第35話 トムスク地方攻略の依頼
ミーシャ様は神妙な面持ちで僕たちに説明する。
「あなたたちが攻め落としたアルザマス砦からさらに西方に向かったところにトムスクという地方があります。ここには魔王の配下のモンスターが集結しているという報告がありました」
トムスク地方。前に女神さまにもらった地図で説明してもらったことがある。この新世界にある魔王の拠点の一つで、隣接しているアルザマス地方とは異なり最初から魔王の支配下にあった地域と聞いている。
やたらと強力なモンスターがうようよしているとも聞いており、ミーシャ様の仲間も相当数やられているらしい。
「魔王はあなたたちがアルザマスを落としたということでかなり焦っているようです。魔王が勢力を集中する前に一刻も早くトムスクのモンスターの軍勢を倒しておく必要があるのです。アルザマスを落としたばかりで申し訳ありませんが、サトシ、できるだけすぐにトムスクに向かってください」
僕は少し考えた後、女神さまに質問した。
「分かりました。そのトムスクっていう場所に討伐に向かいますのでいつ出発すればよろしいですか?」
「そうですね、1週間後の朝の9時に出発してください。斥候の報告では魔王が兵力を集めきるにはまだ時間がかかりそうな気配ですから」
「分かりました女神様」
「ありがとうサトシ。それではカズオとヒデキには個別にお話があります。サトシとアミは席を外してもらえますか?」
「えっ、はっ、はい」
僕は軽くお辞儀をして女神さまの間を後にした。
「分かりました」
アミさんも女神にお辞儀して部屋を後にした。
僕は廊下でアミさんに話しかける。
「アミさん。今回間髪入れずにトムスクってところに行くのって何かあるのかな?」
「私にもわかりませんが、魔王がアルザマス砦が陥落したことに焦っているんだと思います。女神さまが言うように・・・」
「僕らって一応魔王を討伐することが仕事になっているからいいけどさ、それに女神さまのおかげで結構力が身に付いてきたし、自信もついてきて今度の戦いも大丈夫な気がする」
「そうよね。私は今度の戦い、なんか正直不安なの。もちろんアルザマスもそうだったけど、なんかあまり行きたくない気がしてた。でもサトシ君が一緒ならいけそう」
「そんな、照れるって」
僕たち2人は一緒に話をしながら宿屋まで先に戻った。
「カズオ。サトシの感じはどうかしら?」
「日に日に成長を遂げていますが、もう成長のピークというのが私の感想です。元ニートとしてはかなりの成長かと思いますが、もう伸びしろはないでしょう」
「ヒデキ、アミは?」
「彼女も同じですね。これ以上の伸びしろは意外とない。サトシもアミも石の適性検査は一応しておく必要はありますが、おそらく耐えられないでしょう」
「そう、私たちと対立する派閥の差し金も丁度この近くに現れ始めたし、そろそろ頃合いかしら」
「御意に」
「女神さまの意のままに」
女神は怪しげな笑みを浮かべながら、窓から外を眺めていた。




