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異世界実録路線 少女は魔の現実に立ち向かう  作者: 幻影摩天楼


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第70話 襲撃

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律子は公子と別れてから自宅のある住宅地へと向かって歩き出した。自宅までは徒歩であと15分くらいというところか。


夕日が差す今の時間帯、いつものことながら何か寂しい。自宅までの住宅地は治安がいいこともあって見回りの人たちも急激に少なくなっていく。


律子にとってはいつもの時間。だが、何かいつもとは違う雰囲気がしていた。


自宅まで数百メートルまで差し掛かった十字路の角に見知らぬパンチパーマの男が立っていた。口で紙たばこをふかしながら両手をポケットに突っ込んで壁に寄りかかっていたその男は服装も地味なチノパンに上着を着ただけというスタイル。だが、地味とはいえこの男は明らかにこのあたりでは見たことがない。何より獲物を狩ろうとする肉食獣のような人間離れさえしているような目つきがその推測に説得力を与えていた。


「上総律子さん、ですよね?」


男が迷いを見せる様子もなく私に話しかけてきた。


私はあえて答えずに黙り続ける。今の世の中が警戒しなければならない時代だからということもあるけれど、この人は何かおかしい。直感的にこちらから情報を言っちゃだめだという防衛本能が私を押し黙らせていた。


私が黙っていると、パンチパーマの男のそばの物陰や路地の入口付近から続々と数人の男たちが出てきた。数にして5名。それらはごく普通の一般人の格好をしていて、背広姿もいれば私服姿もおり、中には今風のファッションに身を包んだ者もいる。だが、いずれも背筋がよく、服の上からでもその体つきは鍛えられた体育会系のそれとわかる。さらに一般的な服装から想像できないほど視線には独特のすごみがあり、見られているだけでゾッとする感じがする。明らかにただものではない。


「だんまりを決め込まれているご様子ですが・・・、あいにくこちらはお時間がないのでね。死んでもらいますよ!!」


メンバーの先頭にいた男はそう言うと右腰のやや後ろあたりに右手を下ろして何かをつかんだ。そして黒い何かを取り出すとそれに黒い筒のようなものを手慣れた手つきですぐに装着するのが見えた。


「誰か助け・・・!!」


パスッ!!パスッッ!!


私が大声をあげようと後ろを向いて叫びかけた矢先にこちらに向けて何かか撃ち込まれた。ヒュンッ!という風を切る音とともに私をかすめていったそれは私の後ろの壁に命中し、コンクリートの壁に削った後のような弾痕を残していた。


前を振り返ると男が黒い物をこちらへと向けていた。


拳銃だ!!外見から見てオートマチック式だろう。


種類はおそらくポリマー製拳銃のベストセラー・グロックだ。学校でミリタリー好きな人がいて文庫本サイズの有名銃器研究家のカラー写真図鑑を見せてもらったことがあったからすぐわかった。1980年にオーストリアで正式採用されたのを皮切りに現在はジェネレーション7まで出ているベストセラー9mmオートだ。この男が取り出したのは大きさからみてグロック17か19のどちらか。となると最低でも装弾数は15連発。チェンバーに1発手で入れていたら最低16連発は装填済みと考えておかなければならない。他の男たちも同じようにグロック系統の拳銃を隠し持っていたホルスターから取り出していく。背広の中に隠したショルダーホルスターの者もいれば先ほどの男のように腰のやや後ろの位置に装着してその上から上着を羽織ることである程度隠し持つことができるバックサイドヒップホルスターに入れていた者もいる。


私は脱兎のごとく後ろを振り返って走り出した!!とにかくここを速やかに離れないと!!私はジグザグに蛇行しながら走る!銃を持った相手と対面したときは被弾率を下げるために可能な限り敵に的を絞らせない走り方をするべきであると本で読んだことがあったからだ。


後ろから男たちが追いかけてくる。このあたりの地理は当然熟知しているが、部分的に分かりにくい通路になっているところもあり、地元ながら逃げるのにやや戸惑うところもある。


だが、目の前にまた別の不審な男たちが現れて道を塞いだ!!別動隊がいたのか!?数は先ほどの集団と同じ5名くらい。


私は別の路地に進路変更を余儀なくされる。だが、その先は行き止まりだった。合計約10名の男たちが私に迫る。全員手にはピストルやドイツのMP5系列のサブマシンガンを持っていた。


私は震えながらできるだけの声を振り絞って叫んだ。


「何ですか!?あなたたち!!」


先頭にいたパンチパーマの男が返答する。


「悪く思うなお嬢さん。これも仕事なんだ。お嬢ちゃん新世界に行って不思議な石に触れただろ。あれをしちゃったのがお偉いさん方にとってちょっとばかしまずいんだよな~。君の力って相当厄介なものだと聞いていてね。でも魔法を無効化しても銃弾を無効化はできないでしょ?結局お嬢ちゃんの力はこの場では役に立たないってことで。来世で幸せな人生すごしな!!」


男はサプレッサー(消音器)付グロックを私に向けると躊躇なく発砲した・・・・・・。私に考える時間はなかった。


パスッ!!!パスッッッ!!!パスッッッ!!!


サプレッサー(消音器)から放たれた9mm×19パラベラム弾は普段私たち想像する乾いた銃声からさらに炭酸の気を抜いたような音がした。感想を言う間もなく銃弾は私の体を貫いているだろう・・・。


私の人生はここで終わりなの・・・・・・。霞先輩を助けたいと思っていたのに・・・。紗月ちゃんともまだまだお話ししたいことがいっぱいあったのに・・・・・・。そういえば公子さんもそう・・・。人としては悪い人じゃなかったから・・・・・・。


何かが目の前で光った気がした。うずくまっているからかはっきりとは見えなかったが・・・。そうか、あの世に行くとはこのような感覚なのか・・・。どうなるのだろうか・・・。お父さんやお母さんとももう一生会えないのか・・・・・・。


ってあれ!?何にも痛くない?それにどこにも弾は当たってないし血も出てない。


律子は恐る恐る目の前を直視する。すると銃弾が目の前でまるでビデオを一時停止しているかのように止まっていたのだ!!そして目の前にいる男たちの表情は明らかに動揺していた。そして私の目の前に見覚えのあるブレザーの女性が立っていた。


「私の親友にずいぶん野蛮なことをするのね?どうゆうことなのか説明していただこうかしら!!」


美しいロングヘアーが私の目の前になびいている。葦國公子さんが私の目の前に立っていた。



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