1
1
統一にはだいたい察しがついていた。
統一「魔術…やな」
そう言った。
冷夏「!?」
優良「え、け、圭さんが!?」
秋次「魔術を使えるのは…魔術師だけ」
秋次はまた有り得ないことを言った。
優良「ま、魔術なんて、そんなものあるんですか!?」
冷夏「あなた…闇の継承者…見たでしょ?」
優良「え、何故それを…!?」
冷夏「当たり前じゃない。わたしあそこにいたのよ?」
冷夏はそう言った。
優良「なるほど、それもバレバレだったってことですか」
優良は妙に納得するしかなかった。
武士と魔術師は実は非常に昔から因縁がある。
魔術の才能がないものを兵士。
あるものを魔術師とした。
初めは何もなかったのだが、
ある日道端で一人の男が殺された。
それは魔術師と兵士が口論から発端したものだった。
才能。
それは人の心を狂わせ、格差を産むものだった。
魔術師は兵士を無能と見下すようになった。
それは日常的にも、社会的にも。
殺した魔術師の男は無罪とされた。
当然、それは兵士の気持ちを踏みにじるものだ。
兵士は訴えを起こす、だが、覆らない。
それからとはいうもののどの兵士の家や武士の家でも『魔術師は敵、友好を避けよ。魔術師は悪魔のような存在、必ずその者に災いをもたらすだろう。』
ということを教えられた。
統一は悩んでいた。
圭が魔術師の血を引くもの。
武士の敵である魔術師を引くもの。
そして
優良「わたしは…圭さんを信じます」
冷夏「…!」
秋次「…!」
統一「…」
優良「圭さんが魔術師の血筋であろうとなかろうと圭さんは圭さんです」
優良は言い切った。
それには冷夏や秋次も共感する。
冷夏「そうよ、圭は圭。私を救ってくれたのには変わりないわ」
秋次「そうです。圭さんは正真正銘僕のと、と、とも…だ…だ…」
冷夏ははっきり言ったが、秋次は恥ずかしかったのか顔が赤かった。
二人が優良に共感した中。
統一「…俺は」
統一が口を開く。
統一「ここで抜けさせてもらうで」
優良「えっ…」
誰もがその場で固まった。
圭「…」
冷夏「圭!」
圭が見ていた。
圭は起きていた。
もちろん、自分の存在が魔術師というものだとは知らなかった。
だが、目の前のことは理解できる。
優良「圭さん!これは…」
圭「分かってるよ…」
優良「…」
圭「みんな…ごめん…」
圭はそう言って家から出て行った。
優良「そんな…。わたしは…」
優良は悔しかった。
圭を止められることができなかった。
圭が抱え込んでいるものを一緒に背負うことができなかった。
優良は膝をついたまま、ゆっくりと頬を伝う涙をとめられずにいた。
冷夏「統一!どうして…!」
統一から信じられない言葉を聞いたからか、冷夏が殺気だっている。
統一「ま、魔術師が…俺の親を…殺したんや」
冷夏「えっ!?」
秋次「!?」
冷夏の怒りは一気に冷めた。
続けて統一は言った。
統一「俺は確かにこの目で見たんや!手から火が出る人間を!!母さんや父さんが焼かれる姿を!!」
冷夏「でも圭は…」
統一「分かっとる!!あいつはそんなことする奴やない…。でも、あいつのあの姿を見てから…俺はあいつの目を見て話ができん…むしろあいつを……やってまうかもしれん…」
秋次「そんな…」
冷夏「!?」
そんな重い空気の中。
バタンと扉の開く音。
冷夏「ゆ、優良…!?」
秋次「えっ!?」
冷夏たちが気づくとそこにいるはずの優良がいなかった。




