潮騒
https://note.com/yokoze_asahi/n/n4abeeec89227
電車とバスを乗り継いで約二時間、私はある岬のフェリーターミナルに来ていた。券売所で乗船券を買い、フェリー出航まで時間があるため私は岬の遊歩道を歩いて時間を潰すことにした。
青い海を横目に潮騒を聞きながらしばらく歩いていると、港へ入港する水色のコンテナ船を見かけた。この距離でコンテナ船を見るのはとても久しぶりだったため、思わず「どこ行くんだろう。久々に見たよ」と独りごちた。
灯台に到着し、特に見どころもなかったためがっかりしてフェリーターミナルへ戻ると、既に乗船案内が始まっていた。
船員に乗船券を渡し、半券をもらって車両甲板から階段を上って客室に入った。
ほどなくして船は出航、約六十分の短い船旅が始まった。
客室の座席に座ってテレビを見ていると、船内放送で窓から見える島の紹介が始まった。左に見える島は「歌島」といって、有名作家の小説、それを原作にした映画の舞台になっているらしい。
テレビの電波が入らなくなったため私はデッキに出た。「歌島」以外にも島がいくつかあった。
「パール・アイランド」という島もあった。それを横目にフェリーは着岸作業を始める。
下船口に向かうと、人が大勢集まっていた。ずいぶん前に乗った東京湾フェリーと比べると、利用者が桁違いのように思えた。港には水族館もあり、賑わっているように見えた。
タラップを渡り、十分ほど歩いて駅に到着した。駅前にはサザエやアワビなどの貝類を売る威勢のいい女の人たちの声が聞こえた。
駅は無人化されていた。券売機が一台置かれていて、その横には誰も入っていない有人改札口があった。
プラットホームに停まっている列車に乗り込み、座席に腰をかけていると車掌が乗車券を見に来た。
しばらくして列車は発車した。快速列車で見栄を張り、次の目的地へと飛ばした。
別の路線を使って南に行けば、スペインへ国外逃亡できると聞いたが一人で行くのは危険らしいのでやめておいた。




