩石外殻:硬度A


右脚関節:脆弱


左腕部:損傷


土属性耐性:A


火属性耐性:B


水属性耐性:C


魔力循環:胸部へ集中


魔力核:胸部中央


なるほど。


そういうことか。


外側の岩を。


いくら攻撃しても。


意味がない。


狙うべきは。


中だ。


魔力核。


あれを。


壊せばいい。


ごっ。


ゴーレムが。


近づいてくる。


俺は。


壁に手をつき。


立ち上がった。


「……あれ?」


身体が。


軽い。


いや。


軽いというより。


力が。


少し戻っている。


さっきまで。


震えていた脚に。


力が入る。


腹の痛みも。


消えてはいない。


それでも。


立てる。


動ける。


それだけじゃない。


身体の奥から。


何かが。


湧いてくる。


魔力。


さっきまで。


空になりかけていたはずなのに。


今は。


違う。


《解析眼》が。


進化した。


その影響か。


身体能力。


魔力量。


魔力の流れ。


全部が。


一段。


上がった。


そんな感覚。


これなら。


戦える。


「レオン……?」


暗闇の中。


アレンの声がした。


「アレン」


「立てるか?」


「……うん」


声が。


さっきより。


しっかりしている。


炎が。


灯った。


アレンが。


立っている。


「お前……」


さっき。


背中に。


直撃したはずだ。


なのに。


立っている。


……なんだ?


こいつも。


何か。


変わったか?


ごごっ。


考えている。


暇はない。


「来るぞ!」


ゴーレムが。


両腕を。


地面へ向けた。


土魔法。


どこだ。


右か。


左か。


床か。


壁か。


「レオン!」


アレンが。


叫んだ。


「左!」


「なに?」


「左から来る!」


反射的に。


後ろへ跳ぶ。


直後。


どんっ!


左の岩壁から。


石弾が。


飛び出した。


俺の。


すぐ前を。


通過する。


「……は?」


今。


なんで。


分かった?


「レオン!」


アレンが。


走る。


「次!」


「後ろ!」


振り返らず。


右へ避ける。


ごっ!


背後から。


岩が飛んだきた。


……間違いない。


アレンには。


分かっている。


どこから。


攻撃が来るのか。


さっきまで。


分からなかったはずだ。


なのに。


今は。


分かっている。


「アレン!」


「なに!」


「何が見えてる!」


「分からない!」


「は?」


「でも!」


アレンが。


ゴーレムを見る。


「分かるんだ!」


「こいつが!」


「何をしようとしているのか」


「どこから攻撃しようとしてるのか!」


……なんだ。


それ。


意味が。


分からない。


だが。


理由は。


後でいい。


今は。


勝つ。


「アレン!」


「聞け!」


「うん!」


「弱点が分かった!」


「今から俺が、攻撃する場所を指示する」


一瞬。


アレンが。


笑った。


「分かった!」


「じゃあ」


「僕は、あいつの攻撃を教えるよ!」


ゴーレムが。


拳を。


振り上げる。


「右!」


分かっている。


俺は。


左へ。


踏み込む。


拳が。


横を抜ける。


俺には。


弱点が見える。


アレンには。


攻撃が見える。


もう。


……負ける気がしない。


「アレン!」


「右脚!」


「付け根だ!」


「うん!」


アレンが。


走る。


ゴーレムが。


身体を回す。


左腕。


来る。


「アレン!」


「そのまま行け!」


「え?」


「左腕は!」


「壊れかけてる!」


ごっ!


ゴーレムの。


左腕が。


振られる。


だが。


遅い。


アレンが。


潜り込む。


「はあっ!」


木剣。


右脚関節。


がんっ!


ひび。


入った。


初めて。


岩が。


割れた。


「効いた!」


「止まるな!」


「もう一回!」


「うん!」


ゴーレムが。


右腕を。


振り上げる。


同時に。


魔力が。


地面へ。


「上!」


アレンが叫ぶ。


「それから!」


「右の壁!」


俺は。


笑った。


完璧だ。


「先に脚!」


「分かった!」


アレンが。


横へ。


かわす。


右壁。


石弾。


来る。


俺が。


前へ出る。


「ウォーターボール!」


水弾が。


壁から飛び出した石弾へ。


ぶつかる。


ばしゃっ!


軌道が。


ずれる。


その間に。


アレンが。


右脚へ。


二撃目。


がんっ!


ひびが。


広がる。


「もう一発!」


「フレイムアロー!」


火の矢。


右脚関節へ。


直撃。


熱を帯びる。


そこへ。


俺は。


右手を向ける。


「ウォーターボール!」


急激に。


冷やす。


びきっ。


岩が。


割れた。


ゴーレムの。


巨体が。


傾く。


どおんっ!


片膝を。


ついた。


「レオン!」


「ああ!」


分かってる。


次。


胸部。


魔力核。


だが。


外殻が。


厚い。


このまま。


撃っても。


届かない。


なら。


開ける。


《潜在解析》。


胸部。


岩石外殻。


厚さ。


魔力循環。


接合部。


……そこだ。


胸の。


左下。


岩と岩の。


継ぎ目。


そこだけ。


薄い。


「アレン!」


「胸!」


「左下!」


「そこを狙え!」


「分かった!」


アレンが。


走る。


ゴーレムが。


立ち上がろうとする。


右脚。


壊れている。


動きが。


遅い。


それでも。


右腕を。


アレンへ。


振り下ろす。


「アレン!」


「分かってる!」


アレンが。


笑った。


一歩。


右へ。


拳が。


地面へ。


叩きつけられる。


どんっ!


その腕を。


踏み台にして。


アレンが。


跳んだ。


「フレイムアロー!」


至近距離。


胸部。


左下。


炎が。


直撃する。


岩が。


赤く。


熱せられる。


「レオン!」


「任せろ!」


俺は。


両手を。


前へ。


魔力を。


集める。


今までより。


速く。


多く。


身体の中を。


魔力が。


走る。


「ウォーターボール!」


水弾。


熱せられた。


岩へ。


直撃。


じゅっ!


蒸気。


ひび。


びきっ。


びきびきっ!


外殻が。


割れる。


その奥。


見えた。


青白い。


光。


魔力核。


「アレン!」


「見えた!」


ゴーレムが。


吠える。


声ではない。


岩が。


震える。


地面。


壁。


天井。


全部に。


魔力が。


流れ込む。


一斉攻撃。


だが。


アレンは。


笑っている。


「レオン!」


「三つ来る!」


「右!」


「上!」


「後ろ!」


もう。


何も。


怖くない。


「右は俺!」


「上を避けろ!」


「後ろは!」


「無視して前へ行け!」


「うん!」


右。


ウォーターボール。


石弾を。


逸らす。


上。


天井から。


岩。


アレンが。


走り抜ける。


後ろ。


関係ない。


俺たちは。


もう。


そこにはいない。


前へ。


二人で。


走る。


ゴーレムまで。


あと。


十歩。


「アレン!」


「うん!」


「俺が!」


「道を開ける!」


魔力を。


集める。


胸部。


ひび割れ。


狙う。


「ウォーターボール!」


水弾。


直撃。


ばきっ!


外殻が。


完全に。


砕けた。


魔力核が。


露出する。


「今だ!」


アレンが。


跳ぶ。


木剣を。


両手で。


握る。


「はあああっ!」


振り下ろす。


がんっ!


魔力核に。


木剣が。


直撃。


魔力核に。


亀裂。


そして。


砕けた。


一瞬。


静かになった。


ゴーレムの。


身体から。


光が。


消える。


巨大な。


岩の身体が。


ゆっくり。


崩れる。


どどどどっ!


岩。


土。


砂埃。


俺とアレンは。


その中から。


転がるように。


離れた。


そして。


静寂。


動かない。


ゴーレム。


《潜在解析》。


【ゴーレム】


状態:機能停止


魔力核:破壊


……勝った。


本当に。


勝った。


中級の。


魔物に。


二人で。


俺は。


その場に。


座り込んだ。


「はあ……」


隣で。


アレンも。


倒れる。


「疲れた……」


「当たり前だ」


しばらく。


二人とも。


何も。


話さなかった。


そして。


アレンが。


突然。


起き上がった。


「レオン!」


「なんだ」


アレンが。


満面の笑みを。


浮かべる。


「僕たち!」


「最高のコンビだね!」


「……」


「別に」


「え?」


「たまたま」


「能力が」


「噛み合っただけだ」


「それを最高のコンビって言うんだよ!」


「言わない」


「言うよ!」


「言わない」


「絶対言う!」


うるさい。


本当に。


面倒な奴だ。


なのに。


なぜか。


さっきまでより。


その言葉が。


嫌じゃなかった。


◇◇◇


ゴーレムを。


倒してから。


俺たちは。


少し休んだ。


身体は。


まだ痛い。


だが。


動ける。


俺は。


アレンを見る。


「さっきの」


「なに?」


「攻撃が来る場所」


「なんで分かった?」


「分からない」


即答。


「……は?」


「僕にも分からないんだ」


アレンが。


自分の手を見る。


あの時。


「絶対に」


「レオンを助ける」


「そう思ったら」


「急に」


「分かるようになった」


「ゴーレムが」


「どこを攻撃しようとしているのか」


「なんとなく」


「分かるようになったんだ」


なんとなく。


そんな。


曖昧な説明で。


納得できるか。


「それに」


「レオン、君も」


「急に、弱点が分かったって」


そういえば。


俺も。


同じだった。


絶対に。


弱点を見つける。


そう思った瞬間。


《解析眼》が。


進化した。


なら。


アレンにも。


何かが。


起きた。


可能性はある。


「まあ」


「生きてる」


「それで十分だろう」


アレンが。


少し。


驚いた顔をした。


「なに」


「いや」


「レオンが」


「そういうこと言うんだなって」


「……置いていくぞ」


「あ!」


「待ってよ!」


俺たちは。


歩き出した。


◇◇◇


帰り道は。


思ったより。


簡単だった。


《潜在解析(ディープアナライズ)》で。


岩壁を見る。


岩の構造。


空洞。


魔力の流れ。


今までなら。


ただの岩にしか。


見えなかったものから。


情報が。


入ってくる。


「こっちだ」


「分かるの?」


「多分」


「すごいね!」


「うるさい」


行き止まりを。


避け。


上へ。


上へ。


進む。


やがて。


風。


わずかに。


空気が。


動いている。


出口。


近い。


「レオン!」


「ああ」


前方。


光。


俺たちは。


歩く速度を。


上げた。


そして。


洞窟を。


抜ける。


眩しい。


夕方の。


光。


外だ。


「出た!」


アレンが。


両手を。


上げる。


俺も。


息を吐いた。


助かった。


その時。


「いたぞ!」


声。


森の向こうから。


大人たちが。


走ってくる。


「レオン!」


「アレン!」


村の男たちだ。


その後ろから。


見覚えのある。


二人の男が。


血相を変えて。


大急ぎで。


駆けてくる。


アレンの。


護衛だ。


「ご無事でしたか!」


一人が。


アレンの前に。


膝をつく。


「お怪我は!」


「大丈夫だよ」


「レオンが助けてくれたから」


「そういう問題ではありません!」


男の声が。


震えている。


「もし」


「あなた様に何かあれば――」


そこで。


もう一人が。


口を開いた。


「本当に……」


「ご無事で何よりです」


「アレン殿下」


……?


今。


なんて。


言った?


殿下?


俺は。


アレンを見る。


アレンが。


気まずそうに。


笑った。


「……殿下?」


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