↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/30

第16話 俺の嫌いなタイプ

「僕と、友達になろう」


「……は?」


「友達」


「聞こえてる」


「じゃあ、よろしく」


「ならない」


即答した。


アレンが。


首を傾げる。


「どうして?」


「必要ない」


アレンは。


しばらく。


俺を見ていた。


そして。


笑った。


「じゃあ」


「今度、村に遊びに行くね」


「来なくていい」


「またね」


話を。


聞いていない。


◇◇◇


橋で会った少年。


アレン。


綺麗な服。


それに。


二人の護衛。


おそらく。


貴族の子供だ。


前世でも。


何人も見てきた。


親の会社。


親の金。


親の地位。


最初から全て用意されていただけなのに。


自分は何も成していないのに。


それを。


自分の力だと。


勘違いする人間。


そして。


大した苦労もせず。


幸せそうな顔をして。


我が物顔で生きている。


俺の最も嫌いなタイプだ。


当然。


仲良くなる理由はない。


俺には。


やることがある。


◇◇◇


数日後。


「遅い」


父さんの木剣が。


俺の肩に。


触れた。


「……もう一回」


木剣を。


構え直す。


その時。


「レオン!」


聞き覚えのある。


声がした。


振り返る。


金色の髪。


青い瞳。


笑顔。


「……なんでいる」


「約束通り」


「遊びに来た」


アレンだった。


後ろには。


あの二人の男。


「約束してない」


「来なくていいって言っただろ」


「でも」


「来るなとは言われてない」


アレンは。


笑っている。


「同じだ」


父さんが。


俺とアレンを見る。


「友達か?」


「違う」


「友達になる予定です」


「ならない」


父さんが。


笑った。


◇◇◇


アレンが。


楽しそうに。


俺の剣術の練習を見ている。


しばらくたって。


父さんが。


俺を見て言う。


「せっかくだから」


「二人で模擬戦でもしてみたらどうだ?」


アレンが。


嬉しそうに。


答えた。


「やってみたい」


俺は。


正直。


やりたくない。


だが。


俺は。


アレンを見る。


《解析眼(アナライズ)》。


【個体名:アレン】


種族:人間


年齢:八歳


健康状態:良好


身体能力:C


魔力量:B


魔法適性:C


戦闘適性:C


剣術:B


やはり。


高い。


八歳で。


剣術B。


相手としては。


悪くない。


それに。


俺は。


自分自身を。


《解析眼》で見ることができない。


なら。


強い相手と。


実際に戦う。


その結果から。


今の自分を測ればいい。


俺は。


木剣を取った。


「やる」


アレンが。


嬉しそうに。


笑った。


気に入らない。


だが。


これは。


いい機会だ。


今の俺が。


どこまでやれるのか。


試してみる。


◇◇◇


二人で木剣を構える。


「始め」


俺から。


仕掛ける。


踏み込む。


右から。


振る。


アレンが。


半歩。


動いた。


空振り。


次の瞬間。


胸に。


木剣が。


触れた。


「一本」


「……」


速い。


「もう一回」


「うん、いいよ」


二回目。


負けた。


三回目。


負けた。


四回目。


また。


負けた。


……こいつ。


強い。


「もう一回」


アレンが。


笑う。


「レオン」


父さんが言う。


「熱くなるな」


「相手を見ろ」


分かってる。


見る。


足。


肩。


重心。


剣の軌道。


観察する。


試す。


修正する。


次は。


さっきより。


長く持った。


それでも。


負けた。


「くそ……強いな」


思わず。


口に出た。


アレンが。


嬉しそうに笑う。


「ありがとう」


その笑顔が。


気に入らない。


◇◇◇


昼を過ぎても。


アレンは。


帰らなかった。


好きにすればいい。


俺には。


やることがある。


俺は。


家の裏で。


魔法の練習を始める。


右手を。


前へ。


水を。


イメージする。


「ウォーターボール」


前よりは少し大きな。


水球。


飛ぶ。


板に当たり。


水が弾けた。


「すごいね」


声がして。


横を見る。


アレンが。


俺の手元を。


興味深そうに見ていた。


「魔法も使えるんだ」


「まだ練習中だ」


「水魔法?」


「そう」


アレンが。


少し嬉しそうに。


俺の隣に並ぶ。


「じゃあ」


「僕もやろう」


アレンが。


右手を。


前へ向けた。


空気が。


少し。


熱くなる。


「フレイムアロー」


炎が。


集まる。


細長く。


形を変える。


次の瞬間。


炎の矢が。


飛んだ。


木の板に。


突き刺さる。


ぼっ。


炎が上がった。


俺は。


板を見る。


同じ下級魔法だが。


俺の魔法より。


明らかに。


威力が高い。


アレンが。


得意げに。


笑う。


……気に入らない。


だが。


結果は。


認めるしかない。


八歳で。


この威力。


そして。


魔力量:B。


少なくとも。


魔法も。


俺より先を行っている。


「もう一回」


「え?」


「今の魔法」


「もう一回やって」


アレンが。


不思議そうに。


俺を見る。


「いいけど」


右手を。


前へ向ける。


「フレイムアロー」


再び。


炎の矢が。


放たれる。


今度は。


魔法ではなく。


アレンを見る。


構え。


呼吸。


魔力を集める時間。


発動までの動き。


俺とは。


何かが違う。


「もう一回」


「わかった」


三度目。


「フレイムアロー」


炎の矢が。


飛ぶ。


やっぱりだ。


発動が。


速い。


それなのに。


力んでいない。


自然に。


魔力を使っている。


俺も。


真似する。


「ウォーターボール」


水球が。


さっきより。


早く。


できた。


……なるほど。


悔しいが。


こいつからも。


学べる。


◇◇◇


それから。


アレンは。


何度も。


村へ来るようになった。


来れば。


一緒に。


剣を振る。


魔法の練習をする。


気づけば。


それが。


当たり前になっていた。


そして。


「礼儀正しくて、かわいい子ね」


母さんにも。


すっかり気に入られ。


練習が終わると。


そのまま。


うちで飯を食べていくことも。


増えていった。


「アレン君って」


姉さんが聞いた。


「レオンのお友達?」


「うん」


「違う」


同時に。


答えた。


グレースが。


笑う。


「仲良しなんだね」


「うん」


「違う」


同時に。


答えた。


アレンも。


笑っている。


なんなんだ。


こいつら。


◇◇◇


夕方。


「じゃあね、レオン」


アレンが。


手を振る。


「また来るよ」


「だから」


「来なくていい」


「またね」


俺は。


手を振らない。


だが。


遠ざかる。


アレンの背中を。


見ていた。


翌朝。


一人で。


木剣を振る。


一回。


二回。


三回。


アレンに。


負けた動きを。


思い出す。


重心。


踏み込み。


剣の軌道。


もう一度。


振る。


ふと。


村の入り口を見る。


誰も。


いない。


今日も。


来るのだろうか。


そう考えて。


手が止まった。


……何を考えてる。


別に。


来なくていい。


俺は。


木剣を。


振り直した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。