エピローグ(一)
https://note.com/yokoze_asahi/n/n1738ed38e8bd
熱海サンビーチで私は、今までの逃亡経路を振り返っていた。前の職場の上司である川崎から『親方の舎弟がお前を探してるから逃げろ』と言われ、地元から上野駅までタクシーを使い、電車で房総半島へ下った。
岡本桟橋で倒木に座っていた女の子を撮影しようとしたら白飛びして女の子が消えてしまったこと、野島崎灯台の霧信号所が一晩で無くなっていたこと。あまりに不思議な体験だったからよく覚えている。
鋸山の山頂でフェリーターミナルを見つけ、フェリーで三浦半島へ渡り、海軍カレーを食べ、剱崎灯台の横で暗い海を眺めた。
鎌倉で寺社仏閣を巡り、江の島でエスカーに乗った。
道の途中で見知らぬ女の人の車に乗せてもらい、天城越えをし、開国の町下田に下り、踊り子号に乗ってやってきたのが今いる熱海だ。先ほどまで居た初島が、遠くの海に浮かんでいる。
その時携帯電話が鳴った。川崎からの電話だった。
電話に出ると『元気か?』という偉そうで、懐かしい声が聞こえてきた。
今までの逃亡経路を聞かれたため、さっきまで回想していたことを逐一説明した。
最後に、これからどこへ向かうつもりだと聞かれたため
「東海道本線で名古屋の方へ向かう」
と答えた。
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電話を終えた川崎は、D株式会社の境に電話をかける。
電話で聞いた対象の現在地を報告した。
『ご苦労。追いかけて、見つけ次第捕まえろ』
「わかりました。しかしですね、あいつ行く方向の予測ができないんです。鉄道だけ使って逃げてると思いきや船とか使ってるんです」
『まあ急いでるわけじゃない。そのうち見つかるだろう。この国はそんなに広くない』
第三章第一節終了。
上野駅→岡本桟橋→野島崎灯台→鋸山→金谷港→久里浜港→剱崎灯台→鎌倉→江の島→下田→熱海→初島




