第88話 サトシ、現実の東京でモンスターと対峙する
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黒ずくめのタクティカル系装備に身を包んだ謎の集団。
そいつらはあたかも大きな公園内に俺を誘い込むかのように逃走した後、公園内で再び俺と面と向かって対峙した。
彼我の間合いは約10メートルほど。
必死で追いかけていたせいか、拳銃の有効射程距離にまで間合いを詰めてしまっていた。
だが、俺には物質を物理的に停止させる呪文がある。
銃器を用いてくるならそれを使って銃弾そのものを被弾する直前で止める。
俺には現在、対象を一時的に停止させる力しかないから、銃弾そのものの運動エネルギーまで失わせる力量はない。
一時停止みたいにストップはできてもせいぜい5秒、呪文が切れると銃弾は再び元の速度で飛んでくるからそれまでにかわさないといけない。
だが、5秒あれば十分。
あとは至近距離まで間合いを詰めてナイフで仕留める。
魔法力はまだ十分にあるが、殿上人とも交戦する可能性があるからできるだけ節約しないといけない。
魔法力はすべて使い切ると体力と考える思考力ははまだあるのになぜか頭の中でイメージを描く思考だけが不自然にできなくなる。
想像力自体はそのままでも、現実にそれを引っ張ってくる感覚が全くなくなるって言った感じだ。
一応、魔法力を回復させる聖水を水筒に入れてある。
本来は香水とかを入れるような瓶に入れてあるのだが、戦闘などで割れてしまう可能性があると思ったので、ダークゴブリンのおっさんの資料室兼武器庫で見つけた米軍の水筒に入れ替えて持ち歩いている。
もっとも、袋の中に入れてしまえば割れる心配はないからそんなことする必要はなかったのだが・・・。
水筒などの道具類は大量のアイテムを収納できる小型の袋に入れてある。
例のクソ女神が俺に最初に渡したやつだ。
これだけは一応は役立っているので今も持ち歩いている。
それ自体はただの布製の袋だが、中に某猫型ロボットのポケットみたいに大量の物が入る。
ダークゴブリンのおっさんに聞いたらまあまあ価値のあるマジックアイテムの一種だそうだ。
この中には銃器も常時入れてある。
グロック17(9mmパラベラム)
H&K/SFP9(9mmパラベラム)
FNモデルハイパワー(9mmパラベラム。ブローニングハイパワー)
ガバメント・カスタム(45ACP。スプリングフィールド・アーモリー社製)
S&W/M66(357マグナム。4インチバレル。ステンレス)
H&K/MP5(9mmパラベラム。スライド式ストック。サプレッサー付きモデル)
AKM(7.62mm×39。固定式銃床)
AK74(5.45mm×39。固定式銃床)
M4A1(5.56mm×45)
H&K416(5.56mm×45)
FN/SCAR(5.56mm×45)
FN/MINIMI(5.56mm×45)
H&K/MG5(7.62mm×51)
FN/MAG(7.62mm×51)
RPG-7
ジャベリン対戦車ミサイル
FIM-92スティンガー携帯SAM
91式携帯地対空誘導弾
など・・・。
そのほかにも多数の火器類のほか、グレネードランチャーや爆薬、サバイバルキット、浄水器、ピアノ線、ヘルメット、毒ガス探知装置など、役に立ちそうなものは適当に放り込んである。
珍しいものに魔力探知ができる水晶がある。
これは探し出したい者が持つ魔力を検知して水晶内に対象の位置がレーダーのように表示されて居場所が分かるというものだ。
但し、半径1キロ圏内に接近しないといけないという中途半端な性能が難点だが・・・。
他にも、相当な量の荷物が入るからアクション映画の肉体派主人公でもまず運搬不可能な量の弾薬も運べる。
外見はただの袋だから現実世界の人間に怪しまれる恐れはほぼなく、しかも、所有者が手を突っ込んだときにのみ任意のアイテムを取り出せるようになっている一種のロック機能がついており、所有者以外の人間が中を調べても何も取り出せないようになっているのだ。
つまり、所有者以外には外見、中身ともにただの布の袋に過ぎないので、万が一警察などに職質を受けてもノープロブレムというわけだ。
昔読んだラノベとかではステータス表示とかが目の前に表示されたりするが、この袋は外部にはそういったステータス表示的なものは表示されず、直接俺の頭の中にリストが表示されるので、外部から不審がられる心配もない。
おまけに小さく折りたためるからかさばらず、携帯が全く苦にならない。
さて、目の前のサバゲ―風5名をどう料理するか?
指揮官らしき奴のみを生かして、飼い主の居場所を聞き出すか・・・。
運が良ければ小笠原やミーシャの居所も聞き出せるかもしれない。
すると、目の前の5名が突然ゲラゲラと笑い始めた。
「まんまと引っかかったな、勇者様よ~」
中心にいる指揮官風の感じを漂わせている奴が不気味に笑う。
「なんだ、お前?俺のことを知っているのか?」
「新世界で殿上人様相手にご活躍なさっている件は我々の間でも有名でしてね~」
「ここで息の根を止めておけとのご命令でございますので、死んでいただきます」
不気味な笑みとともに、端にいた1名の体から白い煙が噴き出しあたりを覆った。
“くっ!!前が見えねえ。なんだ!?”
煙が晴れると、そこには人外の化け物が1匹、俺の前に立ちふさがっていた。
筋骨隆々のオーク1匹。片手にはカットラスのような刃渡り90センチ以上はあるかという豪刀を持つ。
顔には大きな刀傷があり、鉄製の西洋甲冑を胴に帯びており、サンダル履きという古代ローマの戦士かなにかを思わせる格好だ。
「!!・・・。現実でオークの豚野郎がなんでいやがる!?」
「ブヒヒ!!噂通り多少は歯ごたえがありそうな意気な小僧だわい。カクテルに混ぜるのは若い人間の生き血に限るわ!!!」
「ブーズギはお前が思っているほど簡単には倒せん。せいぜい頑張るんだなニート君」
「大人の世界は複雑なんですよ少年君。まあ、現実をわかってない君には理解しかねるだろうけどねえ~」
“こいつらやっぱり俺のことを知っている”
「・・勇者のデータを撮影して転送しろ。データ収集だ。同時に衛星による撮影も開始」
黒ずくめの4名の内の一人が小型のビデオカメラを向けてサトシとオークの戦うシーンを撮影する。ビデオカメラにはホイップアンテナらしきものがついており、撮影された映像はどこかに送信されていく。
「・・・現実でモンスター狩りかよ。世の中何でもありになってきてるな!!」
俺は愛用のタイパンを抜く。
木々が茂る東京の公園に、少年と化け物の戦いが開始されようとしていた。




