↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界実録路線 少女は魔の現実に立ち向かう  作者: 幻影摩天楼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/107

第52話 待ち合わせ

土曜日の朝9時。私は彼女が指定した場所に来ていた。


場所は東京駅の八重洲側中央口。


当たり前だが首都の玄関口だけあって土曜の朝でも人はとても多い。私はできるだけ人通りの多いところを通って人気の少ないところは避けるようにした。警察官が所々に立ち、監視カメラがあらゆる箇所に配置されている街中は治安の悪い地域が多くなった現在もギリギリ女性が一人で歩けることはできるようになっている。ギリギリというのは、以前に比べて出歩く時間と行く場所を間違えなければという但し書きが付く。警察官の人員は年々増加しているとよく報道されている。メディアの報道では20数年前と変わらないとされている現在だが、肌感覚ではお父さんたちが聞く昔の日本に比べて悪くなっていると私は感じている。監視カメラも以前よりわかりにくい場所に、より分かりにくく小型化されたものがたくさん設置されているように思える。


公子さんとは会って数日しか経っていないから何とも言えない部分もあるけれど、あの人からは人の上に立つ威厳があると同時に、どこか気ままな部分もあるという印象も受けた。私の家に突然一人でやってきたのもそうだし、今日こうして私を外出に誘ったのもそれだ。


今日こうしてあの人に会うことに同意したのには私なりの理由もある。霞先輩のことだ。公子さんなら霞先輩のことを何とかしてもらえるかもしれない。そんな単純に話を聞いてくれる相手ではないこともわかっている。でも現時点で霞先輩を元に戻す可能性が0.1%でもあるのは現時点で公子さんだけだ。わずかな望みに賭けるしか残念ながら今のところ考えられる手段は思い浮かばないのだ。


当然公子さんのことは両親にも紗月ちゃんや荒木先輩にも一切言っていない。公子さんとの話し合いや駆け引きはあくまで私がやらないと駄目なことだと考えている。両親や親友、先輩を巻き込みたくはないのだ。果たしてどうやって霞先輩の話に持っていこうか・・・。


「律子。お待たせ」


具体的に何から話していこうか会話をシミレーションしていたら、いきなり公子が後ろから話しかけてきた。


「ひゃっ!なっ、なんだ公子さん・・・。脅かさないでくださいよ。いきなり後ろから音もなく近づいてくるなんて・・・・・」


振り返るとそこには私服姿の公子さんがいた。彼女は全く気配を感じさせずに私の背後に回ってきた。その鮮やかな身のこなし方はまるで忍者か特殊部隊の兵士のように思えた。


制服姿しか見たことのない彼女の私服姿を見るのは言うまでもなく今回が初めてだ。その姿は・・・・・、想像していたよりずっと地味な格好だった。てっきり一流ブランドの服に身を包んで颯爽と現れるのだと身構えてしまっていたが、ごく普通の服装に手提げバッグを持った姿で現れた公子さんを見て拍子抜けしてしまった。


だが、その内面からにじみ出る気品の高さ、人間としての格の高さとでもいうべき彼女の意識はそんな地味な外見から想像できない何かがある。通常の人間さえも超越するという人であって人非ざる力を持つという殿上人。その意識は地味な装いさえも一流ブランド品を上回る洗練された美しさを彼女に付与していた。それに、地味とはいってもやはりとても上品な服装であることに変わりはない。


本当のお金持ちや権力者は派手なことを意外としない、自身の内面の力だけで何を着ても似合う見えない力を持つ、それでいてごく普通の一般市民に溶け込んでしまっていたりするという都市伝説のような噂は事実だったのだろうか・・・。それは事実だったと、少なくとも私はこの瞬間実感した・・・・・。


・・・・・・だめだ!またつい見とれてしまった・・・・・・。


「どうしたの、律子?さては私に惚れたのかしら?」


わざとらしくしたから私の顔を覗き込んでくる


「ちっ、違います!それで今日はどちらに行く予定なのですか?」


律子のつっけんどんな返事に公子は顔を膨らませながら言う。


「もー、律子も素直じゃないなあ。今日はせっかく私とあなたの時間なんだからもっとありのままに私に甘えてくれてもいいのに」


素直な公子の表情をこちらに近づけられて私は顔が赤くなってしまう。すごくきれいな人にこうも友人のような素直な態度をされてしまうと弱ってしまう。しかもこの方は私よりも年上だし。


内心に困惑と緊張を抱えながらも、こうして私と公子さんの一日が始まろうとしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。