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逃亡代行  作者: 横瀬 旭
第三章(二)
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長距離普通列車

 朝食後、ホテルをチェックアウトして駅に向かい、プラットホームに止まっている列車に乗り込んだ。


この列車はこの駅から山奥を走り抜けて、七時間ほどかけて約二百キロメートル先にある港町まで行く。新幹線や特急列車のような指定席などはない。いわゆる普通列車だ。


 七分遅れで列車は発車した。乗降客が居たのは発車してから数駅程度で、しばらくすると乗降はすっかりなくなった。たまに車掌が車内を往復するだけだった。


二分、三分程度で次々と駅に停車する。各駅停車と言えども、山の中を走る列車にしては珍しい。景色以外は、東京の地下鉄や路線バスと変わらないような気がした。


 停車した駅に降車する人が居ると、車掌がプラットホームを走って乗車券を回収したり、定期券の確認に来る。乗客が居ると、降りる駅を聞いて乗車券を発券したり、同じく定期券の確認する。


 この路線には乗降客のとても少ない、いわゆる「秘境駅」がとても多い。その駅にだけ列車を止める「秘境駅号」という観光客用の臨時列車もあるらしい。そうとなればもはや秘境駅の良さが台無しではないのか。人がいないのが魅力ではないのか。


 車窓からの景色を眺めるのが好きな私は、長時間の乗車でもあまり退屈はしなかった。たまに現れる大きな川を眺めたり、景色に飽きれば目を閉じて眠る。その繰り返しだった。


私が苦しさを感じたのはお尻の痛みとヤニ切れだった。お尻の痛みは立ち上がれば何とかなる。しかし全車両禁煙の車内でヤニ切れはどうにもできない。この列車を乗った駅の売店で買ったひと口サイズで十二個入りのチョコレートを少しずつ大事に舐めて気を紛らわしていた。タバコをやめようとさえ思った。


 港町の駅には定刻通り到着した。近くの都市に世界一の自動車メーカーがあるため、自動車の輸出入が盛んな港だ。


朝には南へ上りかけていた陽も、列車を降りた今ではほぼ西に沈みかけていた。

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