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逃亡代行  作者: 横瀬 旭
第三章(一)
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夜の踊り子

https://note.com/yokoze_asahi/n/n73b745d4d3a1

 小雨の降る昼過ぎ、私は道がつづら折りになっている峠の道を歩いている。


傘を持っていないため、冷たい雨を全身に受けながら荷物をかばうようにして坂道を進んでいた。


 しばらく歩いていると、私を追い越した自動車が路肩に寄って停車し、運転席から女が出てきて私に向かって手招きをした。


助手席のドアを開けて座席に腰を下ろすと車は発進した。急いでシートベルトをする。


 「寒かったでしょう」と言って、女は灰皿を出してくれた。


「どこまで行くの」と聞かれたため、私は少し考え、どぎまぎしながら「決めてない」と答えると、女が向かうという町まで一緒に行くことになった。


 カーブの続く登り坂を、女はハンドルとアクセルペダルをせわしく操作して登っていた。


しばらく走っていると、女は「具合が悪い」と言って道の駅に車を止めた。少し休むことになった。


私もしばらく外の空気を味わっていた。雨雲がすぐ頭上にあるのをずっと見ていた。


十分ほど休んで再び走り出した。トンネルを抜け、峠を越えると、下り坂が続いた。


カーブの続く下り坂を、女はハンドルとブレーキペダルをせわしく操作して下っていた。


前を走る車に追いついたり、離されたりを繰り返していた。


 ループ橋を渡り、しばらくすると海が見えてきた。今日の空に似た、灰色の海を見た。


海沿いの道を進み、短いトンネルをいくつか抜けると町に到着した。


「開国の町だよ。米国の人に言われて、一番最初に開いたのがここの港なの」


 簡単にこの町の説明をしながら駅のロータリーに車を入れた。


「ここから南に行く列車はないの。少し上ると有名な温泉街もあるし、そこでお風呂でも入れば」


私は車を降りて国道に消えるまで女の車を見送った。


駅に入って切符を買い、改札を通ってからプラットホームへ歩くと、白いボディに緑色のラインが斜めに入った列車が止まっていた。ヘッドマークには、おかっぱの女の子が描かれていた。


それに乗り込み、座席に腰を掛ける。


しばらくして、その列車は夜の大都会に向けて走り出した。

修善寺辺りから下田

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