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異世界実録路線 少女は魔の現実に立ち向かう  作者: 幻影摩天楼


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第69話 律子暗殺計画

ごく普通の格好に身を包んだ屈強な男たちが5名、律子の家に至る道筋がよく見えるビルの一室で彼女の動きを見ている。


「依頼主からミーシャ経由で渡された資料と、こっちに来てから我々が調査した情報は大体同じだな。相手はあの小娘1人。本当にこの小娘があの選別石の磁場を克服したのか?一応格闘技の心構えがあると資料にはあるが、戦闘能力は探知魔法で調べてみたが我々に敵うようなレベルじゃない」


パンチパーマの中年の男が煙草をくわえながら双眼鏡で見た律子のことについて論評口調で言う。それに若いスーツ姿の一見サラリーマン風の男が答える。


「しかし、だ。資料によるとあの小娘は御船財団のところの現地教官を叩きのめしたそうだ。おまけにその教官の攻撃魔法を完全に無効化したとも書かれてあった。彼女は我々の持つ力の根源そのものを無効化してしまう“洗脳を解除する力”を得たからだと・・・。今回の元の依頼主は不明だが、あのミーシャが表面上ボスに頼んできて俺らをかき集めたんだ。ミーシャは不特定多数の殿上人の裏仕事を新世界で請け負ういわば下請け。それからして今回も大方どこかの殿上人が真の依頼主だろう。そんなやばいところからあの小娘を殺す依頼が来ている可能性が高いとなると、あの小娘には相当危険な何かがあるということだ。我々も油断できん」


2人の受け答えに若いアロハシャツを着たサングラスの男がため息交じりに話す。


「だが、正直今回はいくら何でも殿上人どもの取り越し苦労に思えるがな。あんな魔法力もろくに感じない、超人族でもないタダの人間の小娘がそんな御大層な力を得たなどとは・・・。何かの間違いにしか思えん」


「ジンド。我々は金をもらって引き受けた仕事はどんなことがあろうと達成するのが習わしだ。最後までやり遂げることに集中しろ」


「もちろんそれはわかっているさ。だがよ、むしろこの娘とつるんでる葦國財団の女の方がはるかに厄介だぜ。絶対にこいつと対峙してはダメだ」


ジンドと呼ばれた若い男はパンチパーマの男にやや不満交じりに言う。


そしてジンドと呼ばれたアロハシャツの男の発言に、望遠鏡の前でイギリス製アキュラシー・インターナショナル社製モデルPM系統のスナイパーライフルを構えていた男が口を開く。


「それは先刻承知している。葦國公子は殿上人最上位階級の実力者。我々が束になっても皆殺しにされるだけだ。先ほど葦國はターゲットと別れて今は遠くに向かったことがB班からの報告で分かった。今がチャンスだ」


「依頼ではできるだけ痕跡を残さず行方不明という形にしてターゲットを始末せよとのことだ。具体的方法はこちらに白紙委任されている」


「しかし、Aプランを変更する必要がありそうだ。当初の見立てよりもターゲット周辺に人間が多い。人目に付くあそこへ狙撃はダメだな。すぐに他の人間どもに気づかれる。なんで道の要所要所に等間隔で大人の人間が立っているんだ?あれは何かの警備か?」


スナイパーライフルの男の質問にパンチパーマの男は言う。


「この地球って世界は殿上人共の政策で貧富の差が激しくなった。それで経済的に食い詰めた人間があふれかえるようになってかつてないほど治安が悪化していると聞く。だから学校へ行く若い人間を犯罪者から守るために年のいった人間どもがああして見張りをしているとのことらしい」


アロハシャツの男がパンチパーマの男に質問する。


「人目に付かないようにするのは意外と厄介だな。B班に催眠魔法を使わせて周囲の連中を眠らせて狙撃するか、あるいはターゲットを眠らせるのは?」


「ダメだ。催眠魔法は50パーセントの確率で失敗する。失敗したら後が厄介だし、ターゲットは洗脳解除の能力により魔法そのものを無効化するタイプだ」


「クロロホルムでターゲットを眠らせて消すのは?」


「それも周囲の目が多すぎる」


「となると方法は一つ。この地区で唯一人目に付きにくい場所。例の路地裏にターゲットを追い詰めて消すしかないな。」


「追い詰める際、大声を出される可能性は?」


「サプレッサー付きで何発か威嚇して声を出すなと言え。実銃を自分に発砲されて脅されたら素人の場合、大抵は声を出せなくなる」


それを聞いたスナイパーライフルの男が言う。


「了解。Aプランを断念。ターゲットを至近距離から始末するBプランに移行。B班は10分後に我々とDポイント付近で合流。そこから2手に分かれてターゲットを例の路地裏の袋小路に追い詰めて拉致する。くれぐれも周辺一帯の人間どもに気づかれないようターゲットの周囲に人間がいないタイミングを見計らって行動せよ。10分以内で片を付ける必要がある。ターゲット捕縛後ただちに新世界に脱出できるよう転移魔法の展開が作戦開始10分後丁度に展開完了するよう注意せよ。もし拉致しにくいようならサプレッサー付きを使ってその場で執行せよ。血痕などは魔法ですべて消す。遺体や遺留物はそのまま新世界に持ち去って始末する。繰り返すが他の人間どもに決して気づかれないようにしろ」


「了解」


5人組の男たちは部屋に置かれている長いプラスチック製のハードケースや、楽器用のケース、ゴルフクラブ用のキャリーケースなど、おのおのばらばらのケースに自分専用の得物を収納すると、それを持ってそそくさとビルの一室から出ていった。




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