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18/31

第18話 正しい判断

「アレン!」


山道を。


走る。


前には。


金色の髪。


「待て!」


「早く!」


「だから待て!」


聞いていない。


本当に。


こいつは。


人の話を聞かない。


俺は。


アレンの背中を。


追いながら。


地面を見る。


《解析眼(アナライズ)》。


【地面】


小型足跡:有


大型足跡:複数


進行方向:北西


まだ。


足跡は続いている。


「左だ!」


アレンが。


曲がる。


山の中へ。


道は。


次第に。


細くなる。


木々が。


増える。


村から。


離れていく。


何度か。


足跡を見失う。


そのたびに。


《解析眼》で。


地面。


草。


折れた枝。


残された痕跡を。


確認する。


そして。


辿り着いた。


岩肌。


その奥に。


黒い穴。


「……ダンジョン」


アレンが。


入り口を見る。


「ここにいるの?」


俺は。


地面を見る。


《解析眼(アナライズ)》。


【地面】


小型足跡:有


大型足跡:複数


進行方向:内部


間違いない。


足跡は。


中へ続いている。


「可能性は高い」


「じゃあ、行こう」


アレンが。


入ろうとする。


俺は。


肩を掴んだ。


「待て」


「ここから先は」


「もっと慎重に行く」


「でも」


「見つけても」


「すぐ飛び出すな」


「状況を確認する」


アレンは。


ダンジョンの奥を見つめている。


「分かった」


返事だけは。


素直だ。


嫌な予感がする。


俺たちは。


木剣を握り。


ダンジョンへ。


足を踏み入れた。


◇◇◇


中は。


薄暗い。


岩壁。


湿った空気。


奥から。


水の落ちる音がする。


俺たちは。


足音を抑える。


しばらく進む。


分かれ道。


《解析眼(アナライズ)》。


地面。


右。


足跡がある。


俺は。


指を差す。


アレンが。


頷く。


さらに。


奥へ。


その時。


声がした。


「だから言っただろ!」


男の声。


俺とアレンは。


同時に。


足を止める。


少し先。


岩陰。


俺たちは。


身を低くする。


「こいつじゃねえ!」


別の男の声。


「俺たちが欲しかったのは」


「村のレオンってガキだ!」


……俺?


アレンが。


俺を見る。


何か言おうとしている。


俺は。


口元に。


指を当てる。


黙れ。


岩陰から。


そっと。


覗く。


少し開けた場所。


男が。


四人。


その奥に。


子供。


手を。


後ろで縛られている。


村の子だ。


間違いない。


探していた。


少年。


「どうすんだよ」


「こいつ」


「知らねえよ」


「レオンってガキは」


「頭がいいって町でも噂になってる」


「商人に売れば」


「いい金になるって話だっただろ」


「だから」


「村から連れてくるはずだったんだ」


「こいつじゃ」


「売っても大した金にならねえ」


……なるほど。


狙いは。


俺だった。


「じゃあ殺すか?」


少年の肩が。


びくりと。


動いた。


アレンの表情が。


変わる。


俺は。


すぐに。


アレンの腕を掴んだ。


動くな。


男の一人が。


首を振る。


「待て」


「こいつの親から」


「金を取れるかもしれねえ」


「村のガキなら」


「家族はいるだろ」


「身代金か?」


「少しくらいは出すだろ」


「出さなきゃ」


「その時考えりゃいい」


男たちが。


笑う。


少年は。


俯いたまま。


震えている。


隣で。


アレンの手が。


強く。


木剣を握った。


俺は。


小さな声で。


言う。


「戻るぞ」


アレンが。


俺を見る。


「居場所は分かった」


「人数も分かった」


「大人に知らせる」


「父さんと護衛を連れてくれば」


「確実に助けられる」


アレンが。


少年を見る。


「それじゃ遅い」


「遅くない」


「今すぐ殺すつもりはない」


「身代金を取るつもりだ」


「時間はある」


「でも」


「さっき」


「殺すって言った」


「一人が言っただけだ」


「でも」


アレンが。


俺を見る。


いつもの。


笑顔はない。


「大丈夫じゃない可能性もある」


「……」


「レオン」


「今」


「あの子は」


「怖がっている」


「それとこれは別だ」


「別じゃない」


アレンが。


木剣を握る。


「おい」


「待て」


アレンが。


岩陰から。


飛び出した。


嫌な予感が


的中した。


「お前ら!」


「その子を放せ!」


……こいつ。


本当に。


馬鹿だ。


◇◇◇


「なんだ?」


男たちが。


振り返る。


アレンが。


木剣を構える。


「子供?」


「もう一人来たぞ」


「つけられたか?」


「どうする?」


「こいつも捕まえるか?」


男たちが。


笑う。


俺は。


頭を抱えたくなった。


だが。


もう。


アレンは。


男たちの前にいる。


今から。


俺だけ戻って。


大人を呼ぶ。


その間。


アレン一人で。


四人を相手にすることになる。


それでは。


遅い。


選択肢は。


一つしかない。


俺は。


木剣を握り直す。


そして。


岩陰から。


出た。


「レオン!」


少年が。


俺を見る。


男の一人が。


目を見開く。


「レオン?」


「お前が」


「レオンか?」


「馬鹿なやつだ」


「自分から来たぞ!」


「捕まえろ!」


男たちが。


動く。


俺は。


全員を見る。


《解析眼(アナライズ)》。


【個体名:???】


種族:人間


健康状態:良好


身体能力:C


戦闘適性:D


剣術:D


次。


【個体名:???】


種族:人間


健康状態:良好


身体能力:D


戦闘適性:D


剣術:E


次。


【個体名:???】


種族:人間


健康状態:良好


身体能力:C


戦闘適性:C


剣術:D


次。


【個体名:???】


種族:人間


健康状態:良好


身体能力:D


戦闘適性:D


剣術:E


四人。


一番危険なのは。


三人目。


戦闘適性C。


剣術D。


四人の中では。


こいつが一番上だ。


それでも。


アレンより低い。


俺自身の数値は。


分からない。


だが。


三か月。


何度も戦った。


相手の動きを見る。


足。


肩。


重心。


剣の軌道。


やることは。


同じだ。


「アレン!」


「右の奴から!」


「分かった!」


アレンが。


走る。


「ガキが!」


男が。


剣を振る。


アレンが。


半歩。


ずれる。


木剣。


一閃。


男の手首。


「ぐっ!」


剣が。


落ちる。


続けて。


腹。


「がっ!」


男が。


膝をつく。


速い。


やっぱり。


こいつは。


強い。


「この!」


別の男が。


俺へ来る。


見る。


肩。


重心。


右足。


剣が。


来る。


見える。


アレンの剣より。


遅い。


俺は。


一歩。


横へ。


避ける。


木剣を。


振る。


手首。


外した。


だが。


腕に当たる。


「痛え!」


男が。


怯む。


もう一度。


踏み込む。


膝。


男の体勢が。


崩れる。


そのまま。


脇腹。


木剣を。


叩き込む。


男が。


倒れた。


「……」


できた。


父さんとの。


練習。


アレンとの。


模擬戦。


全部。


無駄じゃない。


俺は。


戦える。


「レオン!」


振り向く。


三人目。


一番強い男が。


俺へ。


剣を振り下ろしている。


間に合わない。


その時。


木剣が。


横から入った。


男の体が。


よろける。


アレン。


「前見て!」


「分かってる!」


二人で。


男を見る。


男が。


舌打ちする。


「ガキのくせに……」


来る。


今度は。


アレンへ。


速い。


木剣と。


鉄の剣。


まともに。


受ければ。


不利。


アレンが。


剣を受け流す。


俺が。


横から。


足を狙う。


男が。


避ける。


その先。


アレン。


木剣が。


男の腹へ。


入る。


「ぐっ!」


男が。


前へ折れる。


俺は。


そのまま。


肩へ。


木剣を。


振り下ろす。


男が。


倒れた。


残り。


一人。


そう思った。


「動くな!」


声。


振り返る。


最後の男が。


少年を。


抱えていた。


首元に。


剣。


「来るな!」


少年の顔が。


青ざめている。


俺とアレンが。


止まる。


男が。


荒い息をする。


「ガキども……」


「好き勝手やりやがって」


「村に帰れ!」


「村に帰って」


「金を持ってこい!」


「金を持ってきたら」


「こいつは返してやる!」


状況が。


変わった。


人質。


距離。


およそ。


五メートル。


男の剣。


少年の首。


俺が。


踏み込めば。


間に合わない。


アレンを見る。


動くな。


そう。


言おうとした。


だが。


アレンが。


一歩。


前へ出た。


「おい!」


「来るな!」


男が。


叫ぶ。


アレンは。


止まらない。


「その子を放して」


「来るなって言ってるだろ!」


「アレン!」


「止まれ!」


聞かない。


一歩。


また。


一歩。


「こいつがどうなってもいいのか!」


男が。


少年を抱える腕に。


力を込める。


「うっ……」


少年の顔が。


苦痛に歪む。


アレンは。


笑顔で。


少年を見ている。


「大丈夫」


「必ず助けるから」


「ふざけやがって!」


男が。


剣を。


少年から離す。


そして。


アレンへ向けた。


切っ先が。


アレンの額に。


触れる。


「動くな!」


額から。


赤い血が。


一筋。


流れた。


「アレン!」


それでも。


アレンは。


引かない。


男を見る。


いや。


違う。


男じゃない。


少年を。


見ている。


「大丈夫」


もう一度。


言った。


「もう少しだから」


……何を。


やってる。


なぜ。


引かない。


怖くないのか。


死ぬかもしれない。


そんなこと。


分かっているはずだ。


男の意識が。


完全に。


アレンへ向いている。


少年からも。


俺からも。


意識が外れている。


今なら。


俺は。


周囲を見る。


考えろ。


助ける。


方法を。


《解析眼(アナライズ)》。


【岩壁】


状態:悪


亀裂:有


安定性:低


上。


男の。


真上。


亀裂。


小さな岩が。


今にも落ちそうだ。


木剣では。


無理だ。


魔法。


右手。


水。


狙うのは。


男じゃない。


岩。


「ウォーターボール」


水球が。


飛ぶ。


男が。


俺を見る。


「何――」


水球が。


岩に当たる。


亀裂。


広がる。


ごっ。


岩が。


落ちた。


「ぐあっ!」


男の肩に。


直撃。


剣が。


落ちる。


「アレン!」


アレンが。


動く。


少年を。


男から。


引き離す。


俺も。


走る。


男が。


立ち上がろうとする。


木剣。


振る。


腕。


もう一度。


腹。


男が。


倒れる。


動かない。


静かになった。


◇◇◇


「何やってんだ!」


俺は。


叫んだ。


アレンを見る。


額から。


血が出ている。


「剣を向けられてただろ!」


「少し間違えば」


「死んでたぞ!」


アレンは。


俺を見ない。


「おい!」


「聞いてるのか!」


アレンは。


答えない。


そのまま。


少年の縄を。


解く。


少年は。


震えている。


声も。


出ない。


アレンが。


そっと。


少年を。


抱きしめた。


「怖かったね」


少年の肩が。


震える。


「もう大丈夫」


アレンが。


背中を。


ゆっくり。


叩く。


「大丈夫だから」


少年の目から。


涙が。


溢れた。


「う……」


「うわあああああ!」


泣き声が。


ダンジョンに。


響く。


アレンは。


何も言わず。


抱きしめている。


俺は。


その姿を。


見ていた。


さっきまで。


頭の中で。


考えていたこと。


危険だ。


無謀だ。


合理的じゃない。


大人を呼ぶべきだった。


俺の。


判断は。


間違えていない。


今回は。


たまたま。


上手くいっただけだ。


全部。


正しい。


はずなのに。


泣いている少年と。


その少年を。


抱きしめているアレンを見て。


俺は。


何も。


言えなかった。


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